pizzacoさんのレビュー一覧
投稿者:pizzaco

一汁一菜でよいという提案
2022/04/27 09:36
食べることを大切にしたい
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
テレビのお料理番組でお馴染みの著者が、一汁一菜でよい、とは?と思って手に取りました。手抜きをするのではなく、家族や自分のために食事を調える大切さが書かれています。味噌汁の具は何でもいいことを写真も使い、豊富に紹介しています。その時家にある野菜や肉、魚などを取り合わせて楽しむようになりました。これまでお料理本は読んでも、自分の生活に役立つものはあまりありませんでした。でも、この本は料理だけでなく、仕事や生活全般にわたるヒントを与えてくれました。

枕草子のたくらみ 「春はあけぼの」に秘められた思い
2020/11/05 09:38
枕草子の見方が変わる
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
学生時代、教科書に載っていた『春はあけぼの』の美しい描写。
自分の好きなものや宮中の生活を描いた随筆。
というイメージしかなかった枕草子。
だが、その時代の歴史と照らしてみると矛盾が生じる。
中宮定子とその一族の栄華と悲劇の歴史、道長との権力争い、一条天皇の思い、それらを清少納言という才気あふれる女性の筆が、描いたものだった。定子という稀有な貴人を守るため、周到なたくらみを持って。
文学好きにも歴史好きにもおすすめの一冊。

人生は小説
2024/01/22 09:32
だまされる楽しさを味わいました
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
フランスで人気の作家だということを知らずにたまたま選んだ本ですが、面白さに引き込まれました。密室の謎解きミステリーかと思いきや、フィクションと現実世界、作家という生き物の業、現代の親子、夫婦関係、を考えさせられる作品でもある。複雑な構造でもぐいぐい読ませる力があって、面白かった。
最後のほうで、2つの世界に救いがあるのもよかった。

書店主フィクリーのものがたり
2021/07/12 08:30
英米文学好きな人に
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書店主というタイトルだけで購入した本でしたが、これが思った以上におもしろく、楽しみに少しずつ読みました。
研究者としては行き詰まりを感じた主人公のフィクリーが、妻の故郷、アリス島で書店を開きます。頑固者で、自分の好きな本しか置かないフィクリー。事故で妻を亡くした後の彼が店に捨てられた2歳のマヤを育てるなかで、島の人々、出版社の営業の女性とも打ち解けていきます。
彼やその周りの人々に起きるさまざまな日常の喜びや悲しみを描きます。
そんな各章のはじめに主人公が自分の娘になったマヤにあてて書いた書簡の形で、さまざまな文学作品の一節が紹介されています。
私も好きな本やそうでもないもの、まだ読んだことがない作品も。
本文中にもいろいろな作品の登場人物や一節がさらりと出てきて、それも楽しめました。
好きな本からその人がどんな人かわかる。本当にその通りだと思います。
2021/05/03 10:30
家族の形はいろいろでいい
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問題を抱えている元夫の息子、数学の才能を持った娘、を持ったシングルマザーの主人公の奮闘を描いているかと思いきや、同僚や雇い主、元夫、子どもたち、それに飼い犬の老犬、それぞれの人生の問題や生き方が描き出され、物語を複雑でおもしろくしています。
娘のエリート校入学資金のため、賞金のもらえる数学の大会会場に向かうロードムービー的な時間軸と登場人物たちの個々の問題とが、上手く絡み合っています。
この作者の作品は2冊めですが、また読んでみたいです。

ブルックリン・フォリーズ
2021/02/03 21:47
アメリカに希望はあるか?
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ポールオースターの作品は初めて読んだが、読み進むうちにどんどんおもしろくなった。
まるで自分がブルックリンにいるかのような、登場人物たちと冒険をともにしているような気持ちになった。
ひとりぼっちだと思っていた一人一人が、お互いの出会いから心のつながりを得ていく。
いい家族だと思っていたのが、壊れていく。
ブルックリンで新しい家族の形が作られていく。
人生をあきらめていた主人公が人生に希望を見いだしたとき、何かが起きる。

南の子供たち
2022/12/16 08:00
シリーズの他の作品も読みたい
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初めて読んだ作家だったが、実に楽しかった。ニューヨーク在住の中国人リディアとアイルランド人ビルの二人組探偵が、リディアの1度もあったことがないいとこが起こしたとされる殺人事件を探るため、ミシシッピデルタと呼ばれる南部の田舎町に向かう。そこで初めて知る南部の人種差別、偏見と親類や家族の歴史。父母の若い頃やアメリカに移住したばかりの先祖の苦難。探偵として事件を探る部分の面白さとアメリカにおける移民の歴史と現代にもまだ根強く残る人種の分断に目を開かれる思いがした。
この二人はシリーズになっていることを知ったので、手に入る作品から読んでいこうと思う。

亥子ころころ
2022/08/14 10:02
読み終えるのが惜しい
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まるまるの毬の続編で楽しみにしていました。ゆっくり読みたかったので、買ってから少し寝かせておいたら、その間に作者の他の作品も読んでしまいました。どの作品も最後まで読ませる筆力。久々に大好きな作家を見つけました。いよいよ、この亥子ころころ、南星屋の家族模様に加え、新登場の雲平も、いい男っ振りで、彼をめぐって巻き起こる出来事も、深く人間を描いておもしろかったです。あと少しで読み終える頃には、まだ、読んでいたいと思ってしまいました。続編が、またまた楽しみです。

彼方の友へ
2022/01/17 10:59
戦争によっても失われない大きな愛
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母から聞いたことのある少女雑誌の編集部がモデルになっていることをこの本を購入してから知りました。本編の美しい詩や夢のある小説、挿し絵、付録の美しさ。何よりも少女たちに美しいもの、気高いものを届けようとする編集部の在り方。
それに対し、時勢にふさわしく、勇ましくあれ、贅沢はいらない、とする当局の動き。
主人公ハツ(波津子)たちが、この雑誌を守りぬく壮絶なたたかいに胸が熱くなります。有賀主筆をめぐる人間関係も、みなが命がけで彼への愛を守ろうとするので、全て人間はいとおしいと思えます。
現代とその時代を行きつ戻りつする構成も違和感なく読めました。
2021/05/16 19:20
目まぐるしい展開
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どこにでもいる女子高生と冴えない非常勤講師が、彼女の父の書いた本を介して親しく話すようになる。
だが、ある日突然学校を去った講師を探して彼の実家に向かう。そこから、話はどんどん大きく展開し、様々な事件に巻き込まれ、彼女自身が命を狙われる。
敵か味方かわからない人々、村の神事にまつわる話、父の過去と死の真相、わからないことが多すぎる。
彼女は先生とともに謎の核心に迫っていけるのか?
後味が悪い話は嫌いなので、このミステリーは後味がよくて、私にとっては収穫でした。

頑張らない台所 60歳からはラクしておいしい
2021/02/03 20:53
がんばらなくてもいい
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最近、同世代の友人に会うとみんなご飯を作るのが面倒になってきたと言います。
もともと料理研究家として手の込んだ料理を作ってきた著者ですが、レンジやフードプロセッサーを使い、手間の省けるところは省いて、おいしいおかずを作るように。
台所道具や食器も数を減らし、無駄のないすっきりした住まいに。
面倒だから、やらないのではなく、工夫して楽しく暮らすヒントがいっぱい。
料理以外にも通じる、生き方のお手本のようで、私もやる気が出る本でした。
2020/08/18 08:42
いろんな立場から読める
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劇作家で近頃はテレビのコメンテーターとしてもよく拝見する鴻上さん。
すでに売れっ子だった30代にイギリスの演劇学校に留学した時のお話。
動物になりきる授業やダンスの授業、さまざまなエクササイズの模様も興味深く面白い。
だが、なにより英語に苦しめられる様子が、本当に面白い。イギリス人も驚くほど文法はわかるのに聞き取れない、話せない。
クラスメートや教師たちの人物像の描き方、お芝居の場面を見るように面白い。

おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密
2020/04/15 11:29
おもしろくてよくわかる『おカネの教室』
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学校のクラブでお金について学ぶなんて、なかなかない。
カイシュウさんの語り口に引き込まれて、自分もビャッコさんたちとともにクラブの一員になったかのように勉強させてもらいました。
今まで、あまりに経済を知らない大人だったので、著者がお嬢さんのために書いたこの本がとっても役に立ちました!
私のような大人にもオススメです。もちろん、子供たちにも。
続編に期待しています!
2020/03/08 08:49
底なしの怖さ…でした
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書店で何気なく手に取った本だった。それが、こんなに恐ろしい物語だったとは。
妻として、母として、一家の女主人として、完璧な私。と信じて疑わない主人公。
読者にはその綻びが少しずつ見えてくるが、彼女の
信念は揺らがない。
伸びやかな感性を彼女はどこで失ったのだろう。自分の価値観に合わない人を憐れむほどに。
これは彼女の物語であり、私自身の物語だと気づいたが、私は変わることができるだろうか。