走れメロス
無頼派、新戯作派と呼ばれ、『走れメロス』『人間失格』『斜陽』『津軽』など、現代まで読み継がれる数多くの名作を遺した文豪・太宰治。代表作『走れメロス』を収録。
走れメロス
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☆走れメロス☆
2024/05/25 18:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ACE - この投稿者のレビュー一覧を見る
太宰治の名作を読む。
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羊飼いのメロスは、16歳になる妹の結婚のために必要な品々を買い求めに町を訪れたが、町の様子がひどく暗く落ち込んでいることを不審に思い、市民に何が起きているのかを問う。そして、その原因である暴君ディオニスの話を聞き、メロスは激怒する。メロスは、王の暗殺を決意して王城に侵入するも衛兵に捕らえられ、王のもとに引き出される。人間不信を断言する王に対し、メロスは反論する。当然、死刑に処されることになるが、メロスは、親友のセリヌンティウスを身代わりの人質として王のもとにとどめおくのを条件に、妹の結婚式をとり行なうための3日後の日没までの猶予を乞い願う。王はメロスを信じず、死ぬために再び戻ってくるわけがないと考えるが、セリヌンティウスを処刑して人を信じることの馬鹿らしさを証明してやるとの思惑でそれを許した。王城に召されたセリヌンティウスは、メロスの願いを快諾する。
メロスは急いで村に帰り、誰にも真実を打ち明けないで妹の結婚式を急ぎ、夫を信じて誠心誠意尽くすように言い含め、式を無事に終えると、王宮に向けて走り出す。難なく夕刻までに到着するつもりが、川の氾濫による橋の流失や山賊の襲来といった度重なる不運に出遭う。困難に打ち勝つも、メロスはそのために心身ともに疲労困憊して倒れ込み、王のもとに戻ることを諦めかける。セリヌンティウスを裏切って逃げてやろうかとさえ思うようになる。しかし、近くの岩の隙間から湧き出てきた清水を飲み、疲労回復とともに希望が生まれ、再び走り出す。
メロスは、体力の限界まで走り続け、日没の直前、今まさにセリヌンティウスが刑に処されようとするところに到着し、約束を果たす。
メロスは、セリヌンティウスに裏切ろうとしたことを告げて詫び、セリヌンティウスもまた、メロスをちらと疑ったことを打ち明けて詫びる。王城に集った人々は、2人に喝采を浴びせた。そして、それらの一部始終を群衆の背後から見ていたディオニス王も、暴君のそれではなくなっていた。