温かい涙が・・・
2024/01/25 09:32
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投稿者:再び本の虜に - この投稿者のレビュー一覧を見る
あらすじをサラリと目にしただけで読み始めた1冊でしたが。物語に静かに引き込まれていきました。とても辛いお話なんですが出てくる人たちが優しい、あったかい、悪人がほぼ出てこない。人物描写が細やかなので想像が膨らんでいきます。だんだんと佳境に入っていくと、あり得ないような辛い厳しい展開なんですが主人公の青年はあくまでも冷静で優しいのです。結末は想像できてしまうのに、治るよね?治って!!と祈りたかったです。主人公の実家が岡山となってて私が今住んでるところなので親しく感じました。地元民ではなく「晴れの国おかやま」に移住したニワカですが。方言を読んでて、ああそうなんだ、こういう言い方するのね、と。もう一つの類似点が双子の設定。本当に二つも共通した小説は初めてで思い入れのある作品となりました。藤岡陽子氏の他の作品も読もうと思いました。
きのうのオレンジ
2024/12/29 00:53
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投稿者:ジュンジュン - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公が自分の病気を知ってからの闘病とそれにリンクした過去の家族とのエピソードなど、よいテンポで次々と読み進められました。とにかく自分のことよりも人の気持ちを大切にする遼賀、自分の手術の後、母親にかけたおばあちゃんの心配をする優しい言葉、電車の中で読んでて、思わず泣いてしまいました。自分が辛い時に、なんでそこまで考えるの?と。切なくなったのを記憶してます。
最期に亡くなってしまったのはすごく残念ですが、弟の恭平との強い絆など本当に読後感がこんなに感動して読み終わりたくないと思ったのは久しぶりでした。
職場の読書好きの先輩にもすぐに読んでほしくて貸しました。今また時間を開けて、再読してます。
登場人物が皆、優しくて素敵な人たちで、素晴らしい本でした。
大病を前にしてどう生きるか
2024/03/07 13:44
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投稿者:kunkun - この投稿者のレビュー一覧を見る
「手のひらの音符」も素晴らしい作品と思いましたが、こちらも感動的な作品でした。重篤な病にかかっていることがわかった主人公がパニックにならずに事実を冷静に受け止めながらも力強く生きていく作品です。私が同じ立場ならとてもこうは生きられないと思いました。
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内容も確かめなくて、ただ、書名と装丁に惹かれてずっと気になっていた作品で、文庫本になって手に取りました。
内容は、なんと33歳の若さで癌に侵された主人公と支える家族や関わる人達の話でした。
辛くて、苦しくて、でも温かくて、涙がボロボロと流れるような素晴らしい作品なんでしょうが、癌で家族を看取った経験のある私は、この作品に共感も感情移入もほとんどしないまま読み終えてしまいました。
ただ、そんな中でも主人公の弟には好感が持てました。
少し残念でしたが、数年後、読み返すことがあったら違う感想が生まれるでしょうか。
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癌、闘病、余命と、これだけでグッとくる内容ですが、そこを超越した人の清らかさを感じます。
号泣をこらえながら…です。
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遼賀の気持ち、お母さんの気持ち、恭平の気持ち、泉の気持ち、どれも伝わってきて、辛いのと、良かったのと。
特別なことをしなくとも、みんなの記憶に残れる人生ならいいな、納得できる人生ならいいなって思った。
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涙なくしては読めません…
遼賀と
恭平、両親、祖父母、泉との関係が
あまりにも優しくて切なくて。
私も遼賀のように優しくなりたいな。
恭平、泉のように強くありたいな。
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『手のひらの音符』以来2作目の藤岡作品。正直誰かが亡くなるのを前提にした作品は苦手で、余り好んで読むことは少ないのだけれども、タイトルとカバーデザインに惹かれて、手に取りました❗
一風変わった家族を描く、瀬尾まいこさんの作品とはまた一味違う、優しくて温かい家族小説でした。
いつ何時自分も同じような境遇に置かれるかも知れないけれども、今を精一杯前向きに生きていこうという気持ちにさせてくれる、素敵な作品でした❗
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解説の大島さんも書いてますが、闘病の話なのに明るくて救われます。
登場人物が皆気持ちのよく素敵な人たちです。
自分が闘病の時はこんな人たちがそばにいてくれたらいいなと思いましたし、自分自身もこうなりたいです。
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主人公の病がどうか治りますように。ハッピーエンドでありますようにと願い続けながら読み進め、読み終えた後は、胸に迫る深い読後感で涙が溢れた。
男の子って不器用で、本当の気持ちを素直に出せないけど、たくさんの思いやりと優しさを持って生まれて来てると思う。でも男だからという鎧を着せられて踏ん張って頑張っているんだろうな。
全く愛想も無く、会話もない自分の息子の周りにもホッと安心して心を許せる人がいますようにと願わずにいられなかった。
両親や祖父母、兄弟。身近な家族の温かくも堅い絆は、死ぬ間際に最も感じられるのかも知れないが、生きている間にこそ感謝の気持ちを伝えなければと改めて思えた。
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感想
黒い絶望の中に放り込まれる。だがオレンジ色の希望はそこにある。どんなに時にも生きる希望を失わない。例えその道が黄昏に続いていても。
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作者の藤岡陽子さん、看護師だったんやね、納得。
チェーンのイタリア料理店の店長を任されていた笹本遼賀くん。誠実に真面目に生きてきたけど、33歳の若さで胃癌になってしまう。
周りに双子の弟と思われていたけど本当は従兄弟の恭平、母の澄子、祖母の富という家族のお互いの思い合いと、病院で再会した高校の同級生だった看護師の矢田泉に、店のバイトで遼賀を慕う高那、皆が遼賀を気遣い、遼賀も皆を気遣うが、癌は否応なく進行していく。作者が看護師ならではのリアルな病の進行が描写される。
1章から5章まで、語り手が変わりながら時間が過ぎていく。凌駕本人、母、泉、恭平、そして遼賀本人と。中でも母の章の遼賀への思いが、、、。
あの子が子供の頃にもっと褒めてやれば良かった。身の回りをきちんと整えられる几帳面さを、約束の時間に遅れない真面目さを、嘘をつかない誠実さを、物事の好き嫌いをむやみに口にしない慎重さを、自分の意見をあえて言葉にしない優しさを、母親の自分がきちんと口に出して認めてやればよかった。
泉も高校生の時の遼賀をちゃんと見ててくれたし、リモコンの5のポッチのように目立たないけど頼りにしてたよ、と伝えてくれた。遼賀自身は褒めてもらわなくても幸せな人生だったと言えて良かった。
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丁度胃の不調や健康診断で胃カメラ検査した方が良いという時期だったので、あえて読んだ。
人生は時間が限られているから今を後悔ないように精一杯好きなことをし家族を大切にしようと思った。
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母が胃ガンで亡くなっているので、思い出して辛くもなったのだけど、
精一杯生きなくては!と改めておもいました。
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私も30代前半に人生初の入院と手術を経験しました。だからこそ本作に共感を抱いたのでしょうね。
本作『きのうのオレンジ』のあらすじと感想になります。
33歳の若さでガンを患った遼賀(りょうが)は、この報せを誰に伝えようかと電話先の相手を探すが見当たらない。いわゆる「地味で目立たない良い人」であった遼賀は悩み抜いた末、双子と度々間違われる同い年の弟、恭平に声を繋ぐ。
過去に2人は雪山で父とはぐれて遭難し、死を覚悟した恭平の濡れた登山靴に自らのオレンジ色の登山靴と希望を与える。遼賀はそんな想いやり溢れる子であった。そんな遼賀がどうして…。
本作は闘病生活を綴る作品でありながら、恭平や母親、同級生で担当看護師の矢田や職場同僚の高那と、様々な人の視点から見た遼賀と自分が語られ、その一つ一つに涙が零れました。
特に遼賀が矢田に対して自分の苦しさを「わかるなんて言ってほしくない」と辛く当たる言葉に、矢田が返した言葉に乗せた想いは著者の藤岡陽子さんが最も伝えたいメッセージだと胸深く刺さりました。
小川糸さんの『ライオンのおやつ』に似た闘病生活を語る作品ですが、読了して振り返った私の本には多くの付箋が頭を出しています。本当に素晴らしい作品でした。
#マックで泣いた夏の読書感想文