- 販売開始日: 2020/09/11
- 出版社: PHP研究所
- レーベル: PHPとっておきのどうわ
- ISBN:978-4-569-68306-5
きんのことり
ファンタジーの名手あまんきみこが描く心温まる世界が、二十年の時を越えて復刊したものを電子書籍化しました。小さな北風の子が、生まれて初めての旅にでました。出発の時、お母さん...
きんのことり
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商品説明
ファンタジーの名手あまんきみこが描く心温まる世界が、二十年の時を越えて復刊したものを電子書籍化しました。小さな北風の子が、生まれて初めての旅にでました。出発の時、お母さんが「北風は南風のように、動物や人間に喜ばれない。でも、北風も立派な風なんだからね」と言われて旅立ったのですが、やはり皆に敬遠され、心を痛めていました。そんな時、一本のいちょうが呼んだのです。「私の葉っぱ全部落としておくれ、根元で寒さに震える子猫を温めてあげたいから、手伝って」と。いちょうを気遣う北風の子と、子猫を気遣ういちょうの木。そこには自分を超えた大きな愛が、存在していました。このお話の中で始めての旅をする北風は、人生の荒波に飛び出したこどもそのものです。そしていちょうの木はといえば、こどもが活躍できる場を見出し、大きな愛のお手本を見せてあげられる大人です。心を描いた作品として長年小学校の道徳の副読本としても、愛された作品です。
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新しい挿し絵に変わって再登場。『車のいろは空のいろ』で知られる童話作家の愛らしいファンタジー。皆に嫌われてしまう北風の子が奮起して活躍。
2002/01/27 20:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初1982年に出された童話の本が、売れっ子絵本画家・荒井良二さんの明るい挿し絵で装い新たに生まれ変わった。
文豪たちの代表作で文庫化されたものが、新鮮なデザインのカバーを掛け直されて新しい世代の人たちに読み継がれていくように、40年強と歴史の浅い日本の児童文学も、ここ数年カバーと挿し絵のリニューアルが続いている。生活童話の代表選手である松谷みよ子さんの<ちいさいモモちゃん>のシリーズは、やんちゃるモンちゃのアニメ・キャラ原案を作った武田美穂さんによりしばらく前に一新されたし、つい最近、私が日本のロアルド・ダールみたいだと思っている古田足日さんの名作『宿題ひきうけ株式会社』も、長野ヒデ子さんの生きのいい天真爛漫な絵で再生したばかり。
市場が限られているなかで、新人が育つ場が侵食されることは問題だけれど、読者としては正直な話、多くの人たちに支持されてきた本が絶版の憂き目にあうことなく、新装というインセンティブで命を永らえるというのはありがたい。こと児童書の場合、自分が好きだった本を自分の子どもに読むということは限りない喜びであるし、品質を十分に確認しているものなら、自信をもってギフトにもできる。
この童話は、小学校低学年向き、初めてのひとり読みを意識した作り。各見開きにモノクロかカラーの挿し絵があって、その分量は、サイコロ大の文字の量より多いというもの。幼年童話の典型である。だから新入学のお祝いには適。
お話がいい。
ひとり旅の途中にある小さい北風の子がいる。その子は、出発のときに、お母さんに言い含められていた。北風は南風のように喜ばれはしないけれど、立派な風なんだということを忘れないように…と。でも、いざ旅が始まると、人間に窓を閉められたり、動物たちに不安がられたり、紅葉した木に近づかないでと言われたりして、風の子はすっかり気落ちしている。
南風になりたいなあと思いながら眠りにつくと、「きたかぜさーん」という誰かの呼び声で起こされる。かけつけると、それは黄色く色づいたいちょうの木。いちょうは、全身の葉っぱを吹き落としてほしいのだという。まだそんな時期じゃないと言う風の子だったが、木の下の小さな捨て猫を見て納得する。いちょうは、この子猫を葉っぱで暖めたいと思っていたのだった…。いちょうの葉っぱは、お日さまの光をいっぱいためこんでいるから暖かいのだ。
で、北風の子がいちょうに言われた通りにして、めでたしめでたし…という単純な流れではない。いくつかの高まりが用意されている。最後の最後になって現れるタイトルの『きんのことり』も楽しみにしてほしい。
お日さまの光をためこんだような表紙の暖かな装画に、読む前の期待感が大いにふくらむ。