怪人対名探偵
著者 芦辺 拓
磔刑、絞首刑、美女監禁……最高の本格推理! 著者畢生の本格推理ーー下校途中に暴漢に襲われ、顔に傷を負った玲美。頻発する不穏な事件に落ちこむ彼女を励まそうと誘われた「コスプ...
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商品説明
磔刑、絞首刑、美女監禁……最高の本格推理! 著者畢生の本格推理ーー下校途中に暴漢に襲われ、顔に傷を負った玲美。頻発する不穏な事件に落ちこむ彼女を励まそうと誘われた「コスプレ・パーティ」で、玲美は謎の<怪人>と出会う。時計台の磔刑、気球の絞首刑、監禁した美女への拷問……そして最後に、森江春策が明かす驚愕の真相! 江戸川乱歩へ捧げる著者畢生の傑作本格ミステリ。
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乱歩通俗長編の世界が平成の世によみがえる
2021/01/11 14:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロジックやトリックを重視した正統派の本格ミステリの書き手・芦辺拓は、同時に豊かな物語性の復権を試みる作家でもあります。
そんな彼が、今作の下敷きとして選んだ「豊かな物語」は乱歩の通俗長編。特に『魔術師』の影響が色濃いです。
加害者本人のみならずその一族すべてを根絶やしにせんとする凶気の復讐者。跳梁する怪人。囚われの身となる名探偵。そして名探偵の脱出に力を貸す謎の人物。天晴れなほどの乱歩調の物語という衣装に、現代本格としての血肉が与えられた傑作。
最後に明かされる事件の構図が(伏線を正直に書きすぎているため)、予想できてしまうのが玉に瑕です。
ただ複雑かしただけの話っていうのは、それがどんなに見事な解決であっても、印象が弱い。文章だってそうだ。クイーンの作品はその点、お手本かな
2005/06/09 19:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《小学校からの帰り道、少年が誘拐された。閉じ込められた部屋は刻々と姿を変えていく。探偵花筐城太郎と有明少年の活躍が始まる》
年齢を偽るわけ気はないけれど、乱歩の少年探偵団に全く魅力を感じない。未だに子供の推理といえば明智小五郎に小林少年、年末は忠臣蔵に紅白歌合戦という話を聞くと、「いつまでそこにいる気だろう」と思ってしまう。ま、冗談の種には使う、たとえば分かるよね、小林くん、みたいに。
勿論、乱歩は嫌いではないし、森進一だって偶には聞く。でも、やっぱり西澤保彦やBOAのほうがいい。そうは言っても、本のタイトルに名探偵の字があれば手が伸びる、ホンニ条件反射は恐ろしい。
小学校からの帰り道、一人の少年が誘拐された。閉じ込められた部屋は、刻々とその形を変えていく。少年が見るのは現実なのか、それとも幻か。名探偵・花筐城太郎と有明少年の活躍が始まった。少年を襲う宇宙人、殺人喜劇王と名乗る怪人、女子高校生に切りかかる男、通院の最中の老人を襲う不可解な痛み、時計塔の惨殺死体等。
小説と現実世界が交錯し、読者は混沌とした迷宮に投げ込まれる、とまで書いてきて、どうも最近の新聞記事を見る限り、これって殆ど現実だよね、って思ってしまった。誘拐、引きこもり、薬物依存症、幻覚、劇場犯罪、通り魔、老人医療にバラバラ殺人、それが束になって毎日のように紙面を賑わせる。唐突に思うんだ、いないのは名探偵だけじゃあないかって。凄い世の中になってしまったものだ。
で、小説に戻るけれど、話は設定からも窺えるように、乱歩が恥じながら、しかし読者から最も支持されたという少年探偵団を、如何に現代の本格推理に止揚するかに挑戦したもの。事件が多すぎるのと魅力的な人物登場せず、謎解きが子供には理解できそうにない点は疑問だけれど、賑やか過ぎるくらいの様々な謎に見事な解決をつけた点は、ご立派。
お馴染み森江春策が明かす真相は、もしこれに京極夏彦の文体があれば、傑作になったのにと思わせる。かなりむずかしい謎が最後に見事に解明されたのに、なぜか爽快感が無い。文章に関しては平明で読み易いのだから、多分、複雑化し過ぎた筋に問題があるのだろう。いや、読むこちらにも問題があるのは認めるけれど。
同じ条件で複数の解があれば、単純な解答が正しいという「オッカムの剃刀」は生きている。読んだという記憶は残るものの、それ以上の印象がない。それは『グランギニョール城』でも変わらない。そろそろトリック至上主義からストーリーテリングやキャラクターを重視するほうに向かっても良いのではないだろうか。才能がある人だけに、勿体無いなあと思う。
なつかしい感じでした
2023/02/03 20:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供時代に、明智小五郎と怪人二十面相やら、怪盗ルパンを読んでドキドキ、胸を高鳴らせた自分としては、あの頃の感覚を思い出しました。ただ……自分が大人になっているからか、トリックや色々とツッコミたくなりましたが。