本格医療ミステリ
2024/10/11 18:27
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
運び込まれた自分と瓜二つの溺死体に、薄気味悪さを覚える救急医の武田。旧友であり医師仲間でもある城崎を頼り調査を進めるも、更なる闇へと迷い込んでいく、禁断の本格医療ミステリ。
似てる、を超えた自分そのもののような人を見た時、人はどういう感情を抱くのか。ジワジワと変化していく武田の心理に共鳴して膨れ上がる不安。謎解きの前に、その切迫した緊張感にやられそうになった。冷静沈着な城崎という存在がまた、いいタイミングで空気を支配してくるのも面白い。
謎の死体、風変わりな城崎、これだけでもう前のめりになっている所に、複雑な人間のルーツまで絡み合ってくる。どこまでも壮大なテーマだが、一つ一つが無理なく繋がれていき、曖昧に広がりすぎない事で現実味を帯びる、まさに完璧なミステリ。
人間が求めていいものの上限はどこまでなのか?生きていく上でぶち当たる、あらゆる「ガチャ」を突き付けられたような、激しい衝撃を受けた。
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
展開としては珍しくはない。
出来すぎな感はあるけど、進めないといけないから仕方なしか。
最後の締め方と犯人は意外だった。
けど、それでいいのか?
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鮎川哲也賞には毎回期待をして読んでいるが、今作の「禁忌の子」は自分が読んできた作品の中で上位に入る傑作でした。
ちょうど自分に一歳の子供がいる状況が、この作品のテーマと重なる箇所があり、大変心を揺さぶられてしまった。
本格ミステリとしても読み応えがあるが、魅力的な登場人物のおかげと、場面の切り替えが秀逸なのか止まることなく一気に読み終えてしまった。間違いなく近年の鮎川哲也賞の中で、群を抜いての傑作でした。
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第三十四回鮎川哲也賞受賞作。
自分と瓜二つの遺体と出会ってしまった救急医が遺体の謎と自身のルーツを追う医療×本格ミステリ。
ページが進むごとに真実に迫っているぞ、とちゃんと伝わってくるエンタメ性と医療にまつわる社会問題を提示するテーマ性が合わさった良作。
本格ミステリ度がそこまで高いとは思わないが、堅実な論理の積み重ねでしっかりと読ませてくれる。
最後に待つのは"倫理"を揺さぶる、と評されるだろう結末だが、個人的には大人同士で権力勾配ないならご自由に、と"彼らに"伝えたい。
生育環境から家族というものに期待がなく、子どもが欲しいとも思わない、"血縁"なんてクソ喰らえな身からすると、思考に「?」を浮かべる登場人物ばかりだったが、物語に共感を求めないのでそれはそれで「?」と思いながら読み進めた。
鮎川哲也賞は堅実におもしろいミステリが多いのでまた来年も受賞作が出るの楽しみにしております。
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えぇー!
何かすごい物語に出会ってしまったけど…デビュー作なの?信じられない。
「禁忌の子」ってそういう意味とそういう意味かぁ。うわぁ、そうですか。
救急医・武田の元に搬送されてきた溺死体は自分と瓜二つ。そんな馬鹿な。双子の兄弟がいるなんて聞いたことがない。両親に確認したくてもすでに他界。
同じ病院内に勤務する、中学時代の同級生でもあった城崎に相談し、謎の解明に乗り出す。
自身の母子手帳を検めると、かつて母親は不妊治療専門医院に通院していた。武田と城崎がその病院長を尋ねると、「準備をする、あなたには知る権利がある」と伝えられて出直すことに。
約束の日に再訪すると、なぜか病院長は密室で命を絶っていて…これは誰の手によるものなのか。
冒頭からグッと物語に引き込まれて、ページを捲る手が止まらない…結果、肩こり半端ない!
いやでも展開が上手いのか、キャラクターの描き方が上手いのか。夢中になって読んでしまった。
ちょいちょい武田夫妻の様子が「ここまで描く必要は何だ?」と不思議に思っていたら…そんなオチ!いやー
ちょっと不妊治療も通っていたから、このテーマは難しいけど大事な話だよなぁ。子どもを望むのは親、でもその遺伝子やルーツを知らずに生まれてきた子どもの気持ちなんて、分かる由もない。
子を望む夫婦のために医療技術を進めてきた京子先生の情熱も、たくさんのひとに希望を与えた一方であんな悲劇を生むなんて…くぅ。やるせない。
クライマックスは手に汗握ってどう落とし前つけるんだろうと思ったけど、私は納得の結末でよかった。
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満場一致、頭ひとつ飛び抜けた作品の選評通りの作品でした。
ラストの個人感想は賛否分かれるかもしれませんが、それは感想だから否があって然りだけど本格ミステリかつ医療ミステリ作品としてミステリーが好きな人は読むべき一冊です。これミステリー好きな人で嫌いな人いないでしょ!
医療に関する情報がリアルなのはもちろん、揺れる感情と人の脆さ、倫理観などの描写が秀逸。文章のリズムと物語のスピード感が推進力になってページを捲る手が止まりませんでした。
帯の続編発表とあとがきでの発表との違いにも配慮があって、ぜひ巻末を先に捲らずに読んで欲しいです。
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2024.11.29読了。
デビュー作ながら驚くほど高いリーダビリティ!ページをめくる手が止まりませんでした。現役医師である著者の経験と知識が物語に深みと説得力を与えており、作品のタイトルも非常に印象的で、物語の本質を巧みに表現しています。同シリーズの続編が来年に刊行予定とのことで、今から楽しみでなりません。
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話しの展開も素晴らしいし医療ミステリーならではの真実に驚愕させられた。一方で命とは何か、どう生命を繋いでいくかという重厚なテーマに考えさせられながら読めたのもこの小説の魅力だなと思いました。
全く想像の遥か上をいく展開に夢中で読んでしまいました。
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みんな読んで!早くみんなで輪になって語り合おうー!!!って叫びたくなる本作。
医療ミステリは初挑戦だったが、するすると素麺を啜るように読み進めていく。中盤からリストにかけては一気読み!わんこ蕎麦を啜るようにだんだん苦しくなる。評判に負けない10月のラスト読了論に相応しい一作。
どうかネタバレを踏む前にみなさんが読むことができますようと、願わずにはいられない。
タイトルが読み終わったあとこんなに余韻を残す作品は今まで知らない。すごい作品と作家さんに出会ってしまった。
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子を持つということは重い。不妊治療の先にある妊娠、出産が全てハッピーではない。不妊治療でなくても子をたくさん持つ家庭の責任は非常に重い。そんなことを考えた。主人公に産まれた子が幸せな人生を送れるよう願った。
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最も好きな鮎川哲也賞を重賞された作品ということで手に取った本作。
物語の区切りが非常に上手で、各章で何を伝えたくてどういうことが起こったかが、とても綺麗にまとめられていると感じました。
続編が来年に刊行されるとのことで、楽しみにしています。
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自分と瓜二つの死体と出会ったことを発端として浮かび上がる主人公の出生の謎や突然起こった密室殺人事件という医療×本格ミステリーで、フーダニット、ハウダニット、ホワイダニットにストーリー構成などどの面から見ても隙がないと言えるぐらい面白く、終始物語の醸し出す雰囲気に圧倒された。間違いなく下半期No.1候補の一冊と言えるぐらい満足した読後感だった。
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とにかく本作が私のSNSのオススメに出てくるので、すぐ買って読むことにしました。本作を読んでいる間、物語の展開にずっと心を鷲掴みにされてるような感覚で、とても引き込まれた作品でした。シンプルに面白かったです。
本作の主人公は救急救命医。ある日、その救命医のもとに自分と顔が瓜二つな水死体が運ばれてくる。その水死体と自分の関係性に興味をもった主人公は自分の出生を友人である医師とともに辿ることになる。その中で、自身の出生に違和感を感じていくというストーリー。
自分のそっくりさんが出てきて、物語が展開されるというお話はまぁ小説らしいなって思いながら、読み始めたのですが、医療知識の補足もあって設定に現実味を持たせているのがとても良かった点かなと思います。
また鮎川賞の選考員の方のコメントにもあるように、ストーリーテリング力が凄くて、とにかく読者の心を掴むのが上手い筆致だなと感じました。本作もたぶん、本屋大賞候補になるのかなと個人的には思います。
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中だるみはありましたが、後半は盛り上がりました。最後の一文でタイトルとのつながりがあり、心に残る作品となりました。
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大変面白かったです。テーマが重いので、後味スッキリかというとそうではありませんが、想定していた「禁忌の子」と違う禁忌の子で最後まで楽しめました。序盤はスローな感じがありましたが、序盤から同じ顔の死体が運ばれてきてるのでまあ謎はありますよね。
城崎先生と立花研修医(だっけ?)の関係性、もしやラブ?と読んでる途中は思い、そういうの要らないんだけどなあ〜と感じてしまいましたが、最終的に殺そうとした時に立花さんが頭をよぎるのとても良かったです。誰にでも大切な人とか大切にしてくれる人がいますよね。悲しいのは中川信也にはそれがいなかったことですが…。
中川信也の人生が母の口から語られるシーンは悲しくてやるせなくて辛かったですが、正式に保険診療で行われていない生殖医療も存在する現代で起こりうる悲劇かと思いました。
ミステリーとしても面白かったですし、ロジック通りに動かない人間を感じることもできて満足しました。
素晴らしい作品をありがとうございました。