若い兵士のとき
著者 ハンス・ペーター・リヒター , 上田真而子
17歳で志願し入隊してから20歳で敗戦を迎えるまで,ナチ政権下のドイツで,〈ぼく〉が実際に体験した戦争のなまなましい姿.前線で左腕を失い,将校になってまた前線へ──壮絶な...
若い兵士のとき
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商品説明
17歳で志願し入隊してから20歳で敗戦を迎えるまで,ナチ政権下のドイツで,〈ぼく〉が実際に体験した戦争のなまなましい姿.前線で左腕を失い,将校になってまた前線へ──壮絶な日々のできごとを短いエピソードで淡々とつづる.『あのころはフリードリヒがいた』『ぼくたちもそこにいた』に続く,3部作の完結編.
目次
- 1 志願するまで
- 2 入隊後の訓練
- 3 出征まえの休暇
- 4 前線へ
- 5 負傷
- 6 士官学校
- 7 将校になって
- 8 部下をつれて前線へ
- 9 混乱
- 10 崩壊
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戦争では、いつでもどこでも同じようなことがおこる
2006/04/12 11:33
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒトラーの時代。一人のドイツ青年が軍隊に志願し、敗戦を迎えるまでにみた軍隊の様子を綴った一冊です。ひとつながりのお話というよりは短いエピソードが断片的に並べられているような書き方になっていて、日本人の書いた戦争の話に登場してもおかしくないようなエピソードが沢山みつかります。
・疎開先での農作業、ホームシックになる子ども。
・新兵の受ける激しい懲罰訓練。著者はさらに、自分が訓練する立場になった時、自分が受けたような懲罰訓練を「自分より年上の兵になめられないように」と行うようになったとも書いています。
・占領したフランスの町で慰安婦の家に行列する兵士たち。
・将校となって参加したパーティで、ご婦人方に良い格好を見せている自分。
・占領した家から戦利品として持ち出したものを私物化して隠し持つ上級兵士たち。
戦争の、特に普通の人の側から書いた戦争の体験はつらく、悲しいものになりがちです。この作品がそれでも救われるのは、どこにでもちょっとしたユーモアがあり、ちいさい正直さが残されていることもかかれていることでしょう。
同じような状況になると、どの国でも、どんな人でも、同じような行動をとるものなのでしょう。もしかしたら、今現在戦っているところにも、同じような情景があるのかもしれないと想像してしまいます。良いことも、悪いことも。
著者は戦争体験をもとに綴った本を本書を含み三冊残しています。(どれも岩波少年文庫に訳されています。)どの一冊も過去に目を向けること、それも自らの関与の自覚をもって目を向け、伝えることの重要さ、難しさを感じさせるものです。あとがきに、「著者はこの三冊のあとこのような文を著さず、こういう類の会合には殆ど顔をださなかった」と書かれています。これ以上書けなかった、そんな思いが伝わって来て苦しいほどです。
少年向けの文庫で出版されていますが、特にこの巻は三冊の中での最後にあたり、主人公の年齢も高くなり戦争に関わる大人の様子も多く描かれているので、ドイツでの戦争を普通の人の立場から書いたものとして大人にも読んで欲しい本だと思います。