- 販売開始日: 2024/09/11
- 出版社: 日経BP
- レーベル: 日経プレミアシリーズ
- ISBN:978-4-296-12019-2
日本のなかの中国
著者 中島恵
日本国内に、中国人だけによる「経済圏」が形成されていた! 在日中国人社会の驚くべき実態を、豊富な取材で明かす迫真のルポルタージュ。いまや、日本国内に住む中国人は80万人を...
日本のなかの中国
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商品説明
日本国内に、中国人だけによる「経済圏」が形成されていた!
在日中国人社会の驚くべき実態を、豊富な取材で明かす迫真のルポルタージュ。
いまや、日本国内に住む中国人は80万人を超える。
留学、出稼ぎ、就職など、さまざまな理由から日本にやってきた彼らだが、その数が大きくなるとともに、中国人のみで経済を回すコミュニティが形成されてきた。
彼らは、何を考え、どのように暮らし、そして日本についてどう思っているのか。
さまざまな背景を持つ人々を紹介し、在日中国人社会を多角的に紹介する。
目次
プロローグ 日本にいるのに、日本語が下手になる私
第1章 日本人が知らない、中国人SNSの世界
第2章 中国人だけで回す経済ネットワーク
第3章 持ち込まれた中国的論理
第4章 日本に来たい中国人 中国に帰りたい中国人
第5章 多層化していく社会
エピローグ 日本で暮らし働いた黄さんのささやかな夢
目次
- プロローグ 日本にいるのに、日本語が下手になる私
- 第1章 日本人が知らない、中国人SNSの世界
- 第2章 中国人だけで回す経済ネットワーク
- 第3章 持ち込まれた中国的論理
- 第4章 日本に来たい中国人 中国に帰りたい中国人
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失われた30年と在日中国人社会
2024/10/24 16:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:森の爺さん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はこれまでにも在日中国人についての著書があり、在日中国人社会の時代による変遷を観察しているが、本書においては日本社会の中で点の存在だった在日中国人が線となり、いわば「日本の中の中国」という集団になりつつあるという印象を受けた。
集団であるが故に、日本語を話せなくても不自由せず、また従来の日本人向け中華料理とは異なる「ガチ中華」も生き残れるし、在日中国人間だけでのビジネスも成立する。 日本経済のためにとマナーの悪い中国人観光客に眉を顰めながら我慢しても、お金は中国人に落ちて日本人の財布は潤わない。
かつて貧しかった中国から経済大国日本に憧れて来日していた中国人なのだから、経済成長して日本人よりも所得の高い富裕層も多い現在、もう日本に来る必要もなかろうと思うのに何故か事実上「移民」を選択する中国人が増えているという。
経済成長しても共産党独裁国家という体制自体は変わらないし、あの強権的な「ゼロコロナ政策」に愛想が尽きたり、超競争社会に疲れ果てたり、またマイホーム取得も困難な土地バブル(崩壊している説が多い)と、理由は色々あるらしい。 つまり、自由を味わえ、かつ競争社会では無く、土地も中国より安く、しかも故郷から距離的に遠くなく、かつ漢字も使用している日本を選択する方々が存在するということである。
日本もバブル崩壊までは超競争社会であり、大都市圏でのマイホームは夢のまた夢(地方都市迄高くなった)、受験戦争解消のために文部省は「ゆとり教育」を推進していたが、バブル崩壊後の人件費を抑えて内部留保を溜め込む企業経営故に土地価格も下がったがその分給料は上がらず、少子化により大学は経営維持のため留学生確保にシフトしていて「受験戦争」も今は昔である。
本書を読んで、日本が「失われた30年」を過ごしているうちに、中国は著しい経済成長を遂げたことにより、最早日本はかつての「憧れの国」では無くなったという現実を今更ながら実感したが、「憧れの国」で無くなっても来る人は来るのも現実である。 本書の中にも在日中国人の団体への在日中国大使館の影響が書かれているが、中国大使館としても在日中国人社会を管理下に置くための出費は怠らない。
日本社会への配慮が無い在日中国人が増えれば、NHKラジオ放送で不規則発言をした中国人みたいな輩も増えるし、かつ中国資本や中国人による日本の土地や会社の買収も増え続けている現実を見れば、日本政府は在日中国人動向を放置せず把握する体制を構築し(日本社会に配慮し、かつ溶け込もうとする方々は排除すべきでは無い)、かつ土地や会社の買収についても用途・安全保障上のリスクによる制限も加えるべきである。
著しい発展を遂げた中国であるが、土地バブルの崩壊や「一人っ子政策」緩和の遅れによる急速な少子高齢化を勘案すれば、日本の「失われた30年」も明日は我が身なのでは無いかとも思えるが、一方で中国富裕層が日本に居住するのであれば、今後は「日中逆転」とか嘆くだけでは無く、富裕層ビジネスで金を稼ぐしたたかさも必要なのではないだろうか。
中国共産党がその政権の正統性を「抗日戦争の勝利」に置く限り、反日教育は無くならないし、急速な軍事増強は日本の安全保障にとっても脅威であることを思えば「日中友好」なんて所詮夢のまた夢なのではと思う。