居場所と繋がりの物語、だと思った
2024/07/14 23:27
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投稿者:はぐらうり - この投稿者のレビュー一覧を見る
良かった。
他の方の感想を読むと「静か」な物語と書かれていることが多いけれど、割と感情が目に浮かぶし、これまでのいろんなクリエイティブから映像も浮かんでくる気がする。うるさくはなく、心地良い。
独特なところから時代を切り取る方が出てきたな、という印象。鋭くえぐるわけではなく、今ってこうですよ、と市民の目線で描ける方。やりきれないよね、とフラットに伝えてくれる小説家。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんとなくありそうな老人ホームだなあ、というのが、読みはじめの感想でした。しかし、前半は、そう興味を持つでもなく…。たんたんと進む感じで、後半へ。後半は、色々と…、で、途中で挫折しそうになった方、後半まで頑張って読んでみて下さい
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
どこが良いのか分からなかった。
芥川賞作品って、そういうの多いけどね。
「嘘つき姫」の方がおもしろかった。
いろんなものが書ける作家さんなんだね。
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芥川賞の発表前になんとかギリギリ読み終えた。
著者ご本人によると地味な作品とのことだけれども、奇をてらうでもなく現代社会の問題を題材にしつつも誰かに肩入れすることなく淡々と概ね穏やかに進む落ち着いた良作だと思いました。
他の方も感想として書かれていたけれども付かず離れずの距離感がよく、でも最後は心を揺さぶられて読後感も良かったです。
タイトルと表紙の通り海岸通り沿いやバス停での情景が思い浮かび、自分もバスに乗っているかのようにも思いました。
『嘘つき姫』とはちょっと趣きは違うけれども、本作も大好きになりました。読み終えたばかりだけどもう再読したくなります。
オススメです。
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【第171回芥川賞候補作】海辺の老人ホームで清掃員として働くわたしは、ウガンダ出身のマリアさんと親しくなる。女性達の緩やかなつながりを描く静かな物語。
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文學界2月号より
老人ホームの清掃員の主人公
まずこの主人公が感情移入しにくく、キャラクターが掴みづらかった。若干認知気味、ホームの入居者サトウさんやウガンダ出身の新人清掃スタッフ、マリア。
性格的に陰キャで、なるべく人との関わりを避ける主人公がマリアとの交流の中で知らず知らず芽生える感情とは?
淡々とした乾いた日常の中、時折り感じさせる潮風のような爽やかさ。ラストに向け爆発されていく
主人公の感情に引き込まれた。さよならオレンジを思いださせる、異文化との交流。
短い話であったが好きである。
ただ、いかんせん、主人公の心情の変化に至るまでの過程があまり描ききれておらず、少し軽さを感じてしまうのは残念。
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想像する海辺の穏やかな景色とは反対に、人間の生々しさを感じました。
生きるとは。生きているとは。生きたいとは。
それは、都会でも田舎でも、どんな場所でも、人の生活は営まれ、誰かと誰かが関わり、交差し、時は流れていく。
今、私は何をし、何を感じているのか。
生きているこの瞬間のエネルギーに溢れている作品だと思いました。
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一人称で書かれているので最初わからないが、次第に主人公のダメ人間っぷりが露わになってくるのがじわじわきて面白い。
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セコい手作り弁当やらで小銭をせしめる日本人を親切に受け入れる慈悲深いコミュニティ。
胡散臭さを感じながらも薄い絆で繋がる嘘のファミリーの為に発したエネルギー。腰を振り振り雄叫びを上げ踊り狂う様にちょっと泣いてしまった。
そんなこんなを経たからこそ、サトウさんとのバスでのシーンにグッと味が増すのだ。
この余韻に浸りながら一心不乱に掃除したい。
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●なぜ気になったか
第171回芥川賞候補作なので読んでみる。純文学系の芥川賞はおもしろいと思える作品との出会いは多くないが、紹介文からはおもしろそうに思えた。その感覚は正しいのか確かめたい
●読了感想
途中で投げ出したくなるほどの興味喪失に至らず読み終えることができた。物語自体はそうおもしろいと思えなかったが、心にひっかかる言葉の表現がそれなりにあり楽しめた。芥川賞はこうやって楽しむのがいいよ、と教えてもらった気がした
#海岸通り
#坂崎かおる
24/7/10出版
https://amzn.to/4cP5kQd
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「噓つき姫」で一躍有名となった坂崎かおるの最新刊。文學界2月号掲載の作品がもう出版されることから期待が大きいことが伺える。本には赤い帯が付いていて、芥川賞候補作と書かれている。御本人のnoteを見たけど、この様な地味な作品が候補作にノミネートされたのを意外だと感じているようだ、謙遜かもしれないけど。地味、確かに奇抜な文体でもなく、社会に切り込むといった意欲作という訳でもない、もう至って落ち着いた作品。登場人物が激昂する場面もなく、最後まで単調に穏やかに常に距離感を保つ人の結びつきが心地良い。最近の映画界ではこの様なテイストの作品がいろいろな所で話題となっている。例えば役所広司で言えば、「perfect days」とか「すばらしき世界」の様な落ち着いた世界観(ライバルの尾崎世界観ではない)が脚光を浴び、それが芸術として評価される。こういった流れの本流にこの「海岸通り」が存在感を持って光っているものと思う。ただ逆に、「海岸通り」を映画化する際には、意外なキャスト、意外な脚色、追加エピソードが必要となるかもしれない。一応、映画の場合、興行性が求められるので。
なんとか結果発表前に読み終えることができた。最近、話題に走りがちな芥川賞の傾向とは距離が離れているのかもしれないが、本日(2024/7/11)の結果発表にはとても期待している。
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ニセモノのバス停の素数だけの時刻表。なんかいいな。
久住さんは掃除はするけどなんかちょっとダメな感じの人。薄ら見下すような憧れるような気持ちが綯い交ぜになった執着をサトウさんとマリアさんに持っているように見えた。
めちゃめちゃ好印象な人より、ちょっと心をざわつかせてくる人に執着しちゃうこと、人間ってなぜかあるよね。
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物語を書く能力はとても高いように感じます。今回の候補作の中でも一番を付けても良い程。しかし、今回受賞した2作品に比べると、キャラクターの造りが弱甘で、そこが勿体ない残念ポイントでした
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海岸通り?にあるいわゆる老人ホームで清掃員として働くヒロイン、クズミ。
そこで彼女はある日入職してきたウガンダ人のマリアと出会う。
クズミとマリア、そして彼女たちをとりまく薄くも確かにある関係を描いた作品です。
エイプリルフールに書店に寄った時にであった『嘘つき姫』という作品を読んで以来、理解できないけれどもなぜか引き込まれる不思議な物語を書くなと思っていた作家さん。
Xで坂崎先生が、本作品が芥川賞候補になったと聞いた時は
「あの作風が芥川賞候補?」
という率直なことを思いました。
私は基本的に芥川賞受賞作で読んだ作品というと『蹴りたい背中』や『ハンチバック』など、受賞されて話題になったという作品しかほぼ読んだことがないですが、私の芥川賞のイメージとは少し違うなとも思うし、イメージ通りだとも思うしで、どんな作品なのか、読むのを楽しみにしておりました。
さて、そんな私が読んだ感じでは、10ページくらい読んで、私が『嘘つき姫』で読んだ坂崎ワールドだなと思いました。
出てくる登場人物、ほぼ地味な感じですし、舞台も奇妙な感じはしないのですが、その割に独特な登場人物が描かれているなと思いました。
本作品は、読んでいて思うのは、まず『嘘』なんだろうなと思いました。
嘘と言っても、色んな嘘があって、人を騙すための嘘もあれば人を納得させるためにつく嘘、あるいは周りに見せている虚構などなど、嘘についてのことが多いなと思いました。
今、これを書いている私だって、自分の全てをさらけ出して生きているわけではないですし、本作でいうところの「嘘」の部分を綺麗に見せている部分が多いと思います。
そして、私が嘘を見せているように、自分以外の他人も嘘を見せている。
そして、その嘘の部分が本物に見えてしまうこともあるし、その部分こそが実は真実の部分よりも大切だと思うこともある。
人間関係が希薄だとか、隣の芝は青く見えるなどなどいろんなことを感じる本作品ですが、その人がどんなこと考え、どんな人物なのかは普通はそんなに詮索しないし、見た目や自分が話している感触、普段のやり取りなどで着飾れたり表にしか出さない嘘の部分こそがその人なんだろうと思う。
海岸通りからはいつも海は見える。
でも、海には行っていない。
本作品はそういうことなのかな?と思いました。
海岸通りからは今日も海が見えますね。
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かなり好きだった。
派手な作品では無く、
ドラマティックな何かが起こるわけでもない。
小説にしては短い方だけど、
物語としての厚みがあったように感じた。
完全に主人公目線で進むのもなかなか面白かった!
そもそも主人公自身がユニークで頑固で、
でもだからこそ素直に共感できて、
たまにちょっと応援したくなる。
喜劇や悲劇が好まれやすい映画などと比べたら、
取るに足らない物語に分類されるだろうけど
息を呑むような体験というのは人生の中でそうそうある物では無いし、ドラマティックな事などもっと少ない。
今この瞬間を現実的に生きている自分の目線だからこそ、リアリティがあって少し勇気をもらえた気がする。
他の作品も読んでみたくなった。