ものみな歌でおわる・爆裂弾記 現代日本の戯曲
著者 花田 清輝
『復興期の精神』の著者の代表的戯曲3篇を収録ーー虚実交錯する二元的批判構図を持ち、特異な発想と構想で、常に戦後文学に先鋭な問題を提起し続けた『復興期の精神』の著者・花田清...
ものみな歌でおわる・爆裂弾記 現代日本の戯曲
01/23まで通常990円
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商品説明
『復興期の精神』の著者の代表的戯曲3篇を収録ーー虚実交錯する二元的批判構図を持ち、特異な発想と構想で、常に戦後文学に先鋭な問題を提起し続けた『復興期の精神』の著者・花田清輝の、代表的戯曲3篇。明治18年、自由民権運動を背景に、女壮士・新聞記者・講釈師・演歌師などを配して、その過激な運動の壊滅までの顛末を描いた諷刺喜劇「爆裂弾記」のほか、「ものみな歌でおわる」「首が飛んでも――眉間尺」を収録。
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いとしの爆弾女
2020/01/25 08:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
花田清輝の戯曲3編を集めたもの。こういう分野にも意欲を持っていたようだ。
「ものみな歌でおわる」確かに江戸時代で一番の金持ちなのは、佐渡金山の奉行だったかもしれない。何しろ金の着服はし放題。それで何かしら権力妄想にとらわれるというのは戯画的ではあるが面白い。そんなやけっぱちな策謀と繁栄に覆われていた佐渡を舞台に、出雲阿国をはじめとした新しい芸能が生まれるというドラマ。そんな場面をミュージカル風にしてみているのだが、台詞と歌ではイマイチ感動が伝わらない。信長の娘とか、豊臣秀次の武将とか、槍の名手とか、旧時代の生き残りで渋みのある連中が跋扈する中で、若者はなかなか言いたいことをズケズケと言うところに、時代の移り変わっていく様が見られて面白い。
「爆裂弾記」日清戦争前夜の清国討つべし勢力がテロを企てる。民権論者で反政府勢力なのだが、アジア解放を目指すために対外強硬派となるという、現代の感覚とは正反対になるのは面白い。そんな壮士たちが新聞社を根城にしているが、また蛤御門の生き残りみたいな旧世代がここに混じって冷やかすし、木下尚江のような反戦論者なんかとも主張は対照的だ。優柔不断もいれば向こう見ずもいて、はてさてどこで爆弾は爆発するのか、それともしないのか。
「首が飛んでも」古代中国で、刀剣の名工だった父を殺した王に敵討ちしようとする男。離れると求め合う二本の刀という題材は丹下左膳か。そしてフェイクにフェイクを重ねる、人を食った展開も、伝奇的、神話的ではあるが、その根底はやはり花田らしい諧謔に満ちていると言うべきだろう。
大体において、登場人物たちがひねた理屈を主張しあっていて、話がなかなか進まない舞台など面白いのだろうか。ただし阿国の弟子たちであったり、紅一点の女壮士、夫が狙われている女王などの発言と行動がいけいけ過ぎて、軟弱な男たちとの対比で爽快。そこが見どころのようでもあり、男たちのgdgdを対照的に強調するための装置と見るのもうがち過ぎで、そういう「何よ、男のくせに!」的な女性が作者の好みであり、また花田的胡乱な論理の支持者にも共通する性向なのだと思う。絶対そうだ。