まささんのレビュー一覧
投稿者:まさ
そして誰もいなくなった
2024/05/31 22:52
ミステリーの元祖
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絶海の孤島に呼び出された職業も年齢も異なる10人の男女が1人ずつ殺され、タイトルの通り誰もいなくなってしまう。
物語全体で事件が繰り広げられ、事件を解決する主人公も探偵もいない。最後に犯人の独白により事件の全貌が明かされるという特異な構成。
『法律で断罪できない犯罪をおかした人間に正義の鉄槌を下す』これが10人が集められた目的とすると、オーエンの正体は自ずと絞られるが…
だからといって人を裁こうとするのは傲慢。
疑心暗鬼になっていく様子が描かれていて、閉ざされた舞台も相まって古さを感じなかった。
シャーロック・ホームズの思い出 改版
2024/05/31 23:14
回顧録的作品
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短編集2作目。
タイトルの『思い出』のとおり、回顧録的な作品が多め。
『黄いろい顔』のように温かい気持ちになれるものや事件化されないような謎まで様々でさくさく読める。
所々、いなくなった人物のその後が分からないものもあって、全てが解明されない辺りもまた良かった。
シリーズを終わらせるために書かれた『最後の事件』も収録されているが、兄や宿敵まで登場させた挙句終わりなんて、それは当時の読者も納得しないだろうと思った。
バーティミアス ソロモンの指輪 2 ヤモリ編
2024/05/31 23:08
物語が動き出した外伝2冊目
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バーティミアスとアズマイラが手を組み、ようやく物語が動き出した外伝2冊目。
バーティミアスが閉じ込められたりハラハラする場面もあったが、すぐに出ることができて良かった。
また、いよいよ侵入という場面では頭を使って監視の目を逸らしていく様子は流石バーティミアス!
バーティミアスは口は悪いけど、味方にしたら心強い。
これからどのように物語は収束を見せていくのか、スナネコ編が楽しみな一方、他にシリーズは出版されていないのでこれで終わってしまうのかと思うと寂しい気持ちになる。
バーティミアス ソロモンの指輪 3 スナネコ編
2024/05/31 23:03
最後のバーティミアス
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口は悪いのに、なんだかんだ人(?)が良く面倒見が良いからか、今回もバーティミアスは命懸け。
疲労困憊な状態で自分より上位のアメットと対峙する危機的場面を知恵と経験で打ち負かした後に、指輪の霊を解放してあげようと声を掛ける姿にほっこり。
配下の魔術師達を管理出来ていかなった点は為政者として失格なソロモンも、本性には良い意味で裏切られた。
ただ、今作のヒロインであるアズマイラについては、バーティミアスに頼り切っているにもかかわらずバーティミアスを軽視していて、残念ながら好きになれなかったな。
成均館儒生たちの日々 下
2022/11/29 21:16
ユチョンドラマ原作本
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上下巻を通して当時の社会や成均館の様子を窺い知ることができる興味深い作品。
主人公の4人はそれぞれ全く違うタイプの人間だが、上手くバランスが取れていて、軽薄そうに見えるヨンハが良きバランサーとして機能していた。そして一見粗野に見えるコロが一番繊細かつ人情に厚い人物だと思う。
ソンジュンの危機に党派を超えて協力する儒生達の姿に心打たれた。
最後には続編の奎章閣へ続く展開が…。
成均館儒生たちの日々 上
2022/11/29 21:09
ユチョンドラマ原作本
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ユチョン主演のドラマ『成均館スキャンダル』の原作本
ドラマを見た後に読み始めたので、演者をイメージしながら読み進めたが、こちらの方がより魅力的に登場人物が描かれていた。
終盤では中国の儒家たちの考えを引用した儒生らしい議論が続くなど、ドラマよりも深く学生生活が描かれていて読み応えがあった。特に論語の栗谷先生の解釈部分では所得税の累進課税がすぐに思い浮かび、昔の中国の文献の解釈は現代の社会の仕組みに通ずるところがあると感じた。
上巻の最後で若干重たい空気を残したが、これから下巻でどう展開していくのか楽しみ。
バーティミアス ソロモンの指輪 1 フェニックス編
2022/07/16 00:46
久しぶりのバーティミアス!
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学生時代にプトレマイオスの門を読んで以来、約10年ぶりのバーティミアス!
三部作だった本編ほどの壮大さはないものの、脚注で盛り込まれるバーティミアスの独り言が相変わらずで面白かった。また、所々実在の人物の名前を使っていたり史実を交えていて、ファンタジーなのにどこか現実とリンクしていそうでワクワクする、この世界観が好き。
今それぞれで動いているバーティミアス、ソロモン、アズマイラが今後どのように関わっていくか楽しみ。
檸檬 改版
2022/11/30 23:46
著者の生涯が色濃く反映された作風
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病魔が忍び寄っていて、全体的にどことなく暗く重い雰囲気が漂っていた。
そのような中異色を放っていたのが、表題作でもある『檸檬』
気だるい空気感を持ちつつも主人公の悪戯や檸檬の鮮やかな黄色が描かれており、他の作品にくらべ明るい印象を受けた。
高校の国語の授業でも習った本作が最初から単体の作品ではなく、『瀬山の話』の挿話だったというのには驚いた。
やはり全体的に難しく感じ、読むのに時間がかかってしまった。
チューダー王朝弁護士シャードレイク
2024/05/31 23:30
歴史ミステリー
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ヘンリー8世の治世、宗教改革の最中修道院で起きた殺人事件を描く歴史ミステリー。
登場人物は多めで、慣れるまでは大変。
実在した人物や出来事を織り交ぜつつ、当時の雰囲気が感じられ、かなり読み応えがあった。
権力を持たない者や女性には生きづらそうな時代。
主人公のシャードレイクは表面上だけで物事を判断したり、助手のポアに嫉妬したりとそれほど優秀な人物には思えず、むしろポアの方が現実的で好感が持てていただけに最後はちょっと残念。
あと、時代や立場を考えたら罪深いとはいえゲイブリエルはかわいそうに思ってしまった。
スタイルズ荘の怪事件
2024/05/31 23:25
ポアロ初登場作品
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老婦人の殺害事件に様々な人物の思惑が絡み合うことで事件を複雑化させており、真犯人に辿り着く経緯が予想外で二転三転する容疑者にすっかり惑わされてしまう。
ヘイスティングズはワトスンの様な役回りかと思ったが、かなり単純な人物で本人の自覚がないところが少し厄介(しかもポアロの実力を疑問視する描写も)。
また、ポアロはホームズとはまた違った探偵像で、真意を相手に悟らせずに聞き込みを行い解決していく手腕が見事だった。
ブルックリンの少女
2024/05/31 23:17
ミュッソお決まりのパターン
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主人公が小説家で登場人物がやたら多く、視点がコロコロと切り替わるのはお決まりのパターン。
今回も次々と広がっていく関係者と過去と現在を行き来する怒涛の展開にすぐに引き込まれた。
ただ、身近な人物の裏切りや予想外の展開に、楽しむと同時に、読んで心が疲弊するのも感じる。
無事解決するも、あの人物が野放しなのは納得いかないような…
各々のあと一歩の行動で防げたかもしれない悲劇に、遺族として悔しい気持ちを誰かのせいにしたいのは理解できるが、それを被害者に向けるのは筋違いか。
オイディプス王
2024/05/28 00:27
有名なギリシア悲劇
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父を殺し母を娶った真実を知り、自ら目を潰すオイディプス。
アポロンの神託に翻弄されるテバイの王家が描かれる。
巻頭の系図や色々な情報から結末は分かってしまうため、オイディプス王が今回の神託に従い前王の死を追求すればするほどに自分自身の破滅に向かっていくのが分かるだけに辛い。
それぞれがアポロンの神託のお告げを避けようとした結果、様々な不幸な偶然が重なっただけで、各人に悪意がないのが何とも言えない。
旋舞歌は難しかったが、作品自体は読みやすい。他も読んでみたくなる。
グレート・ギャツビー 改版
2024/05/28 00:24
フィツジェラルドの代表作
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謎の男ギャツビーについて隣人ニックの視点で描かれる。
訳の古さか自分の読解力不足からか、登場人物の関係が掴みにくく、場面が飛んだりして読みにくく感じた。
映画も観て再読するともう少し理解できるかも。
最後は意外と呆気なく、豪華絢爛なパーティーには人が集まっていたのに、結局ギャツビーを送り出したのはニックだけというのは虚しい。
最期まで報われなかったギャツビーの想いも、デイズィのために死んだのは本望だったのかもしれないが、無理な振舞は身を滅ぼすのだなと思った。
夜と少女
2024/05/28 00:20
ヴィンカはどこに?
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『ヴィンカはどこに行ったのか』という最大の謎を残しつつ、1つの謎が解ければまた新たな謎が出て次々と物語は広がっていく。
最後のページを捲りたいという気持ちと闘いながら読み進めた。
ラストは一気に収束に向かうが、彼の罪の意識がなさすぎて怖い。
ヴィンカの言ったアレクシス≠彼だとは察しがついていたが、彼女が犯人だとわかる人はいないだろうなと思う。フランス的なところもあり、好き嫌いが分かれそうなテーマ。
悲しみよこんにちは
2024/05/28 00:16
フランスっぽい
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初のサガン作品。新潮文庫のプレミアムカバーを購入。
最後まで読んでみて、サガンに本名を使わせなかったという、父親の気持ちが分かった気がする。
大人びた少女セシルがシリルやエルザを利用して、父レイモンとアンヌと別れさせようとする姿に、浅はかだと思うと同時にまだ17歳の少女なのだなと感じた。
父娘はこれから先も表面的には軽く生きていくのだろうが、セシルは心の奥底で無意識のうちにアンヌの死を引き摺っていくのだろうと思うと悲しくなった。