ホンの無視さんのレビュー一覧
投稿者:ホンの無視
ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学
2015/12/27 03:04
経営学は今後、より人間に焦点を当てるようになる?
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
本書の前著(の様な位置づけの本)である「世界の経営学者はいま何を考えているのか」と読みくらべてみた時に興味深いと感じたのが、前著と比べると本書はより社会学的、心理学的なアプローチに焦点を当てている点である。
本書の帯には、「ドラッカー、ポーターしか知らないあなたへ」と書かれているが、本書は、経営学が経済学の様に合理的経済人ではなく人間の持つ不確実な要素に焦点を当てたものに姿を変えつつある流れを踏まえた上で、ポーター等が示してきた従来の理論との違いを表している。
人によってはむしろ過去の慣習への回帰を促していると取れる内容もあるかもしれないが、その是非や可能性を検討する上でも重要な内容が詰まっている本だと思う。
ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 増補改訂版
2018/12/15 12:49
ソーシャルビジネスではなくコアコンピタンス経営の話
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
貧困層の問題解決に商機を見出だして活躍している企業のケーススタディを元に著者の理論が展開されているが、
本質的には、この本は慈善事業の話ではなく、れっきとした経営戦略の話だ。
本書で取り上げられている企業は、既にある程度新興国市場で地盤を築いている企業や、既に世界的に見ても特定の分野でトップシェアを誇っている企業など、
ある程度貧困層を相手にするビジネスに対して優位性を持っている企業が多い。
著者が主張する様に、
貧困層の市場規模は決して小さくはない等、経済的にメリットがあるという点が主張の根幹になっている点を見逃すと、
「慈善的な事業を展開したらビジネスは上手くいく」という根拠を欠いた主張をしているのだと勘違いしてしまうかもしれない。
完全な人間を目指さなくてもよい理由 遺伝子操作とエンハンスメントの倫理
2016/01/30 03:23
生まれる前の人間を好き勝手に操るのは「正しい事」なのか?
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
サンデルは本書で「贈られものとしての生」という考え方が失われる事はすなわち「命の軽視」へと繋がりかねないと警鐘を鳴らしており、
「これからの「正義」の話をしよう」とは違い、サンデル自身の明確な主張が述べられている様で興味深い。
ちなみに、邦題が「完全な人間を目指さなくてもよい理由」とあるが、
本書が問題としているのは自発的に「完全な人間」を目指している人間ではなく、
「完全な人間を作り出そうとする人間」であり、エンハンスメントを行う事で「不正な存在となりうる人間」である点に注意が必要である。
自動車の社会的費用
2016/01/30 00:34
外部性について記された先駆的な著作
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
1970年代この本が書かれているというのがすごい。
今ではごく当たり前の考え方として論じられる「外部性」について、
環境に対する社会的関心が高くなる前の日本にていち早く問題提起しており、
時代を先取りした内容の本と言える。
著者は本書において単に経済分析をしているだけではなく、
最終的に本書の主張は人間社会における自由と権利の範囲にまで及んでおり、
「社会的費用と便益の公平な分担、分配が担保された社会を目指す」という考えが、
主張の根幹にあるのだと感じる。
日本貿易の現状 2019
2019/10/01 02:25
非常に分かりやすいjカーブが見れる
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
トランプ政権の保護政策や、米中間の貿易摩擦に留意する必要はあるが、
経済学の教科書で説明されるような、
為替安の効果ははすぐには現れずに短期的には為替安による負担の方が大きくなる、
という現象が分かりやすく読み取れる内容となっている。
過去の日本貿易の現状と読み比べて日本の貿易の推移を見てみるとより分かりやすい。
3つの視点で会社がわかる「有報」の読み方 有価証券報告書 最新版
2019/09/17 18:22
ただ漫然と読むだけではなく「どんな情報が読み取れるか」を意識すれば有価証券報告書は宝の山になる
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
有価証券報告書に書かれている情報をただひたすら読み続けるだけでなく、どんな情報が有価証券報告書のどの部分に載っていてそこから何を読み取れるか、を理解すれば自然と自分が知りたい情報を探せる様になるということを教えてくれる本だと思う。
ただし、本書は2017年までの開示様式の変更には対応しているが、2018年、2019年の書式改訂により有価証券報告書の内容が大きく変わっているという点には気をつけなければならない。
海外企業買収失敗の本質 戦略的アプローチ
2019/09/17 15:11
海外企業の買収はうまくいかないことの方が多い
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
まずこの本から読み取れることは単純に「海外企業の買収はうまくいかないことの方が多い」ということだと思う。
本書で取り上げるケーススタディには、
明らかに成功・失敗とわかる事例だけではなく、
一度海外企業の買収に失敗した後、その時の経験を活かして次の買収の成功へとつなげた例や、
絶望的な状況でも、懸命に事業再建に取り組んだ結果、
失ったものはあれど得たものは大きい、という状態にこぎ付けたものもある。
しかし、その様な「失敗を次に活かした」と言える事例があることを考慮しても、
「得るものが特になかった失敗」である事例の方が圧倒的に多い。
「少子高齢化が進む日本市場依存から脱して海外に打って出る」と抱負を語る企業は多いが、
言うが易し行うは難し、ということだろうか。
未来のスケッチ 経営で大切なことは旭山動物園にぜんぶある
2019/02/21 22:57
「どんな動物でもすごい」の「動物」の部分を「人間」に置き換えてみたらどうなるか。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
単に動物園の従業員の活躍を促すだけでなく、
そこで扱う動物の活躍を促すための取り組みも惜しまずに行うという記述を読んだ時は目からうろこが落ちる思いだった。
ある意味動物を従業員の様に共に働く一員として扱っているとも読み取ることができ、
動物をただの見世物として扱う動物園の運営とは一線を画している。
適時開示の実務Q&A
2019/01/28 20:18
基本はQ&A方式だが記載例も豊富
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「こういう場合はどうすればいいか」という質問に回答する形式を取ってはいるが、リリースの記載例は豊富であり、どのような基準で企業が開示する情報を決めているのかを知るにはもってこいの一冊だと思う。
IFRS財務諸表への組替仕訳ハンドブック 国際財務報告基準
2019/01/09 08:23
もったいない誤記あり
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
仕事の都合上、財務諸表に関わることが多く、IFRS適用企業の内容について学ぶ必要が出てきたため本書を購入した。
一般的な国際会計基準の参考書や実務書とは違った切り口でIFRS関連の開示実務を掘り下げており、
新規に国際会計基準を適用する企業にとってはかなり便利な参照書籍となるだろう。
非常に細かいもののわかりやすい内容の誤りが見つかったのが残念なところではあるが、この本の有用性に影響するほどではないだろう。
詳細解説IFRS開示ガイドブック
2019/01/07 18:57
日本企業のIFRS関連の開示例が豊富
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
本書には日本国内の企業で国際会計基準を適用している会社の有価証券報告書の記載内容など、日本国内でどの様なIFRS関連情報の開示がなされているかについての事例が豊富にある。
本書以外の内容が類似している書籍だと、大抵基準書の内容が書き並べてあるだけだったり、記載事例があったとしても海外の事例だったりするので、日本国内でIFRSに関わる人間であれば本書は非常に重宝すると思う。
英文会計の基礎知識 増補改訂版
2018/12/19 00:30
具体例も充実していてとても良い
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
具体的な企業の開示内容を参照しながら英文の会計について学べる良い本だと思う。
本書は主に参照する企業を(日本でも名前が知られている)特定の一社に絞っているため、
他の類似の書籍より取っ掛かりやすいと感じる。
会社法決算書の読み方・作り方 計算書類の分析と記載例 第11版
2018/12/18 08:33
本書からIFRSに関する記述が追加されるようになった
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
事業報告や注記表の記述の参考になる事例が豊富にあるだけではなく、出版された年度から効力が発生する実務指針の改正などについても記されている。特に本書からIFRS関連の記述の事例が追加されるようになった。今後の日本の開示実務が大きく変わる事を思わせる一冊である。
21世紀の企業情報開示 欧米市場におけるIR活動の展開と課題
2018/12/18 05:58
欧米の開示制度がどの様にして現在の制度に至ったか
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
現在の欧米の開示制度について知ることができるだけでなく、どの様な経緯を経て現在の制度に至っているのか、を知ることができる数少ない書物と言える。
また、会計基準の観点からしても開示制度の観点からしてもエンロンの不正が如何に大きな影響を及ぼしていたかが改めてよく分かる。
国際会計基準表示・開示の実務 IFRS 完全解説
2018/12/16 21:55
海外企業のIFRS関連の開示事例が豊富です
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
海外のIFRS適用企業がどんな情報をどの様に開示しているかを知るのに便利な一冊です。
ただし、注意しなければならない点としては、
1. 出版された年が2013年なので、現在に至るまでに開示様式が一変した内容もある。
2. 海外企業の開示内容が和訳されているので、元の言語での開示内容を調べるには自分でインターネットで該当企業の開示文書を検索して調べなければならない。
3. 業態から本社所在国まで異なる複数の企業の開示例を小出しに見せているため、特定の一社がどんな情報を開示しているのかについて知ることができるわけではない。
などが挙げられます。
それ以外は開示内容について細かく知ることができる貴重な書籍です。
というよりも、海外の開示例が充実している本が現状ではこの本くらいしかないです。