「タ」は夜明けの空を飛んだ
著者 岩井三四二
1900年代初頭。日清、日露の二戦争の間に、通信技術は手旗から無線へと飛躍的に進化。日本海軍は戦況を左右する無線機の独自開発を決定。科学者・木村駿吉は、原理すら解明されて...
「タ」は夜明けの空を飛んだ
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商品説明
1900年代初頭。日清、日露の二戦争の間に、通信技術は手旗から無線へと飛躍的に進化。日本海軍は戦況を左右する無線機の独自開発を決定。科学者・木村駿吉は、原理すら解明されていない無線機の改良を手探りで進めていく。マイペースな科学者が無茶振りに応えた結果、彼らの血と汗の結晶、三六式無線機を搭載し、日本海軍は当時最強と謳われたバルチック艦隊を迎え撃つ――。授業では教わらない歴史の行間に潜むドラマを掘り起こし、迫力の筆致で活写した傑作描き下ろし。新たな歴史小説の誕生!
目次
- 第一章 それ以前の世界/第二章 新しい世界を拓け/第三章 小手先と本質/第四章 海上は波高し/第五章 神は細部に/第六章 日露開戦/第七章 「タ」を連打せよ/第八章 その後の世界
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作者の新機軸
2022/05/03 19:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
日露戦争に備えた無線機の開発話である。
岩井三四二の久しぶりの新作は従来の作風とは全く異なる作品であった。日露戦争を舞台とした作品で、語り口も従来作品とは異なってルポルタージュ 伝記風になっている。創作物ではない近代の実在の人物だけに人物描写がやや平板になっているのはやむを得ないかな。吉村昭の未発表の作品と言われたら信じてしまいそう。それよりも、いろいろなことを考えさせられた作品である。
「力こそ正義」と、日露戦争のときも、ロシアがウクライナに攻め込んでいる今も、国家 国民の運命を決める重要な要素の一つが「科学技術」であることは疑う余地がない。
日露戦争のときは、本書が描き出しているように新技術の開発 運用に成功したが、技術力の低下が言われている現代日本は、うまく切り抜けることができるのだろうか?
本書の中には、マルコーニは無線だから当然だが、ニコラ・テスラとかジーメンスや島津製作所などが出てきて嬉しくなった。
日露戦争はすでに現代戦の要素の萌芽を数多く持っていた。無線や火薬などの科学技術の面もそうだが、国外への報道.プロパガンダによる戦費調達、情報戦、諜報戦。そして何よりもそれらを使いこなす懸命の努力。