ともさんのレビュー一覧
投稿者:とも
2024/09/11 13:12
どことなくラノベ臭もするけど、、、、
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小説が映画化されたり、小説からアニメ化されたりする作品はたくさんありますが、今回紹介するのはゲームから小説化された作品。
しかも、ホラーゲーム(ホラー・サスペンス)から小説化された作品です。
その名も”夜勤事件”。
本作では5つのゲームが小説となり、ゲームプレイをされた方でも、またはされていない方でも楽しめる(?)作品ばかりです。
ゲームをプレイして読むのもいいでしょう。
読んだあとに「あ、こういうことだったのか」と合点がいくかもしれません。
未プレイの方には、「面白そう、やってみたい」と思われるでしょう。
それくらい楽しめる作品です。
たまにはホラーで涼しさを感じてみてはいかがでしょうか?
怪物
2024/06/14 13:59
スッキリしたようなしないような
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昨年公開された同名映画の小説版である。
読み終えるまでに時間がかかってしまった。
映画をご覧になった方も多いと思うので、細かく書く必要はないと思うが、描けなかった(記憶にないだけ?)部分も、小説を読むことで合点がいく。
映画でのラストは、”彼ら”の現実なのか夢なのか、鑑賞者に問い掛ける終わり方であった。
あのシーンに流れる”aqua”。Requiemの様に聞こえたのは私だけだろうか。
小説ではどうかというと、、、、
これは読んだ人だけの楽しみか。
復讐の協奏曲
2023/05/16 13:30
終盤が爽快
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弁護士「御子柴礼司」が主人公のシリーズである。如何にして被疑者を無罪にしていくか、その部分だけでも興味深いのだが、今作品で被疑者となり弁護の担当をするのは、相方とも言える"御子柴弁護士事務所"に事務員として務める女性、"日下部洋子"だ。
弁護をするにあたり、彼女の過去を調べていくのだが、御子柴礼司の過去と繋がってしまう。
物語の確信に触れるので割愛するが、何故"御子柴"の下で働くようになったのか、また彼女がどうして事件に巻き込まれていくのか。
"御子柴礼司"の過去、"日下部洋子"の過去が意外なところで繋がり、そして物語の終盤では真犯人とも言える人物が登場する。
「復讐の〜」とタイトルを付けた意味が、ここでやっと分かるのだが、、、、。
終盤は中山七里らしく、爽快感たっぷりで愉快だ。
2022/10/16 12:26
大人のための大人の性
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富永 喜代
女医が教える性のトリセツ
昨今、LBGTQ話や話題をよく見聞きするが、きちんとした性の話、特に中高年の性について語られることは少ないように思う。
女性であれば婦人科などの医療機関があるが、男性の場合はどうだろうか。
性を語ることは寧ろ、人間としての欲求(食欲など)と同列でもあるし、重要なことではないだろうか。
特別難しい用語が羅列されているわけでもなく、特に中高年の方には必読書といってもいい。
2022/09/05 12:49
ディストピアへようこそ
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無理ゲーとは、
【むり‐ゲー【無理ゲー】 の解説
《「ゲー」はゲームの略》俗に、難度の高すぎるコンピューターゲームのこと。転じて、実現不可能だったり、達成が非常に困難だったりする物事のたとえ。「月内に納品なんて―だ」】(デジタル大辞泉|小学館 より引用)
オイルショックの最中に生まれた私の世代(1970年前半/昭和40年代後半)は、比較的恵まれた世代でもあった。
しかし、8050問題とも言われるような時代になって気付くのは、閉塞的な社会とやるせなさ、それこそどうにもならない切実な問題ではないだろうか。
コロナという未曾有の(世界的な)大惨事に留まらず、社会構造の変化は著者の言う『無理ゲー社会』そのものだろう。
裕福で且つ才能のあるものには「ユートピア」であっとも、それ以外の者には「ディストピア」でしかない。
その最たるものが、秋葉原の通り魔事件の犯人であり、安倍元首相を襲撃した犯人ではないだろうか。
ユートピアを求めていたはずだったが、気付けばそこはディストピアだった。無理ゲーとは、即ちディストピアではないだろうか。
読み終えても気持ちが晴れ晴れとせず、寧ろ黒い雲に覆われているような気がした。
TAS特別師弟捜査員
2022/07/28 13:16
珍しい学園モノサスペンス
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中山七里の頭の中はどうなっているのだろう?
何冊か過去に読んだことがあるが、法医学シリーズ然り、悪徳弁護士シリーズ然り、取材にも相当時間を費やしているのだろう。
今回の作品は、ある高校の演劇部で起こった事件から始まる。演劇力もあり、成績も優秀な女子生徒が死んだ。しかも、麻薬に手を出していたという、、、。
主人公は事件の真相を追うべく演劇部に入る。
するとまたしても事件が起きる。
演劇部の成績はなかなか優秀であったものの、立て続けに起きる不幸な事件に、さすがの学校側も辟易とするが、それでも存続させ、文化祭へとこぎつける。
すべてが終わったあとに犯人がわかるのだが、中山七里らしく(?)一筋縄では終わらない。
読み終えて、mハッピーには到底なれず、寧ろバッドエンドになるのだろうか。心の中にシコリが残って気分はあまり良くない。
でもそれが、中山七里の作品の面白さなんだろう。
マル暴 警視庁暴力団担当刑事
2022/05/28 13:24
警察、刑事側からの視点
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暴力団、反社会的勢力、半グレ、、、、これらを取材対象もしくはその組織にいた人物の回顧録はいくつもある。溝口敦の著作が代表的だろうか。
現場を知っている人が書く文章は生々しい面もある。この書籍もそうだが、よく言えば「人間らしさ」もあり、なかなか面白かった。
談志のはなし
2021/11/23 14:26
想い出は色褪せることなく
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早いもので、立川談志没して十年である。十年一昔とはいうが、もう"一昔"なのだ。十年前、そうあの震災があった年だ。享年七十五歳。ちょっと早い気もする。
談志と呼び捨てにするのは失礼だが、亡くなってから今日に至るまで、最晩年の自著の書籍や弟子達の書籍、また映像で見られるものはざっと見てきた。
立川談志という一人の芸人/落語家に、これだけ多くの作品が何故残るのか。奇才だからか?それとも破天荒だからなのか?
本著は(ある人に言わせれば)腐ったミカンと揶揄される立川キウイの談志像を綴った書籍である。長い間、前座として務めただけあって、小言やら何やらも多く言われたのか、小節毎にある「談志の言葉」が胸に響く。思出話に割いているが、それもまた遺さないといけない言葉なんだろう。残念ながら(?)、前作「万年前座」は未読である。(談春の「赤めだか」は読了)
キウイはどこか抜けてるのか、それとめウケると思ってやってるのか、今一つワカラナイ面がある。高田文夫が自身のラジオ番組で言っていた事だが、談志没後一周忌法要の際、他の弟子達は黒紋付き袴とか正装してるのに、キウイはジーパンにサンダルだったという。
挙げ句「今日は誰かの法事ですか?」と。
「アイツは洒落にならん」と、その場に居合わせた人は皆口を揃えて言ったとか。
本著の中でも印象に残ったのは、談志がこの世を去る一年前に他界した弟子の話。彼は36歳という若さで旅立つが、その一年後に談志は昏睡状態に陥り、約一ヶ月後に他界する。この"偶然"を本著で初めて知った。その時の様子を想像すると胸が痛くなる。
2011年5月25日、声を失って約二ヶ月後、亡くなる六ヶ月前、キウイと談志のツーショット写真が掲載されている。
往年の談志の姿はそこにはなく、痩せ細り病魔に冒された老人の姿でしかない。
カメラを見つめることもなく、ただ前を見つめて座っている姿は痛々しい。
他の弟子達曰く「見ない方がいい」「逢わない方がいい」と言っていたそうだが、弟子でなくとも辛く悲しくなる。
没して十年、まだ談志の関連書籍は出版されるだろう。ネタはまだまだ出てきそうだ。
芸人・落語家"立川談志"、まだまだ生きている気がする。
さよならテレビ ドキュメンタリーを撮るということ
2021/11/03 15:35
テレビ屋のジレンマ
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「セシウムさん事件」で有名(?)となった東海テレビであるが、筆者は「ヤクザと憲法」「人生フルーツ」等を手掛けた、名プロデューサーである。
同名のタイトルの番組は以前、名古屋ローカルで放送され、後に劇場公開された。
数々のドキュメンタリー作品を手掛け、世に出してきた筆者であるが、行き着いた先は、本業の"テレビ"ではなく、"映画"だった。なぜテレビから映画?と思うのが普通だろう。そこには、"テレビ"という一見華やかな、内実は非常にダークな世界では映し出せない何かがあるのだろう。だからこそ、「さよならテレビ」とタイトルに冠したのだろう。
私は、殆どテレビを観ない。
自宅にいるときは、ラジオばかりを聴いている。ワイドショーと化したニュース番組、バラエティーで埋め尽くされる番組表を見ては、「今日も面白くないなあ」と思うのだ。
最後の章には樹木希林さんとの秘話もあり、普段見せない(であろう)希林さんの話も面白い。
エピローグとして書いた「テレビ屋としての愚痴」は、テレビに携わる者の全ての本音ではなかろうか。数字に追われ、路頭に迷いこんだテレビ局が、今後どうなるかは誰も想像できない。
全裸監督 村西とおる伝
2021/10/31 15:21
読みごたえ十分
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平成28年10月に、太田出版から刊行された文庫版である。
文庫版とはいえ900ページ近い文量は、「村西とおる」という男を語る上で必要最小限なページ数なのかもしれない。それだけでは恐らく、語り尽くせない何かを秘めているように感じる。
私の世代(1970年代前半/昭和40年代後半)でいえば、丁度アダルトビデオ(AV)の世界が、アンダーグラウンドからサブカルチャーへと変わる流れをを肌で感じた世代でもあろうか。本著の主人公"村西とおる"だけに非ず、代々木忠だとか加藤鷹などの存在もあった。
その中でも村西とおるの存在は大きく、独特の口調(口上とも言える)は是非はともかく、人を惹き付ける要素でもあった。同時に、映像でしか観れない娘達をテレビに出演させたりもしていた。
彼がいなければ、今のAV界は存在し得なかったのではないか。
ソフトオンデマンド(SOD)が好例だろうか。
「アダルトメディア時代年表」なるものが仮に出来たとして、間違いなく時代区分に「村西とおる時代」が表記されるだろう。
70を過ぎたとはいえ、若さと惹き付ける何かが今でも持ち続けているのは不思議である。
物語はまだまだ続きそうだ。
私が見た未来 完全版
2021/10/16 15:23
画風は古いが、内容はなかなか
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フリマではかなり高額取引されているという、たつき諒「私が見た未来」が"完全版"として、10月に飛鳥新社から復刊されました。
当初は7月刊行予定だったのですが、さまざまな事情で10月に延期されました。
誰でも見ているであろう"夢"は、目覚めると忘れてしまうのが大半です。しかし、筆者は"夢日記"として記録し、それらが"いつか起きる事象"(=予知夢)として捉え、それをマンガとして残しました。
"夢"には、それを見た方の精神状態が投影されるともいいます。作者自信も"夢日記"の殆んどは、他愛もない事だと語っています。
しかし、"夢日記"の現物(カラーコピーにて掲載)を見ると、驚きと共に恐ろしさも感じます。
中でも"2025年に起きること"を記した夢日記は・・・(ネタバレに繋がるので書きません。)
オカルト好きだけでなく、夢に悩む方や夢を観たい方にも、更にはホラー好きな方々にも十分に楽しめる作品かと思います。
古代文明と星空の謎
2021/10/09 15:08
日本の古蹟にもう少し・・・
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タイトルからすると、一見難しく思われるかもしれない。
読み進めていくと、古代文明の"暦"や、当時の人々がどのように星空を捉えていたのかよく解る。
考古学を含む古代文明の書籍は、分野故に値段がやや高い、いわば専門書の類いが多いが、この書籍は読みやすく、天文だけでなく、古代に興味を持たれている方にも判りやすく面白い。
ヒポクラテスの悔恨
2021/08/26 14:06
伏せんはあるけど、まさかねえ・・・
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今回も(?)中山七里の作品である。
前々作「ヒポクラテスの憂鬱」の"コレクター"と称した愉快犯を彷彿とさせる。
警察に対して挑戦的で、一見自然死のように見られる死因を、被害者を「解剖」することで突き止めていく様は、中山七里ならではともいえようか。
今回もまた、「え!?」と思わせるどんでん返しに、喜びを感じるのだった。
殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件
2021/08/26 11:01
いまだに捕まらないのが残念ではある
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平成25年(2013年)12月に新潮社から単行本として刊行され、のちに文庫化された書籍である。
北関東で起きた事件(北関東連続幼女誘拐殺人事件)を追い、犯人とされたS氏は免罪であるとし、さらに別の"真犯人"が要るとした。
本著(単行本)が刊行されて10年近くなるが、真犯人が捕まる気配はない。
もう居ないのか?逃げているのか?それとも真犯人はやはり・・・。
作者の清水潔氏は、その昔、FOCUSで「桶川ストーカー事件」を追った。
ただ追ったのではなく、警察の不手際なども露呈させ取り上げた。
本著を読んで始めて知ったが、清水氏の娘さんは交通事故で亡くなっていた。
だからこそ、余計に赦せないのだろう。
日本には「記者クラブ」という、摩訶不思議な報道組織がある。言葉は悪いが、「大本営発表をただ流すだけ」のいわば"広報"である。調査報道がなかなか根付かないのは、こういった「記者クラブ」にも問題があるのではないか。
最後に、一日でも早い解決と、真犯人逮捕を願い、本著に記述されている一文を載せておく。
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『何度も何度も報じたぞ。ルバンよ、お前に遺族のあの慟哭は届いたか。お前がどこのどいつか、残念だが今はまだ書けない。だが、お前の存在だけははここに書き残しておくから。いいか、逃げ切れると思うなよ。』
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ヒポクラテスの試練
2021/08/11 13:10
虫と毒
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中山七里のヒポクラテスシリーズであるが、本著の標的となるのは"虫"であり"毒"である。
ネタバレになるので詳細は省くが、"虫"が発する"毒"を見付け出し、それがどう影響したのか。
時として「病理解剖」を拒否する家族を説得し、病巣を見付け出す。そして、あるツアーに行き着く。
日本では恐らく起こり得ない事としても、海を越えれば生活習慣だけでなく、食習慣も変わる。"旅の恥は~"とはいうが、今作の登場人物もそんなところか。
「感染症で最も恐れるべきは疾病本体の脅威ではなく、人々の無関心だ。」
コロナ渦中の我が国ではあるが、この作品に秘めた"メッセージ"があるとすれば、正に"無関心"になることに対しての警告だろう。
私の体内に入った、中山七里という"毒"は、まだ暫く抜けそうにない。
何故ならまだ数冊、中山七里の未読作が手元にあるからだ。
それにしても、中山七里の作品を読む度にどんでん返しに驚かされる。いや、それを楽しみに読んでいるのか。それとも"気付かず"に読み耽っているのか。
次はどんな"どんでん返し"が待っているのか、今から楽しみである。