聖夜の嘘

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ワシントンで大学教授をしているキャメロン・ウィンターが主人公のミステリー。
湖畔の町で若い司書が殺された事件が起き、犯人は恋人の男性で本人も認めているのに、それに納得できない女性弁護士がかつて関わったキャメロンに捜査の助けを求める。ポケミスには珍しく一段構えで、250ページの薄さなのに、情報量がとても多くて読ませて貰った。都合の良い箇所もあるが二転三転の捻りも面白かった。

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男女の運命は何故こんなにも切ないのか… 人の感情を淡く美しく描いたクリスマスミステリー #聖夜の嘘

■あらすじ
湖畔の小さな街、小学校で司書を務める女性ジェニファーが殺された。逮捕されたのは交際相手の男性トラヴィス、彼の自宅からは証拠が見つかり、目撃証言や自白もされていた。

しかし担当弁護士のヴィクトリアはトラヴィスが犯人とは思えず、大学時代の教授キャメロンに相談を持ち掛ける。彼は一風変わった思考の習慣をもっており、独自の方法で原因を調査するのだった…

■きっと読みたくなるレビュー
人間なんて世界中に何億人と存在する。

しかしある日突然出会い、そのうち自然に惹かれ合い、気が付いたらお互いになくてはならない存在になっていく。ひとりの男とひとりの女の横顔を描く、優しくも切ない物語です…

物語としては、恋人を殺害容疑や自白の背景について調査を進めていくことになります。しかし本作で表現されているのは人が心に抱く感情がほとんどなんです。彼らが思い描く情念や会話にホンワカしちゃうんすよね。しかもずっと心のどこかに空白があるかのような、そんな感傷に包まれるんです。

元軍人で恋人殺しで逮捕されたトラヴィス。そして彼の娘を通じて知り合った図書館司書のジェニファー。彼ら二人の物語を読んでると、やっぱり「運命」ってあるよな…と思えてくる。

長い人生どん底の時もあるんだけど、出会うべく人には出会うもんすね。少しずつ気持ちが変化していくところなんかドキムネがとまらない。何故こんな事件になってしまったのか、じっくりじっくり読まされてどんどん悲しくなってくる。

そして事件の調査を進める主人公キャメロン、彼が語る昔話も切ないんですよ。子どもの頃、親戚の家で開催されたクリスマスパーティ。2つ年上の美少女シャーロットとの出会いと旅立ち。

私も同じようなことあったなぁ～、小学生くらいの男子は年上のお姉さんに憧れちゃうものなんですよね。そしてお互い年齢を重ねて成長はするんだけど、年上年下の関係性は変わらないんだよね。もはやキュンが止まらない。

さて本作のミステリー、キャメロンの調査結果と想像力の掛け合わせで真相がおぼろげに見えてくる。あんまり無理に理解しようとしたり考えたりせず、一気に読み進めてしまうのが吉です。終盤は思った以上の展開になるので、ぜひ最後まで丁寧に読んでください。

■ぜっさん推しポイント
ラストが素晴らしいんですよ。キャメロンの挿話視点で語られ、本作を丸ごと表現したかのような終章なんです。シャーロットとの思い出はまだ傷が癒えないけれど、未来を感じる幸せなに包まれますね。クリスマスくらいは世界中の人が幸せであって欲しい！ メリークリスマス！