julieさんのレビュー一覧
投稿者:julie
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自覚
2017/05/14 17:38
脇役に焦点を当てた短編集
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貝沼副署長、伊丹刑事部長、野間崎管理官、畠山美奈子など、これまで隠蔽捜査シリーズに登場した思い出深いサブキャラたちが主人公となり、そこに竜崎が絡んでいく短編集。
本編では竜崎中心のストーリーテリングのため深くはうかがい知れないサブキャラたちの心中を、この短編集で余すことなく伝えており、今後も刊行されるであろう本編を読むにあたり、サブキャラたちへの理解と愛が深まること間違いなし。
あのクセの強い戸高ももちろん登場するが、戸高だけに限っては、あえてその心情を明かさない語り口で話は進む。そのあたりもなかなか憎い演出である。
本編をがっちり読み込んだ、隠蔽捜査愛の強い方へ間違いなくおすすめの本。逆に、隠蔽捜査シリーズにまだ詳しくない方は、刊行順に読むことをお勧めする(今野敏のほかのシリーズと違い、タイトルに番号がふってあるので、順番はわかりやすいと思う)。
波濤の牙 海上保安庁特殊救難隊 新装版
2017/11/15 19:21
ちょっと古い
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海上でのスリリングかつスピード感ある描写、さすがです。
この方、本当にいろんなものが書けるんですねえ。地上での格闘・アクションものはよく見かけましたが(正直、描写がマニアック過ぎて私はあまり好きではありませんが)、海の上でのアクションまで見事に書き切るとは。おみそれしました。
それはいいのですが、ちょっと気になるのは…。
この方の作品、日本語の使い方が気になったことは今までにないんですが、こちらの作品では、何か所かありました。さらには、ほかのレビューにもありましたが、主人公の女性の描写が、ちょっと、時代遅れ感否めません・・・。「〇〇ですわ」とか、「…もう迷わない」とか、ちょっと気恥ずかしくなりました。そのあたり、今野さんの作品の中でも古いのかな、と感じさせてしまう瞬間。
気になったのはそれくらいです。全体的に、見事です。この方のほかの作品では、描写がマニアックすぎたり細かすぎてたまに斜め読みしてしまう個所があるんですが、こちらに限っては、斜め読みする部分はありませんでした。
ほかのレビューに、文章が短く分断されていて読みにくい、というものがありましたが、そこは好みだと思います。私は、長い文章より読みやすいし、スピード感は圧倒的に出るので、短さは気になりませんでした。
誓約
2017/06/20 22:36
結局はみんな、ある意味いい人たちだった。
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初めて読んだ薬丸岳の作品です。
綿密に練られたちょっとややこしいからくりを、無理なく、しかも終盤に向けて見事に加速させて表現されていました。
途中まで、ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかわからず読んでいましたが、終盤に差し掛かるあたりで予想がつきました。
個人的にはハッピーエンドは好きなのでいいのですが、終わってみると、「結局は、みんないい人なんじゃん・・・」というようなちょっとご都合主義的なにおいを感じたのが残念です。
いや、たぶんご都合主義とはちょっと違って、作者自身が「救いのない作品」を書くのが好きではないのかな、という気もしました。この方の作品は初めて読んだので、違っていたら申し訳ないですが。
過去の過ち、更生、贖罪、許すのか許さないのか、理不尽な犯罪の被害者・・・。こういった、人間の闇に迫る重たいテーマを取り上げて問題提起したいんだけれど、作者自身が結局は性善説・人間の善良な部分を信じたいという思想の持ち主で、それゆえにちょっと(それまでの展開からすると)ハッピーすぎるエンディングになったのではないか、と思ってしまいます。ハッピー7割、バッド3割くらいの後味になる結末にしてくれれば、より深い作品になったのではないかと思います。
881 フェルテ6
2017/05/14 17:46
バーティカル最高
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初めて使用した週間バーティカル。
見開きで1か月があり、1日が上段・下段に点線で分かれている。午前・午後で分けてもよし、家族別に分けてもよし。
12か月分が終わったあとに、週間バーティカルが登場。各日に罫線のみのメモ欄あり、使いやすい。しおりは2本ついているので、月間・週間で挟める。
ペンホルダーは、私は太めの4色フリクションボールペンを刺しているが、きちんと入るので合格。ただ、ホルダー自体はビニールのような素材で、抜き差しを繰り返していると破れそうな一抹の不安はあり。
付録がついており、封筒の規格別料金だったり手紙の書き方マナーだったり緊急時電話番号だったり、いろいろあるが、個人的に気に入ったのは、切り取り線がついている無地のメモ。名刺より1,2周り小さいサイズで、その場でメモをして切り取って相手に渡したり、臨機応変な使い方ができるのが気に入った。
まだ使い始めて2か月だが、来年もリピートすると思う。
仮面病棟
2017/11/15 19:29
医療サスペンスは難しい
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医者が書いた医療サスペンスということで、お手並み拝見とばかりに拝読(当方現役内科医です)。
同業者ということで厳しい目になってしまうのかもしれませんが・・・。
やはり、医療的に矛盾しない、かつスリリングな医療サスペンスというのは、作り上げるのが難しいですね。
こちらの作品、読みやすくスピード感もほどよく、よくまとまっていましたが。
真相やからくりが、かなり前半でもうバレバレなのがとても残念(私が医者だからなのか?)。そして、現実的にはやはりあり得ない設定だなあ、と、そこが残念。
この作者、医師としてのの経歴を見たところ、小説の舞台設定を自身の専門分野で勝負したわけでもなさそう(詳細はネタバレになるので伏せますが)。そのあたりの甘さが随所に出ています。
以上が、同業の医師としての評価です。
医療に詳しくない人が読んだらとくにそのようなアラは目立たないのかと思いますが、それでも目立つのは、共犯者が簡単にわかってしまう描写(そして、それに付随する安っぽいありがちな表現・・・)ですね。もう少しわかりにくく、繊細に描写してくれたらよかった・・・。
作家としての実力はまだまだというところで、この人の2作目は読まないと思います。
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