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グローバルサプライチェーンをより効率化するという進め方は、実質的に10年も前に転機となりローカライズ生産に転換していた。円安の恩恵が無くなった理由は、製造業のウエイトがそもそも大きく低下していた。など、改めて認識しました。また、ゴミの輸出が、物流費用の低下により可能となり、SDGsを推進してるねという欺瞞に満ちた説明に何の疑問も持っていなかった自分に気づきました。
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翻訳が素晴らしいので.読みやすいです!!
物流の世界史というよりも現代の世界経済動向の振返りといった感が否めないです。
いまやWEB3.0と言われているのに対し、物流業界人は4.0ということで「進んでる」と思うのは錯覚で、WEB業界が表舞台に出てきたのはたかだか20年弱なのに比べて..
物流は2000年近い歴史があることに気づき、そのスピード感のなさに驚いた!!!
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タイトル通り、物流や貿易、グローバル化の「世界史」を説明した本。産業革命後の時代から現在に至るまで、貿易の形態や盛衰についてファクトベースて説明されている。
グローバル化は4段階に分けることができ、大戦前約40年間の第一のグローバル化と戦後約40年間の第二のグローバル化では、貿易や投資は国単位で計算されていた。1980年代後半からの第三のグローバル化では、「国」という区切りが薄れ、国際バリューチェーンによる貿易となった。第三のグローバル化が大量生産による有形物の貿易、「モノ」の時代であったのに対し、サービス産業・情報産業を中心とした「第四のグローバル化」が始まっている。第四のグローバル化では、国ごとに成功を判断することは不可能であり、急速に変化する世界経済のなかで国民の生活水準が上がったかどうかが勝者の判断軸となる。
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ー 第四のグローバル化の経済的輪郭はすでに明らかになっているが、その政治的輪郭は不明瞭なままである。最も深刻な問題は1世紀近くにわたってグローバル化を推進し、国際関係を形づくってきたさまざまな取り決めが、今後どう変わっていくかということだろう。これらの取り決めも、決して完全なものではなかった。コロナウイルスは、各国が病気に関する情報を共有し、渡航者の健康状態を監視する体制がいかに脆弱であったかを明らかにした。
だが軍事同盟である北大西洋条約機構から政治同盟であるアフリカ統一機構、さらには貿易ルールを策定する世界貿易機関(WTO) に至るまで、何十年にもわたる外交成果も過少評価すべきではない。さまざまな欠陥があったとはいえ、これらの機構は世界中の武力紛争の頻度を減らし、その拡大を防ぎ、何十億もの人々の生活水準に著しい向上をもたらした。
2010年代に起きたグローバル化に対する政治的攻撃の最大の目的は、国際協力を妨害することにあった。こうした攻撃によって、リージョナル化がグローバル化に取って代わることも予想される。 研究者のなかには、米中の動きが重なって「世界が従来型のブロック政治ブロック経済へと引き戻されるかもしれない」と指摘する声もある。しかしそれも確実ではない。いま私たちの前に立ちふさがっているさまざまな障害は、リージョナル化をも阻むものだからである。 ー
非常に示唆に富んだ作品であるが、“第四のグローバル化”がどのようなものになっていくのか、最後の部分の考察がやや物足りない。物流の世界史という観点では、グローバル化がどのように進んできたのかがよく分かる作品だった。
個人的には『コンテナ物語』の方が面白かったかな。
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物流革命が今日のグローバル化を進化させた。
第1のグローバル化は19世紀のヨーロッパ主導で始まった。世界の貿易取引の内、40%近くがヨーロッパを主体とする取引であった。しかしながら、グローバル化が各国に与える影響は限定的であった。
第2のグローバル化は第二次世界大戦後、製造先進国であった日欧米間での取引が主体であった。発展途上国は、先進国に対して原燃料を供給する形で参加した。
第3のグローバル化は、関税引き下げ、輸送手段の信頼性向上・低価格化、及び通信費の低下で進化した。ECは1969年に関税を撤廃し、コンテナ輸送は1956年に実用化された。関税引き下げは、1992年NAFTA、2000年以降も同様の経済連携協定の締結が加速し、コンテナ輸送の拡大に合わせて、第3のグローバル化が進化した。一方、第3のグローバル化による弊害も生まれ、二国間での貿易摩擦、先進国における製造業の衰退、所得格差などの諸問題を招いた。
第4のグローバル化では、テクノロジーの進化や、モノからサービスへの転換によって研究開発、エンジニアリング、デザインがグローバル化される(第3のグローバル化では先進国で製品を考案し、低賃金の国で製造したものを世界中で販売していた)。第4のグローバル化の結果は、従来、各国が重視していた貿易収支には現れず、生活水準が豊になったか否かに反映される
【感想】
・マースクのメガシップ戦略は、輸送効率化を期待していたにも関わらず、荷役作業や、鉄道輸送キャパの問題によって、結果的に非効率的な戦略であったのは意外であった。
・韓進の破綻は、マースクを中心とした海運会社に加えて各国政府主導の過当競争という構造的問題を背景としていることを学べた。
・トヨタの「カンバン方式」の考えは、国際物流が正常に動いていることを大前提としていることに気づけた。いくら効率的な運用であっても、災害・港湾ストライキが発生し、生産や物流に遅れが出た場合には、大損害を被る可能性がある点は考えないといけない。
【Todo】
・アメリカ、日本、中国、ドイツ、イギリスの貿易収支を調べる。
・海運会社(マースク、日本郵船、Evergreen、現代)の財務分析をする。
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モノの流れが世界をどう繋げ、グローバル化を推進してきたかを俯瞰した著作。
時代を区切って解説されており、現在は第4のグローバル化にあたるという。歴史家マクニールの「世界史」で出てくる「ウェブ」の概念にも近いかなと感じて興味深く読めた。
第4のグローバル化でモノから情報に主役が移ると、社会や政治の仕組みがどう変わるかまで掘り下げてもらえるともっと面白いと感じた。
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面白く読めたが、物流の世界史と言うよりも、コンテナの世界史という感じ。
期間も範囲も少なくです。タイトルからしたら物足りないかな?
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1980年から2010年代の第三のグローバル化を中心に分析し、各段階のグローバル化の違いを明らかにし、現在進む第四のグローバル化を見通す。
◯第一のグローバル化
・蒸気船と電信
◯第二のグローバル化
・戦後の貿易障壁の撤廃、GATT、ECSC
・コンテナ革命
・工業製品輸出入の主流化
◯第三のグローバル化
・1970年代の金融グローバル化と金融危機
・貿易連携協定の拡大
・補助金、税制優遇のよる船舶乱造、輸送コスト低下
・補助金による輸出入増、日韓中の台頭
・世界中もっとも安価で品質の良い原料、部品、組立てによる製造業の変質。サプライチェーンからバリューチェーンへ
・企業が創出する付加価値と国家の貿易収支が一致しなくなる
・輸出入量の増加、輸送船大型化の競争激化により、リスク拡大、サプライチェーン柔軟化のための潜在コスト増加
・補助金による国内産業強化と競争力低下・依存体制
・貿易自由化による雇用喪失・格差助長と保護政策による長期的非効率化
・過度なメガシップ化による効率・信頼性の低下
◯第四のグローバル化
・インターネットによるサービスのグローバル化
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自由貿易は規模の大きい先進国に利益を与えるが、「世界経済の周辺部」に置かれた国々に損失を与える。
「輸入代替工業化」=一次産品は工業品に比べて技術発展により価格が下落することから、同じ量の工業品を輸入するのに原材料の輸出をどんどん増やさなければならなくなる。
だから自由貿易を歓迎しないで、消費財の輸入を抑え、機械や工場設備を導入するべき。
消費財は国内産業を高関税で保護し、逆に富裕国に輸出すればいい。
しかし成功例は韓国と台湾、中国のみ。
長距離バリューチェーンは高くつき、リスクが大きく、信頼性が低く、必要性も低いという認識によってグローバル化には終止符が打たれつつある。
工場生産や対外投資におけるグローバル化は後退しているが、サービスやアイディアの流通という点では急速に進化している。
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物流だけに捉われず昨今の経済についても学ぶことのできる一冊だと思います。
タイトルの通りこれまでの物流の流れや成長について学ぶことができます。その成長の中には社会や経済が密接に関係しており、初心者でも体系的に学ぶことのできる内容でした。
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物流におけるグローバル化の歴史について4段階に分けて書かれた本。ヨーロッパ植民地帝国を核とした第一のグローバル化、戦間期の停滞、戦後GATTを中心とした西側諸国による第二のグローバル化、そして80年代後半以降長距離サプライチェーンを伴った第三のグローバル化が始まった。更に本書ではグローバルサプライチェーンの良い面だけでなくリスク面にも触れられている。中東戦争、台湾有事などの地政学リスクにより再編を求められているグローバルサプライチェーンについて考えるためにも読むべき本。
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比較優位説に基づいた国際分業を補強する国際物流を通じて発展してきたグローバル経済において、その付加価値の主体がどのようにして「モノ」から「情報」に移っていったかがまとめられた良い本である。昨今、物流に従事するドライバーなどの待遇が問題にされているが、この本に示唆されてあるように、主役が「情報」に移ったことも1つの原因なのかもしれない。
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読みにくかったです
デヴィッド・リカードが唱えた比較優位
(自由貿易において、各貿易国が自国の中で得意とする分野に特化・集中することで、対象国全体の労働生産性が上がり、互いに高い利益を得られる)の概念は勉強になりました
グローバル化の第1段階
欧州列強が植民地に通商網を張り巡らせた
先の大戦後の第2段階
国際貿易が活発化
第3段階
製品の部品調達から消費までの流れが国境を越えてつながった
第4段階
国際物流の主役が「モノ」から「情報」へ変化している
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物流と経済の歴史を把握できる良書。
読むにあたっては経済の前提知識が必要。
ただ、戦時/戦後の経済状況が今とは全く異なる計画経済的要素を多分に持っていたことなど、歴史の振り返りにもなる本だと思った
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正確にこの本を表すなら「グローバリゼーションの歴史」あたりが適切だと思うんだけど、まぁ原題が「Outside the Box: How Globalization Changed from Moving Stuff to Spreading Ideas(アウトサイド・ザ・ボックス グローバリゼーションはいかにして「モノの移動」から「アイデアの拡散」へと変化したのか?)」と、同作者の『コンテナ物語』を強く意識したものになっているので、知らない読者と知っている読者のいいとこ取りをするためにこのタイトルにしたのかもしれない。
いや、誤解を招くとは思うけどさ…。
グローバル化が当たり前になった今から見ると不思議なことだけど、昔は主に運送などの点からグローバル化することのデメリットが多かった。発想としてないわけではないんだけど、コストとリターンがあってなかったんだな。
ただ、そこからメリットが上回ってくると、サプライチェーンという形で企業は一気に発達しだす。
それはある程度まで上手くいっていて(日中韓とかね)いたけど、消費のカタチが「モノ」から「情報」へ移ったことで、これまでの見え方だと見えにくくなってしまったものもある…というあたりかな。GDPが当てにならないのはこういったケースで、国主導で見ること、あるいはビジネスを補助金なんかでコントロールすることはどこまで通用するのかなぁ、という。
主題ではないけど、EUなどのグローバルの枠組みが、世界戦争を防ぐ役割を担っているというのは気付かなかったので良い指摘だった。
世界は複雑化してくけど、それは誰かが暴走しないようにする安全弁が多くなっている結果かもしれないね。