片翼のアルファ竜と黄金のオメガ

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投稿者：やまだち　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

王族で竜の血を持つα、一般市民のβ、そしてΩは迫害され内々に処分される設定のファンタジーオメガバースです。

ネタバレがあります。

●三歳年上の幼馴染みでβの攻め・カイル（第二王子でα・カミーユ）
●オシアノス国では特異な姿をしたβの受け・ユリウス（のちにΩ）
○受け視点、ときどき攻め視点

王都レギーナに憧れるユリウスは、両親はもちろん村人や国の誰にも似ていない容貌をした男の子です。そのため迫害を恐れた両親の言いつけを守り、家業である畜産や農作業に励んでいました。そんなユリウスの楽しみは、三歳年上の幼馴染み、カイルと遊ぶことです。カイルはユリウスの本当の姿を知る、兄のような存在でした。そしていつかカイルとともに、レギーナに行き憧れの騎士団のパレードを見るのがユリウスの夢です。

ところがユリウスが13歳になった頃、カイルは騎士団に入るため村を出て行ってしまい・・・

都から遠く離れた村でささやかに暮らしていたカイルとユリウスが離ればなれになり、不幸な出来事から再会して番い、混乱した国を鎮めて幸せになる。スケールの大きいお話でした。

異母兄の裏切りと仕打ちから虚無感に襲われていたカイルを、ユリウスが励まし大逆転にいたる展開は、ファンタジー好きにはたまらないでしょう。

愛の力が奇跡を起こす王道ものが好きな方におすすめです。

ただ気になったことがいくつか。

側室だったカイルの母アーリーンが、終盤ではいつのまにか王妃になっていて正室のドリスはどうしたんだろうと。

またΩは内々に処分されるのなら、Ωの因子を持つ者は淘汰されるのに、β同士の両親から生まれたユリウスはなぜΩとなり、なぜあの容貌なのか。ユリウスの母親が飲んだ湖の水が関与していたからなのか。説明がありません。

そして政情不安に陥れた宰相ゴードンの行方や息子ダリルの確執のことなどスルーだったので、もう少し詳しく読みたかったです。