最後の防衛線 危機と日本銀行
著者 中曽宏
金融危機を食い止める「最後の防衛線」を担ったのは、もとより中央銀行だけではない。民間金融機関や金融監督当局、預金保険機構、そして資本不足に対応する公的資本注入の財源を握る...
最後の防衛線 危機と日本銀行
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商品説明
金融危機を食い止める「最後の防衛線」を担ったのは、もとより中央銀行だけではない。民間金融機関や金融監督当局、預金保険機構、そして資本不足に対応する公的資本注入の財源を握る財政当局だ。強固な防衛線を築くためには関係者が一致協力して事に当たらなければならない。防衛線に綻びが生じると危機は瞬く間に拡大してしまう。
本書は、1990年代の日本の金融危機と、2008年のリーマンブラザーズの破綻を挟む国際金融危機という2つの大きな金融危機に、現場部署で対応することとなった中曽前日銀副総裁の闘いの記録。この二つの危機について陣頭指揮した人物は中曽氏以外いない。本書は、平成経済を語る上での必読書となろう。
本書は四部構成となっている。第I部では、1990年代の日本の金融危機を扱っている。当初は想定を上回る事態が重なる中で対応が後手に回った状況を振り返る。
第II部は、国際金融危機を取り上げた。発生メカニズムについて考えたうえで、中央銀行の対応を、リーマン破綻までの一年間、破綻直後の緊急ドル流動性供給の仕組みの構築、そして金融政策面からの対応という3つの段階に分けて記述する。
第III部では、国際金融危機後の日銀と金融政策を扱う。白川総裁の下で開始された各種の臨時異例の金融政策が、黒田総裁のもとでどのような変化を遂げていったかについて振り返る。また、副総裁時代の仕事の大きな割合を占めることとなった組織運営面での対応についても触れる。
第IV部では、金融危機から学ぶ教訓と今後の課題について整理する。
目次
- プロローグ
- 第I部 1990年代の日本の金融危機
- 第1章 金融危機前夜
- 第2章 初期の危機対応
- 第3章 1997年秋の金融危機――ー暗黒の11月
- 第4章 体系的な破綻処理の仕組みの構築
- 第5章 中央銀行の「最後の貸し手」機能
- 第6章 なぜ危機終息に長い時間を要したのか
- 第7章 日本の金融危機が残したもの
- 第II部 国際金融危機
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金融危機に奮闘した熱い日銀マン魂
2022/06/21 16:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Takeshita - この投稿者のレビュー一覧を見る
分厚い本で、且つある程度金融知識もいるので読み通すのに時間がかかる。しかし読了した後は著書の真摯な奮闘努力に敬服する。バブル崩壊後の90年代には相次ぐ金融機関破綻に際し、「ホテルニチギン」に泊まり込みであった。リーマン後の国際金融危機の時はBIS出向中であったが、乞われてBIS市場委員会議長になり日本帰国後も7年間に亘り議長を続けた。この頃の海外出張は年間127日に及んだと言う。おまけに昼夜分たず国際電話が入る。その後日銀副総裁として、黒田総裁を支え異次元金融緩和の諸政策を開発して2018年に退任した。90年代の金融危機で自死した2名の日銀理事等への鎮魂の章もあり、思えば平成の金融危機は誠に壮絶な日々であった。それを支えたのは「最後の防衛線」としての日銀マン魂であり、絶対に部下より先に退社しなかったと言う高潔な人柄である。日銀のみならず金融関係者は一度は目を通してておきたい力作である。