鉄紺さんのレビュー一覧
投稿者:鉄紺
うろんな客
2016/02/14 18:20
「風強く
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客もなきはず 冬の夜 ベルは鳴れども 人影皆無」
ある日突然珍妙な奴がやって来て、その傍若無人な振る舞いに一家は振り回され…て早17年。というお話。
ページを繰ると左手に一句、右手に挿絵。柴田氏のニヤリな短歌訳と、ゴーリーの陰気な線画の、取り合わせがたまらない。ゴーリーだもの、可愛いだけで終わるはずもなく、訳者の後書に再びニヤリである。
いないいないばあ 改版
2016/02/14 17:52
「いない いない ばあ/
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にゃあにゃが ほらほら/いない いない………」
高校生の時、「いつかお母さんになるかも知れないあなた達に」と、産休に入る家庭科の先生が最後に「読み聞かせ」てくださったこの絵本。
パキパキでもフワフワでもない動物達の、色使いがシックで素敵。
突然の「本気いないいないばあ」に、正直たじろぐばかりだった私が十数年後、娘にしっかり選んでいるのだから、何だか凄いなぁ絵本って。
たべたのだあれ
2016/02/14 17:18
「さくらんぼ
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たべたの だあれ」
これまで五味太郎さんに特別興味は無かったのだけれど、この作品で大好きに。色の組み合わせが、とんでもなく素敵なのである。悪趣味と紙一重だからこそのセンスの良さ、というか。洋服では大胆過ぎるものが、不思議と和服では映えたりするのに似ているような。
五味太郎さんデザインの帯があったら欲しいなぁ。きっと買えないけど!
かばくん
2016/02/14 17:06
「どうぶつえんに
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あさが きた/いちばん はやおきは だーれ/いちばん ねぼすけは だーれ」
素敵な絵本である。
まず、この絵。この線、この表情。本物のかばが見たくなって、かばのいる動物園を探した程である。原画展なんか、やらないかしら。
そして、この何ともとぼけた呟き。心地良い繰り返しのリズム。
好きか嫌いかしか、ないんじゃないかしら。
すてきな三にんぐみ 改訂版
2016/02/14 18:11
「あらわれでたのは、
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くろマントに、くろい ぼうしの さんにんぐみ。」
すてきなどろぼうさま三にんぐみの、脅しの道具が並ぶページが特に好きで、幼稚園時代の私の一番だった絵本。色が格好良いのだ。黒地に赤が効いている。連れ帰ったティファニーちゃんに、宝の山をどうするのと聞かれ、顔を見合わせるくだりもお気に入りだった。
文庫より大型より、普通サイズが私のお薦め。
ぼくとくまさん
2016/02/14 18:06
「ちいさな
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いえが あります。」
シュルヴィッツのデビュー作。
細い細い、自由なんだけど頼りなげな、この線が好き。淡い淡い、不思議と2つで充分な、この色も好き。何よりも。白い白い、この「余り」が、たまらなく好き。余白がとっても、豊かなんである。
あぁ、シュルヴィッツは、やっぱりいいなぁ。
ゆき
2016/02/14 18:04
「そらは はいいろ/
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やねも はいいろ/まちじゅう どんより はいいろです。」
シュルビッツの中でも特に好きな一冊。
名も無い登場人物達は、誰も彼も愛らしく個性的。当たり前のように絵の中でだけ展開する小さな物語も、一癖あるクスクス笑いが聞こえてきそう。
全てが白く包まれていく時のわくわく感いっぱいのお話と、不穏な色や不安定な線からなる絵との組み合わせが素敵。
いたい いたいはとんでいけ
2016/02/14 17:44
「むっちゃん/
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むがつく/むうざえもん」
「いたいの いたいの とんでいけ」って、何だか後ろめたくって、「いたいの いたいの たべちゃうぞ」にしたら、「だいじょぶ~? だいじょぶ~?」と娘にお腹を撫でられて…。でもこれからは安心して、らくらくやまのうさぎさんに、お任せできるわ。
それにしても、むっちゃんの泣き顔の不細工なこと! 佐野洋子さん大好き。
ギャシュリークラムのちびっ子たち または遠出のあとで
2016/02/14 18:14
「Aはエイミー
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かいだんおちた」
名前の頭文字にA~Zを持つ子供たちが、ただ次々と死んでいく。その最期がまた、どれもこれも陰惨である。一すじの救いも無ければ教訓も無い。…が、どうしてか、そこはかとなく可笑しみが漂う。
「これの何が楽しいの」と冷たく言われれば(実際言われたけれど)、何だか申し訳ないような気持ちにもなるのだが、好きや嫌いに理由は無いからなぁ…。
ゆっくりがいっぱい!
2016/02/14 17:58
「ゆっくり/のんびり/おっとりと/
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きのえだ つたって/ナマケモノくん やってくる」
実はいまいちエリック・カールを信頼していなかったのだが、あぁやっぱり良いのだなぁと考えを改めた。ホエザル、イワドリ、ヤドクガエル等々、通りがかりの動物達が密かに具体的なのが面白い。
お風呂でナマケモノの物真似をするのが好きな、3歳の娘が選んだ絵本。彼女の中にも、ゆっくりがいーーーっぱい! である。
いいおかお
2016/02/14 17:49
「ふうちゃんが/
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ひとりで/いいおかおを していました」
この絵本の何が好きって、もう、出だしである。
そして「ふうちゃん」の「いい おかお」! ニコニコではなく、目も口も閉じて、何やら楽しそうな すまし顔。
「ぼくも」って、そっと横に並んでいく子達の、距離感も素敵。
でもやっぱり、みんなで「おいしい」顔が、一番幸せそうなんである。
不幸な子供
2016/02/14 18:19
「あるところに
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シャーロット・ソフィアという女の子がおりました。」
悪趣味と紙一重とも言えるこの作品に、眉を顰める人もいるだろう。が、私は大好きである。誰の言葉だったか、冗談は悪質な程上等なのだ。笑う要素など微塵も無いはずなのに、場違いな可笑しみが込み上げてくる。救いの無い結末を予言するかのように、微細な線で描き込まれた背景には必ず、小さく不気味な(?)影が潜んでいる。
華々しき鼻血
2016/02/14 18:17
「あてどなく
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こだちを さまよう。」
ゴーリーのアルファベット・ブック第5弾、本作の特筆すべき点は、ABC…を冠されているのが名詞ではなく副詞であるという点。
何にしろ手に取らないことにはこの面白みは説明し難いので、以下訳者の後書から引用とさせて頂く。
「…作品中、華々しいものは何ひとつないし、鼻血を出している人もいない。」
優雅に叱責する自転車
2016/02/14 18:15
「プロローグ/
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火曜日の翌日で 水曜日の前日のこと。」
あははー。やっぱりゴーリー好きである。比較的、絵も内容も黒くない(直截的な惨いシーンは無い)作品なので、彼の毒っ気を気に入っている方にはやや物足りないかも。
何故章が飛び飛びなんだとか、「どこで優雅に叱責してるわけ?」だとか、何だかもう気にならない。画中の呟きが楽しくて仕方ない。むふ。