現代社会に根付く、社会の闇にも目を向けさせてくれるミステリ小説
2022/04/12 09:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しょうちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
密室に閉じこめられた子どもたちが、それぞれの話(思い出)一つの謎を紐解いていく…。
そこだけ見ると、『十二人の死にたい子どもたち』などを想像するかもしれませんが、この小説では「推理要素」とは別に、「児童虐待」や「児童養護施設」についての現代社会の問題もしっかり取り上げています。
読者側としては「ミステリ」要素以上に、「今は児童養護施設はそんなことになっているのか」と愕然とさせられ、その人間社会の闇について惹きよせられてしまいました。
この小説を読んだあと、児童養護施設や児童虐待、育児放棄などのニュースに、今まで以上に関心を持つようになりました。
もちろんミステリ要素も面白く、推理物としても十分に楽しめます。
どんな人にも「光」の部分だけではなく、隠したい「闇」の部分もある。
そんなふうに感じさせてくれた、小説としても、問題提起資料としても心に残った1冊でした。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会の闇。
心の闇。
子供の闇。
家庭の闇。
強いて言えば、もうちょっと客観的な情報を入れて
読み手に当事者感を出していってくれてよかったとおもうけれど、
そのあたりメディアワークスの方針か松村さんの作風なのか大人しめ。
そろそろ他レーベルでもうちょっと社会を抉るような作品書いてくれないかな、
と期待してみたり。
本作は独白をリレーしていく形式の小説でも
だいぶ完成度は高いと思います。
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投稿者:みるちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
メディアワークス文庫から出版なので、ありえない設定かなと思ったけれど、現代社会の問題点を扱っているので勉強になった。
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投稿者:ゆかの - この投稿者のレビュー一覧を見る
途中までは、誰が犯人なのか、あの夜なにが起こったのか、と続きが気になりおもしろかったのですが…後半は失速というか、正直ふーんという気持ちで読んでしまいました。
大きな驚きもなく、ただただ茜という人物の素晴らしさを語ってるみたいな感じがしてしまって微妙でした。
少年少女たちがあまり感情を爆発させたりしなかったからでしょうか、淡々としすぎていた気がします。
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廃屋に閉じ込められた六人の高校生たち。あるのは僅かな食糧と、一通の手紙――。【私を殺した犯人を暴け】 差出人は真鶴茜。七年前の花火の夜、ここで死んだ恩人だった。
謎の残る不審な事故。だが今更、誰が何のために? 恐怖の中、脱出のため彼らはあの夜の証言を重ねていく。
児童福祉司だった茜に救われた過去。みんなと見た花火の感動。その裏側の誰かの不審な行動。見え隠れする嘘と秘密……この中に犯人がいる?
全ての証言が終わる時、衝撃の真実が暴かれる。
一気読み必至。慟哭と感動が心に突き刺さる――! 発売から大重版が続く『15歳のテロリスト』『僕が僕をやめる日』松村涼哉の、慟哭の衝撃ミステリーシリーズ、待望の最新作。
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好きな作家さんの新作たのしみにしてました
児童虐待について考えた事あんまりないなと気付かされた
登場人物一人一人の描写よかったけど
人数多くて複雑というか、浅く広くという感じ
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展開が早くおもしろかった。
なぜ真鶴茜は、死んでしまったのか。死んだのは、他殺なのか、自殺なのか。
児童相談所の職員(真鶴茜)と、色々な面で“虐待”を受けた子供たちについて、考えさせられた。
今の児童相談所の職員では、助けを求めている子供を全員救うのは、人手が足りないため難しい。だからといって、簡単に人を増やせることができるわけでもない。真面目に子供に向き合うことで子供は救われることもある。そして、茜は真面目だった。故に普通の人でも人手が足りないために十分な時間を割いてやることができない。しかし茜は、自分の時間を割いてまでも、子供を助けようとした。けれど、十分では、なかったため誤解が生まれてしまった。
誤解は、思わぬ事態を招くことがある。だからこそ誤解を無くすべきであるが、人の勝手な思い込みや、言葉のあやなどで引き起こされる。自分もできる限り誤解のないようにしていきたい。
また、虐待が無くなることを祈る。
この本を読む人、読んだ人にはぜひこの本の作者が書いた『15歳のテロリスト』という本も、ぜひ読んで欲しいです。
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届けられた死者からの手紙。命令どおりに廃屋に行ってみると、そこには自分を含めて六人の高校生たちがいた。おまけに閉じ込められてしまった。唯一脱出できる手段は、「私を殺した犯人を暴け」を実行することのみ。六人の証言から見えてくる嘘や謎。果たして脱出できるのか?
序章から興味をそそる内容でしたが、全体的にふわっとした感じがしました。基本的には一人一人にスポットを当てて、事件などについての証言を交えつつ、変わるがわる進行していきます。事故死として処理された児童福祉士がなぜ旅行を計画したのか。隠された六人の共通点が明らかになります。
警察など大人は関与せず、ほぼ証言から推理していきますし、7年前の記憶なの?と思うくらい、覚えることが多く語られています。
また、閉じ込めれた空間でしたが、あまり極限の状況というわけではないので、緊迫感があまり感じませんでした。別に監禁しなくても話せたのではとか、7年前の事件じゃなくても・・・とか思ってしまいました。
事件の背景にあるのは、児童福祉司という現状。激務に追われるがあまりに起きる悲劇を取り上げていますが、児童福祉司を責めるのはどうかなと思ってしまいました。
一番悪いのは親であるのに「対応が遅れている」や「なんで対応しなかったの?」といった第三者に批判が及ぶのは、違和感を感じました。
なかなか虐待という現状を解決することは困難ですが、少しでも解決できるよう、職員の負担の軽減、親たちのメンタル、経済の安定が必要であることを感じました。
そういったメッセージが込められているという点では重厚なミステリーでしたが、全体的に浮遊感がありました。
死亡事件によるそれぞれの高校生たちの贖罪。事件当時は小学生ですが、あまりにも大きい影響。それぞれ高校生たちが今後どう歩んでいくのか。良い未来であることを望みたいです。
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閉じ込められた少年少女たちが、自らの記憶を辿り犯人をあぶり出そうとする。記憶の矛盾さぐったりするあたり、ミステリー要素もあるけどそこまで本格的な謎解きって感じではないです。さらりと読めました。
正直、児相に対するアクションとか、児相員と少年の関係など、「若いなぁ」って印象は持ちました。私からすると「そうはならんやろ」的など。メッセージ性しかり、想定読者層しかり、若者向けなのかなぁという感じです。
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松村涼哉さんは現代の問題を上手く絡めて小説を書くのが本当に得意なのだなと思いました。
終わり方はすっきりした感じではありませんでしたが、色々と考えさせられるお話でした。
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読み終わってからタイトルの意味が分かって感動した!
展開が休む間もなく進んで、ずっと心臓がバクバクしてた〜面白かった〜
虐待とか、児童相談所とか。虐待問題が大変なことは分かっていたけど、児童相談所も想像絶する激務で、ある意味仕事に虐待されてない?って思ってしまった。現代の社会問題は難しい。
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7年前に転落死した保護司と、その保護司に救われた元子供たち。その死の謎に向き合わされるミステリー。それぞれがそれぞれの闇を抱えて、それと向き合えず大人になった。今もう一度それと向き合った上で、前に進んでいけるか。
日本の児相の問題と闇について描いた小説。ぶっ飛んだ設定すぎたところもあるけれど、元少年少女らが一人一人語るパートは秀逸でした。
Kindleで読了。
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僕が僕をやめる日から松村さんの本を読み始めました。監獄=虐待を受けた子供達。そこで私生活までを削り奔走した児相の茜さん。ラストは「僕が」の本よりあっさしていますが機能不全で育った私は茜さんの最期の言葉に救われました。
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7年前に起きたある事故について
独白形式で関係者が語ることで解き明かされていく物語。
集合住宅で起きている各家庭の問題は
リアルである故にドキュメンタリーをみている気分に
なりました。
亡くなってしまった茜という女性がいかに強い心をもって
いるのかをアルコール依存気味と交えて表現する場面が
凄く印象的でした。
最後のひらめき的な推理は少し理解が難しかったけれど
全体的に読みやすかったと思います。
現代社会の抱える問題についても触れることができる
知るきっかけをつくってくれる一冊でした。
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友達に勧められて読んだ本。題名にすごく惹かれた。読んでいる最中ずっと自分も7人の中にいて自分が犯人だと疑われている怖さというかスリルというかが味わえるほど人物描写がリアルだった。1つの事件でも7人いれば7つの見方があり、時に嘘をつきながらもどんどん話がつながっていく感じが堪らなかった!それぞれの過去も証言に複雑に絡まり合っていて読み応えがあった。