デジタル情報としての生命
2023/04/09 07:08
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
DNAやRNAをデジタル情報として捉えて生命の仕組みに迫っていくことが面白かった。とはいえ人工のプログラムは一部が壊れると全部壊れるのに対して生命はそうなってないことからDNAやRNAのどこがどこに作用しているかを判別するのが難しいのが興味深かった。
デジタル情報系として捉えた生命現象。
2020/12/19 15:50
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ゲノムー38億年前に誕生した驚異のデジタル生命分子」という第一章から始まる本書。生命の遺伝子情報をコンピュータと比較しながら考えていく。
遺伝情報、というぐらいだから「情報系」として生命現象をとらえるのは当然の方向なのかもしれない。私はそうでないので想像でしかないが、コンピュータに強い人にはわかりやすい説明なのかなと思った。基礎的な部分はある程度知っているところであるが、「こういう風に捉えることもできる」という「視点を変えてくれる説明」だった。
最新の創薬や研究の現状を知る上でも役に立った。新しいタイプとして出てきた新型コロナウィルスワクチンはRNAワクチン。どういう原理なのかも本書を見ると理解がすっきりしてくる。
トランスクリプトーム。プロテオーム、メタボロームと耳慣れない言葉が多出するのは新しい考え方でとらえる試みなので仕方がないのだろう。そもそもディジオーム(DIGIOME)なる単語が「はじめに」で創出されている。
著者自身が最後に断っているのだが、細かいところはかなり端折って「全体の流れ」「重点」に絞って書かれている。その分少々の基礎知識を持って読んだほうがよいだろう。
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生命はデジタルでできている、って最初見たときタンパク質のアミノ酸配列は、4種類の塩基の3つの並びでコードされている→デジタルなの言うまでもないじゃんと思っていた。あと転写や複製を行うための特殊な塩基の並びもコードだよねと。
しかしほとんどのDNAのデジタルデータはランダム或いは再初期化されていないノンコーディングなジャンクだとされていたのが、実はDNAからノンコーディングなRNAへの転写が次々に行われ、様々な制御を行っているなど、脇役どころかRNAたちの世界、トランススクリトームは細胞システムの主役のひとりであった、というのは大きな驚きだった。
RNA ワールドは、現在の生物の中にしっかりあるんだという衝撃。
ただ、分子内・分子間結合をクーロン力でひとからげに説明しているのは、ピュア物理学でいえばそうなのだろうけれど、言葉足らず的でわかりにくい。共有結合、水素結合、ファンデルワールス力による結合といった結合力の階層が、生命・デジタルの関係においても重要であるのに。
あとタンパク質を本書では、一貫して「タンパク」と記していたけど、呼び方が変わったのかな?あと調べてみよう。
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「砂時計の七不思議」がとても読みやすくておもしろかった。それで、著者自身による本書の紹介をツイッターで見て、アマゾンで予約して、読んでみた。うーん、残念ながら今回の本は僕には苦しかった。書店で手に取っていたら、たぶん「深海底」の方を買ってただろうなあ。物理寄りと思ってたけど、ほぼ生物だった。そもそも、高校生物の知識がまったくない。基本的な語句が全くイメージできないから、全般的に霞がかかっている。それでも、デジタルとアナログだったり、ロバストとフラジャイルだったり、そのあたりは興味深く読めたし、さらに、創薬の話とか、がん治療の話などは、今後に期待できそうで、少しわくわくした。帯にある「情報生物学」というのは本当におもしろそうなんだけどなあ。金子先生の「普遍生物学」も頓挫しているから、ダメやなあ。ところで、惑星同士の引力の話と、電子同士のクーロン力の話、確かにそうなんだろうけれど、量子力学的に何らか解決していることではなかったのか? なんかもう、物理自体もなんの勉強をしていたんだろうかと思ってしまう。大学まで行って、いったい何をしていたんだろう。というか、当時は一応理解していたのだろうか??? よく卒業できたなあ。卒論もなんもなかったしなあ。
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遺伝情報の保存庫DNAから特定のRNAが読みだされる。RNAの核酸3文字からなるコードをアミノ酸に読み替えそのアミノ酸を順番につなぐことでプロテインができる。つながれたアミノ酸がもつ電荷などのため、できあがったプロテインは特定の3次元構造をとり立体的な構造物として生体分子として働く・・・いわゆるセントラル・ドグマ。
たとえば音楽CDにおいて、デジタル化して保存された情報を読み出し出力変換して最終的に人間が聴くことのできる音として出力しているメカニズムのアナロジーとしてとらえてみれば、セントラル・ドグマはまさにデジタル―アナログ変換に他ならない。
そういうデジタルな処理系として分子生物学を眺めてみると・・というのが本書。言われてみれば確かにそうだと思うことばかり。さらに、少しでもプログラムをバグると動かなくなるコンピューターの繊細さ(Fragile)に比べて、少々の読み間違いやバグ(SNP:1塩基が入れ替わった状態)があってもなんとか動かす頑強さ(Robust)、そればかりか、バグもまた進化のタネになったりする。
ゴミみたいなものと思っていたmiRNA(マイクロRNA)がまさにデジタル信号としてDNA→RNA、RNA→プロテインの制御にさまざまにかかわっている。さらにlncRNAや環状RNA、そこからプロテインの3次元構造(ここらが最先端でなかなか解明されなさそう)と読み進めば、なるほど生体とは複雑すぎて人間の理解を凌駕したデジタル構築物なのだ。
読み終わると、赤血球や細胞や細菌のイメージからくる生もの感から離れて、何とも自分の中に広がるデジタル世界を感じて不思議。
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分子生物学 セントラルドグマ
遺伝情報
DNA→(転写)→mRNA→(翻訳)→タンパク質の順
DNA
すべての生物に共通
ヒト 30億塩基の長さの設計図
デジタルデータ ;音楽データすべて
冗長性のためネガポジの関係の二本鎖
アナログで不確実な化学反応をデジタル化
RNA
DNAの部分コピー ;プレイリスト
タンパク 立体分子;音楽:アナログな耳に届ける
ロバストなAI 多少のミスには耐えるシステム
ゲノムを読み説く≒リバースエンジニアリング
計測技術と解析方法
エンリッチメント解析
どの程度偶然なのかを定量的に観測する
精度は100%ではないが、マイクロRNAの機能を予測
マイクロRNAでリプログラミング
ゲノムをいじらないため、ガン化防ぐ
機能を知るために機能を停止してみる
タンパク
クーロン力で外界を動かす ;スピーカー
受容体=センサー 人間の光受容体は3元色のみ
酵素
抗体
ヘモグロビン
弱い結合で一酸化炭素(不完全燃焼)に結びつく
脊椎動物 火の無い水中で進化
オプジーボ
癌 免疫細胞のPD-L1と結合し正常細胞のふりをする
先にオプジーボがつき癌のPD-L1が結合できない
アレグラ
花粉症 炎症 防衛反応
受容体に別のものを結合させ炎症を起こさなくする
代謝 =生物の動力
化学反応でエネルギーを得る
メタボローム
三大要素(入力):タンパク 糖質 脂質
電荷比ごとに物質を分離
キャピラリー電気泳動動装置
飛行時間型質量分析装置
近年、網羅的に計測 同時定「量」解析=アナログ
ワールブルク効果
癌 酸素があっても解糖系でエネルギーを作る
フマル酸呼吸
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生命現象をデジタル情報処理系として見るという見方がとても面白かった。
DNAは磁気テープ、SNP=バグ、がんのメチル化はがんによるクラッキング、誤り訂正機構もある、などなどコンピュータのアナロジーで説明されるのは新鮮。
また、とりあえずゲノムを全部読むというのも、情報科学では当然の発想でも生物科学では違ったとか。
膨大なゲノム情報を解析するのにコンピュータが必須になったことで、これから生物学と情報科学の重なる分野が物凄く面白いことになりそうな予感を感じさせる本だった。
もっと詳しく知りたい!という刺激をすごく与えてくれた。
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セントラルドグマから始まり、タンパク質の働き、細胞の分化、エピジェネティクス等の精巧な仕組みが、進化の過程で作り上げられてきたことを考えると、驚きと奇跡としか思えない。何気なく生活している中では全く実感できない細胞内でのデジタルな営みがダイナミックに繰り返されているそれこそが生命という不思議。
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「生命はデジタルでできている」、なんとセンセーショナルなタイトルだろうか。
知覚に閾値が存在すること、DNAが記号の羅列からなること。そしてなによりアナログにものを扱うことの難しさから、処理系がデジタル(離散的、という表現のほうがよいのではと個人的には思っている)だというのはなんとなく合点がいった。
それにしても、まだまだ未知の領域があり現在進行形でアップデートされている学問のなんとエキサイティングなことか。
生物学に関しては門外漢であるため理解が及ばない点も多々あったが、ざっくりとした理解と発展し続ける研究への期待感をもつことができた。
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物理学者であるシュレディンガーは、生命とは何かという著作を残し後進に多大な影響を与えた。物理学科の先生が生命とデジタルとの親和性の高さをあらゆる事例を紐解きながら解説する。のびのびとした内容に著者の情熱が感じられた。これからこの分野を目指す方に良いかも。
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DNAから連なるRNA、タンパクの生成をデジタル情報というアプローチから扱った書籍。
デジタルとDANの類似性というのは言われてみればその通りなのだが、この書籍のタイトルを見かけるまでは発想がなかった。
DNAの構造は二重らせんと言われるが、言ってみれば長い紐であり、そこから生成されるタンパクも紐から形成される。この紐からタンパクの立体構造が生成されるわけだが、これを3Dプリンタに例えているのが分かりやすかった。少し前に、NHKのサイエンスゼロでDNA折り紙の話が取り上げられていた、この話も関連するだろう。
デジタル情報としDNAを見た時のロバスト性という視点も面白かった。ロバストに対比される言葉がフラジャイルである。人間がコーディングするプログラムの多くはフラジャイルである。つまり、一箇所でも不具合があるとシステム全体が機能しなくなる恐れがある。
一方で、 DNAの情報はロバストであり、一部に誤りがあってもシステムとしては機能する様な冗長性がある。このことも他書で知ってはいたが、この様なシステム面からの視点でまた違って見えるというのは面白い。
過去には意味がないとされていたDNAやRNAにも意味が見出されてきているということも、紹介されておりこの分野は進展している様でまだまだわからないことも多いと感じた。
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生物の設計図はDNAなのだからデジタルなのは当たり前だと思っていたが、その仕組みはまだ解明されはじめたばかり。わからないことだらけだということがわかった。
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いまの生命科学の到達点がわかる内容。昔、教科書で学んだ内容から著しく進歩していると感じた。
DNA→RNA→タンパク、そして代謝をそれぞれ解説した後、これらを統合的に分析するマルチオミックス解析を紹介。この内容が5年後、10年後にどのように書き換わっていくのか今後の研究成果に期待。
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面白かった。切り取られた断片から映画の全編を復元するようなもの、といった喩えはこの分野の難しさをよく表現しているように感じた。因果推論、原因を徐々に掘っていくことがこれからますます大事になっていきそうです。
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