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いやー、重かった!けど、よかった!
いや、全然、爽快感とかはないんだけど、自分の中でも、ずっと考え続けている問題なので…読めてよかった。
この小説に登場した教誨師の牧師さん達はアルコール依存になっちゃったりしてる…死刑囚に向き合うだけでも大変なのに、主人公の牧師さんは常軌を逸した思いを持って対峙しているので、小説だとわかって読んでいるのに、その空気の張り詰めたさまに、吐きそうな気分になりながら読んでいた。
人間は罪深い存在で、誰もそれを否定できない。
何のために生きるのかを知り、どう生きるのかを考えたら、赦されたいと思うだろうし、そう思うなら、自分も赦さなければならないだろう。
まぁ、わかっていてもできないのが人間だし、できたと思ってもできてないのが人間なので、なんとも難しいんだけどね…。
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死刑囚に関わる仕事をする過酷さ。読んでいて苦しくなる。ただ何人も殺した死刑囚が月1回の教誨師によってこんなに改心するもの?!ってくらい最後にはいい奴みたいになっていて、殺された人が浮かばれない。(どうしても上手くいかなかった死刑囚の描写がなかったからかな?みんなどんどん改心してる。石原もなんだかんだ、すっと打ち解けてる)死刑囚がいい奴になってきてる分、真里亜が怖い。
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2023/04/25リクエスト 20(未)
目白の教会の牧師である保阪宗佑は、実の娘の由亜を殺される。犯人は死刑判決にサンキューと言うような、罪の意識のない若者の石原亮平。
「あの男に生きたいと、もっともっと生きていたいと思わせたうえで、死ぬ直前に地獄に叩き落す言葉を突き刺してほしい。」
と育ての親である北川優里亜が言ったことで、
『生きることに未練がなく死刑執行を待ち望む石原に、生きる希望を持たせる。そして死刑執行直前に、地獄に突き落とす』
ことを目的に保阪は東京拘置所の教誨師を務める。
この考え方が理解できず、何度も読み返した。
自分が親の立場でこれを思うか、と。
以前、『教誨師』という本を読んだことがあった。その本で教誨師の職務内容を知り、衝撃を受けた。それである程度知ってはいた。が、今回の作品中では執行時、暴れたりして最後の教誨どころではなく、教誨師の目前で縄をかける、というパターンが描かれていて、これは厳しいと思った。
死刑囚、刑務官、教誨師、それぞれの立場。
時間が経つ事に変化する三者三様の気持ち。
最後、人間らしい三人の姿を見て悲しい結果ではあるものの、私は納得した。(うまく言えないが、子を殺され犯人が死刑になったからと言って納得、という訳では無い)
何度も本を閉じてしまい、ページがなかなか進まず難航した。
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千葉刑務所の教誨師である保阪宗佑は仙台在住の北川真理亜と由亜の母娘と親しくしていて由亜には東京のおじさんと呼ばれています。
由亜には木本康弘25歳と婚約を知らされ妊娠中であることも告げられます。そして父親のいない由亜と一緒にバージンロードを歩いて欲しいと頼まれます。
そんな幸せのさなか由亜が石原亮平25歳に無残な殺され方をします。石原は「若い女をいたぶりながら殺したかった」と供述し「生きていてもつまらないから早く死刑になりたい」とも言っていました。
保阪は実は昔、真理亜の妹の優里亜と交際していましたが、姉の真理亜に一目ぼれしてしまい、そのことをたまらなくなって優里亜に告げると優里亜は行方不明になり1年後由亜という子供を遺して飛び降り自殺をしていました。
由亜は真理亜が引き取り保阪とは結婚できず、実の父でありながら「東京のおじさん」として会い続けていました。
真理亜は保阪に「由亜を殺したあの男に、もっと生きていたいと思わせて、死ぬ直前に地獄に叩き落す言葉を突き刺してほしい」と教誨師として亮平に会うことを頼みます。
保阪も「クリスチャンではいられなくなるが、由亜の無念を晴らしたい」と同意します。
そして保阪は東京拘置所の教誨師鷲尾に近づき、亮平の教誨師となることにまんまと成功します。
果たして、保阪は亮平に本当に仇討ちをするのでしょうか…?
薬丸岳さん、読ませるのが上手いなあと思いました。
読みやすい文章で、最後は私には珍しく涙が出ました。
とてもヒューマンな物語でした。
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教誨師という存在を初めて知った。
刑の執行までに罪を認め、向き合い、被害者たちへ贖罪の気持ちを持つ。
そこまで至る者が皆ではないかもしれないけれどただそうであってほしい、そうなってくれと祈りながら読んだ。
読み進めるうちに苦しみを与えるだとか復讐だとかそういうことが薄くなっていくのが不思議で誰かに祈りを捧げることで自分自身の気持ちも浄化されていくようだった。
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良すぎた。過去1番良かったかもしれない。震えた。ヘビーな話なので、自信を持ってオススメです、とは言い難いがこの話を読んで知れたことは人生の大切な教えになると思った。最高だった。
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※
娘を殺した殺人犯を赦すことができるのか。
親として、職業人として、1人の人間として、
罪と罰、贖罪と赦し、生と死、人としての
生き様を描いた物語。
最期の時を迎える瞬間、主人公と殺人犯の
対話に鳥肌がたちました。
ーーーーー
若い二人の女性の命を理不尽に奪い、
死刑判決を受けた死刑囚。
娘を殺された父親として憎しみ、
罪人に救いの道を示す教誨師としての務め、
大切な人を殺めた相手を赦し、救いを差し伸べ、
最後の時を見届けることができるのか。
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感想
私人と職業的使命の狭間。敵意を受け止め報復に走る。宗教はその連鎖を食い止めることができたのか。すべての人の悔恨は神に届けられるべきか。
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死刑シーン。クリスチャンになった3人殺した死刑囚が死にたくないと暴れる。
教誨師は重罪犯の刑務所を尋ねる。
保阪宗佑は交際していた女から姉を紹介されると一目惚れ。姉と交際。妹は妊娠していた。出産したが自殺。姉が姪を養子。保坂は実父であることを隠していた。結婚がきまり、妊娠もしていた
殺されてしまう。犯人は殺人したのは死刑になりたいから。謝罪はなし。
保坂は被疑者の教誨して復讐をする。
刑務官に死刑囚が殺した女が実娘だとばれる
上司には秘密。死刑囚は徐々に態度がかわる
自分を捨てたと思った姉と面会。
死刑囚から実娘が最後に言った言葉が、お父さん助けてだったと言われる。娘は勘づいていた
死刑当日、死刑囚が死ぬのが怖いと言われる
死刑の立会い時に地獄に落とす言葉を言うはずが
全てを許すと告げる
殺しされな人は、もう誰にも何も伝えられない
自分も姉に何も伝えないことにする
保坂は姉の家を訪ねる
死刑囚は両親離婚後、父と暮らす。父は新しい女との生活で自分が邪魔。祖母に預ける。食事も与えられない生活。祖母殺害。少年院を出た後、幸福に見える人間を殺害。死刑になりたい。
姉と実母は弟を父親に預けたことを心配
自分達の生活が忙しく祖母殺害を知らず
今回の事件で弟が殺人犯になったことを知る
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さすがに出来過ぎ感のある設定だけど、そこは薬丸岳、引き込まれて夢中で読んだ。
死刑反対派ではないが、「この人たちが手をかけた人は、最後のお別れも言えず、耐え難い恐怖と悲しみの中で命を落としたんだ」と自分に言い聞かせ、犯人に同情しないようにしようと心にブレーキをかけている自分がいた。
亮平が「最期に何も伝えなかったこと」が贖罪の思いからだとしたら、本当に切ない。
実在の刑務官や教誨師の方々の生の声も聞いてみたいなと思った。
遥のセリフが秀逸。
「…だけど亡くなった人はもう何も伝えられない。誰かに伝えたかったことも伝えられないし、誰かが伝えたかったことももうその人たちの耳には届かない。あなたがしてしまったことはそういうことなの。だから…せめて生きている間に自分が何をしなければならないか考え続けてほしい」
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教誨師や刑務官がこんなにも壮絶な苦しみを背負い、日々死刑囚と向き合っているという事に衝撃を受けました。
娘を惨殺された復讐ができるのか、それとも違う結末が待っているのか凄く気になって一気に読んでしまいました。
最後はある意味スッキリしたというか、いい終わり方だったと思います。
重く辛い内容でしたが、読み応えのある作品でした。
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すっっっっごく良かった。
大好きな作品がまた増えた。
#友罪 #天使のナイフ も大好きだけど、
個人的にはそれらを超える響きがあった。
一気読みしたかったけど、
堪えて、ゆっくり味わいながら読んだ。
前作の#罪の境界 は
私は正直被害者のその後の生活の部分が
長すぎてちょっと苦痛だったところもあったし、
ちょっと物足りなく感じた。
新作見つけて迷わず、買って良かった。
また再読絶対すると思うし、たくさんの人に読んでもらいたい。
装丁もお気に入り。
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娘を殺された牧師である主人公とその娘を殺した死刑囚とか拘置所の教誨を通じて対話するというお話。
本作品のテーマにあるのは「赦し」というものなのかな?と思っています。
犯人に死刑判決がくだされるまではただ、胸糞悪く、正直、赦しなんてありえへんやろうと思いました。
私が家族をある日突然誰かの悪意で失ったら、どんな言葉を並べられたって、何をもらったって、どんなに改心をしたって許せる訳がないですから。
そういう意味では、人の命を奪った人が赦されるということはあり得ないなと思っていました。
ただ、一方で、特に本作品のように死刑囚となり、塀の中でただ、死を待つしかない人は死刑さえ執行されてしまえばそれで良いのか?とも思いました。
何が正解かはわかりませんし、私は幸いにして被害者家族でもなければ、人も殺めたこともない人間で、本当に本作品を読んで考えることしかできないのですが、「赦しを乞う」とは赦されるべき罪を認めた上で行えることだと思うので、赦されたいと思える状態になること、これが赦されるかどうかは別として大事なことなのではないかと思いました。
普段、なかなか考えないことであったり、なかなか抱かない複雑な感情が芽生えてくるそんな作品だと思いました。
あなたはどんな感情を抱くだろうか。
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薬丸さんの20冊目。贖罪や赦しといった重いテーマが多いが、その中でもこれはかなりヘビー。2日間で読んでしまいました。
牧師である保阪は、本当の父親であることを告げられないまま、結婚式直前に娘とお腹の子どもを惨殺された。
父親であることを告げられなかったのには、深いわけがあった。犯人の石原は罪の意識がなく、さっさと死刑にしろ、と言う。
教誨師として石原に近づき、死刑執行直前の教誨の際に石原を言葉で地獄に落とすことで復讐を計画する。
拘置所で死刑が確定している囚人に対する教誨師の接し方、死刑制度のあり方いろいろと考えさせられました。
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話の展開や視点の変化がテンポよく、長いドラマを一気に観たような達成感。執行の流れや立ち合いの葛藤も細かく、臨場感があった。
教誨は、神に赦しをこうて、自らを見つめ直し深い贖罪をする手助けか、滞りなく死に向かわせる後押しか。
絶望を味わわせるつもりが、結局相手にとってこの上ない穏やかな最期を演出した…それが自分の過去への贖罪となると?結局は自己満足?最後がキレイすぎるかなぁ。でも、ここまで残酷な罰を耐え忍んだのだから、赦されてほしい。