やじやじさんのレビュー一覧
投稿者:やじやじ

BOSSY
2023/05/27 05:47
恋に落ちる二人
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ネタバレあり
思っていなかったくらいの甘い恋の話だった。
マイケルとブライスの二人は
名乗りもせず、「割り切った私情抜きの関係」から始まる。
でも…読んでいくうちに出会いからだよね!って思ってしまうような感じです。
お互いの名前とか、仕事のこととかがわかるまで170ページも費やしている。
なかなかのものです。
でも、もうその間には二人は気が付かないうちに
著者紹介に書いてあるとおり「恋におちるところ」が描かれている。
お互いのことを知って、恋であることを認識して
永遠の愛を誓う未来を掴む話なのだ。
二人の間にはすごい葛藤はない。
すでにお互いにカミングアウトは済ませているので
その点での親との問題はない。
マイケルの両親はからりとブライスを受け入れたし。
(笑えるところだったけど)
ブライスと父ホテル王との間は父子関係としてちょっと複雑だし、
この父が二人の間に爆弾を落とすのだけれど
父が思っていたよりもきちんと対応したので…。
とにかく、かわいい恋の物語なのだ。
そうか、君たち20代だったねと…溜息ついてしまったくらい
きらきらとした感じなのです。
(目がハートだとか、マイケルの上司に「恋人」って言われてきゅんきゅんしている二人とか)
身体の関係から始まっているのでそういう描写はしっかりあるのですが
一番きゅんとするのはソファでマックスを抱えるシーンなんですよね。
うん、恋に落ちている二人だ。
海外ものにしては珍しくリバがないこと
(上下固定)
同性愛(あるいはカミングアウト)に関する葛藤がないこと
(ブライスの父子関係の問題はそれとは別ものなので)
わりと物語に湿気がないからりとした風を感じました。
ふと「これがオーストラリアだからか」と思ったりしたしだいです。
(いやオーストラリアのM/Mはこれが初めてだと思うので
断定はできないけれど…単なる作者さんの作風なだけかもなので)
とにかく、湿気のないからりとした甘い恋物語を堪能させていただきました。
タイトルのBOSSYってどういうことだろうって思っていたのですが
それもなるほどな感じだったですね。
二人の恋にこれからも幸あれ。
この作品の一番の問題は…お値段かな。
ページ数が400越えとはいえ
文庫サイズで1500円オーバーはお気軽にって感じではない。
個人的には買って後悔していないですが、ためらいがないわけではない。
たくさんの人に読んでもらいたいと思うので、
もう少しプライスダウンしていただけたらとは思います。
海外ものもっと読みたいですしね。
☆4.5

interlude 美しい彼番外編集
2021/10/17 06:11
きもうざ堪能です
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
新刊出るーって楽しみにしていたら
続編でなく番外編でした。
なので、こちら本編を読んでから読んでください。
読んだことある作品もありましたが、
手に入れられない作品もあるので
こういう本は本当に嬉しいし、ありがたいです。
短い中にきもうざ魅力が詰まっていて
「デュフッ」って笑ってしまいます。
おそるべし平良一族と思ったり
(可愛い智也くんまでーーー)
小山くんの本当の顔をちら見させていただいたりと
もう盛りだくさん。
そしてオカルトまでぶっ込んできて。
(ああ、ファン活動も良かったパン姐さん素敵)
どうあろうと清居が平良にめろめろなのが伝わってきていて
(平良はもう・・・不動だから)
とても楽しめた1冊でした。
早く本編の続編がでると良いなーって思います。
余談
帯でTVドラマという文言に絶句後に絶叫
誰がやるのーーって叫んでしまいましたが。
これを実写化するのは・・・どうなのだろうか。
かなり心配ではありますが・・・

シャングリラの鳥 2 (Canna Comics)
2020/11/30 06:47
一人入れる空きがあると・・・
10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
表紙にもう「何これ」状態。
既視感のあるあの構図にあの瞳。
(これはわかる人にはわかるよねな構図)
もう・・・やられた感半端ないです。
その上に、最初のアポロとオーナーが語る物語は
「海神別荘」ですし。
ここらへんに作者さんの奥行の深さを感じます。
余談ですが、玉三郎様の舞台がぱーんと浮かんできて
ちょっと別の意味でウキウキしてしまいました。
(泉鏡花好きですーー玉三郎様もーー)
オーナーさんに20年来のパートナーがいるのにもびっくり。
それを見て思うところありのアポロとか。
そして、相変わらずの「手」です。
手が絶妙に描かれている。
差し出し、握り、絡める。
そしてさわさわと頬をなでる。
この要所要所をおさえてくる表現がもう絶妙。
「心には、一人入れる空きがあるっ…てこと?」
帯で見たときから痛いくらいのこの台詞。
そしてその台詞を言った時のフィーを見たアポロの顔。
言ったフィーの瞳。
何か落ちてきたのか・・・
「爪を噛む」についてアポロが調べていましたが、
心理学的な意味合いは割と有名ですし、気が付いていました。
(手についての一環なんだと思っていた)
そして、それが気になるアポロの心情が気になる。
実は1巻からこれはきちんと描かれている。
しかも1巻の表紙から(表紙に気づいたのは2巻読んでからです)
ここらへんのセンスはすごすぎます。
傷つき、疲弊した末にシャングリラに流れ着いた二人が
秘密を分かち合い・・・どうなるのだろうか。
フィーの周りの不穏な動きはどんな事件を起こすのか。
オーナーさんはどう動くのか。
もう、きりきりと先が知りたくてたまらない。
3巻悶えるほどに読みたい。
早く3巻出てほしい。
ここでお預けは苦しすぎる
と胸をかきむしるほどの読後感でした
(本当のこと言うと、完結してから読みたかった)

雪原の月影 満月
2022/01/10 05:42
号泣(切なくて愛おしい)
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ネタバレあり
雪原の月影三日月の続編なのでそちらから読んでください。
成長しない病のクルベール病にかかって皇太子を廃嫡され
僻地(最貧の地)の領主となったエルンストと
その彼を慕って追ってきて伴侶になったガンチェ
種族も寿命も違う二人の話。
でも、作品自体は色恋がメインというわけでもない
上弦の月
前巻に引き続き、エルンストと王都の関係の決着
エルンストががしがし政治的手腕を見せつけてくれます。
その部分の面白さとともに
この国の王族の有り様はすごいなぁと。
王族は二人しかいない(王様と皇太子)
それ以外は単なる貴族であると。
なので半血とはいえ兄弟なのに関係は希薄
(兄弟としての何かしらはないに等しい)
その中でトリ公爵だけは鬱屈を抱えているのがまた際立つ
(その鬱屈具合はこちらの世界では理解しやすい)
その上で、王と元皇太子の間に何もない(親子としての情とかない)のが
また際立つのだ。
エルンスト側にもそこらへんの情がないのが伝わってくる。
前巻で語った王族の閨事の作法を思うと致し方ないのかなぁと。
だからこそエルンストが皇太子を廃嫡されて
ガンチェに出会えたことを喜ばしく思える。
(国にしては優秀な王を失ったわけだけど)
下弦の月
時が過ぎ、メルセンはまだまだ途上ながらも発展しつつあり
懸念のリュスク国が攻めてくる事態に。
その間にグルート国へガンチェを送り出したり
(ここは実は最後の満月で深い意味を持ってくるのがまたすごい)
二人で旅したり。
その後の賭けのシーンとかも好き
(全体的にエルンストがずっと閨事に対する恥じらいとかがなく
周囲に包み隠さないあたりが可愛い)
物語はシリアスに進んでいくのだけれど、
周囲の者たちとの関係の描かれかたが温かくて優しい。
(加えてガンチェとの関係はずっと甘い)
リュスク国を深謀遠慮の末退けながら、
後顧の憂いに備えるための準備をする。
施政に終わりはなく、エルンストは目の前にある仕事をし続ける。
ラストのまでの数ページ涙があふれてくる。
決して覆らない種族の寿命の差
30歳も年若い伴侶を先に失うことを思うエルンストの思いが切ない。
乳液をガンチェに塗るシーンや
愛し合うときはいつもなんだか可愛らしいのもとても心に染みます。
からのガンチェの満月・エルンストの満月
この物語はここにしかたどりつかないとわかっていながら
涙が止まらない。
悲しく痛く切なくそして愛おしい。
これを読んでから、
表紙のガンチェの赤い鎧を見てその意味に号泣。
下弦の月で終わりにしても差し支えないかもしれない物語だけれど
やはりこの満月があってこその二人の物語なのだと思う。
泣こうが叫ぼうがこの終焉は見ないではいられません。
そして何度読んでも涙が出ないこともありません。
他に関係者との別れの書き方もさらりとしながらも
印象深く描かれていて秀逸だなと思う。
語っても語りきれないものがありますが
前巻の三日月とこの満月の二冊は
今後何度も読み返して泣くだろうと
それに耐えうる作品だと思っています。
とても大事な本になりました。

毒を喰らわば皿まで 箱詰めの人魚
2022/09/24 05:49
人魚
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ネタバレあり
シリーズ3作目
今回は人魚の話
相変わらずのアンドリムぶりとえげつない内容は秀逸
人魚(あるいは海の魔女)の色々はえげつないことこの上ないです。
そして今回は今まで出てきた国や人がてんこもりでした。
敵の仕掛けが結構雑なのですが、
その理由もきっちりあるので「だからか」みたいに納得
対抗する方法も正義でないえげつなさでらしくて良いです。
ただ、前回の鏡同様にアンドリムが「選ばなかった」件については
切なく痛いなぁとしみじみ思うしだいです。
そうなるのはわかっていても。
そしてその選択を迫るヨルガがいい感じです。
今回、公開して致すのが多くて…「おいおい」な感じもありましたが
その反面ヨルガとのいちゃいちゃが控えめだった気がするのはちょっと残念かも。
結局アンドリムの選択はヨルガとの関係だし。
あ、ダンテとアルベールのフラグは確定みたいですが
(こんな赤子のうちにと思ったり)
リサルサロスの跡継ぎ問題をちらりと気にしたり(笑)しました。

赤と白とロイヤルブルー
2021/12/01 05:45
恋と未来を手に入れる話
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ネタバレあり
650ページ超えなのと、翻訳物なので
読み出しまでがちょっと大変かも。
でも、流れに入ったらそのまま勢いに乗れる作品です。
初の女性大統領の息子アレックスと英国王子ヘンリーの恋物語
英国王子の恋の話(BL)では「ロイヤルシークレット」があるのですが
あちらが年嵩のせいか大人の恋と苦労なのですけど
こちらは若いだけあって熱情な感じが伝わってきます。
ロイヤルウェディングでケーキに二人で突っ込む事件から
危機回避からの偽造仲良しからの・・・恋物語
立場とためらいと理解や共感が絶妙な絡まりを持って二人の関係を作っていく。
(個人的にアイスの写真を撮るシーン好きです)
しかも、ちょっと若さ故か(いや恋故だね)羽目をはずしてしまったり。
大統領の再選運動が絡んできたりと、
波乱な二人の関係を読ませてくれます。
SNSやアプリでの会話などが適度に織り込まれているので
長丁場の息継ぎにもなってるかなと。
だけでなくて、これは話の展開の肝にもなってきます。
メールの中で二人が引用しあう作家や政治家やその他諸々の人の
文章も粋でアカデミックでさらに二人の思いを婉曲に語っていてとても良いです。
(この人物たちを知っているとよりそれを感じられるのではと思うけれど
知らなくても感じられますので)
アレックス視点なのでヘンリー側は一緒にいないときはこのメールや
アプリでの会話とかでしか想像できないというのもミソ。
そして、二人だけでなくて周りの人々がなんと魅力的か
アレックスの姉のジューンとヘンリーの姉のビーは
ちょっとぶっ飛んでいつつ、姉が弟を守る感じ好き。
ノーラもペスもぶっとんだ友人達だし。
息子との会話にパワーポイント作ってしまう大統領母とかも
かなりツボです。
シークレットサービスや補佐官、侍従まで皆魅力的なのも
翻訳物特有の魅力だと思います。
(二人の恋物語だけではない)
ちなみに私個人的にはザハラの告白が物語最大のびっくりでした(笑)
これは立場と恋とそして未来を若い二人が周りに助けられつつ
手に入れていく話です。
移動中の読み物にするには・・・重さと厚さで不適当ではありますが
重くても手にとるべしですね。

仕事おわりのランデブー
2023/06/30 18:49
「久慈くんのまつげって孔雀みたい」
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
草間ワールド全開な作品
読んでいると不思議な感覚に陥る
色々細かい文字での説明が省かれているので
わかりづらいと思う方もいるかと思いますが
そこがツボな感じなのです。
久慈さんの完璧と見える姿はきっと葬儀社専務故のもので
本当は大型わんこぽい。(いやくじゃくか!)
ソファやラグや掃除機…色々突っ込みどころ満載で。
吉見は理学療法士所以と本来の気質で他人との距離感が近い
そしてすぐに人を引き寄せる
(そんな吉見に焦る久慈さんの顔がかわいい)
二人の関係はあれよあれよという間になんです。
久慈さんが吉見さんを抱えてゲームをやるシーンがきゅんです
(そしてあの人を撃つのも!)
「久慈くんのまつげって孔雀みたい」っていう台詞があるのですが
まさにばさばさとあるまつ毛の描き方がすごいんです。
まつ毛ばさばさなんだとこの絵柄で思わせるの天才かって思ったくらいです。
三話めの表紙の孔雀と久慈さんの絵がすごく好きです(鳥好きなの…)
そして、ラストページ読んで表紙下の鮫島さんと同じ気持ちになったことは記しておこう
(なので表紙下読んだ時は「だよねー」って思ったしだいです)
ちなみに鮫島さん好き
二人で夕飯食べにいけたかなと思った読み終わりでした。

ふったらどしゃぶり 完全版
2022/05/14 06:49
どしゃぶり
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ネタバレあり
旧版未読です。
恋人と同棲しているけれどセックスレス状態の一顕
幼馴染と同居しているが求めても与えてもらえない整
1通の間違いメールからお互いに同僚と知らないまま交流を深めていく
その交流はだんだん自分の中で消化しきれない誰にも言えない悩みを打ち明けていくようになっていく。
それは、実の存在となって。
パートナーとのセックスレスというかなりセンシティブな題材を扱っていて
かなりリアルなので色々刺さる話ではある。
結婚前と後のセックスレスではまた意味も価値も違うだろうけれど
どちらにしろ「相手」との価値観のすりあわせなしにその状況になるのは
問題がある。(あるいは同意)
「セックス」はやっぱりするしないを含めてお互いに納得してないと
いけないのだろうなぁって思う。
先輩への発言から見ても
かおりはその状態で満足だったのだろうけれど、
一顕は生殺し状態なんですよね。
そこを鑑みないで結婚して子供を作るとか夢を語るのですよね。
子供を作るときだけとか・・・残酷すぎる
一顕がそれを納得していれば問題ないのですけれどね。
かおりの先輩の恐ろしい一顕に対する言動も・・・
一顕のいうとおりちょっとはかおりの言動のせいなのですよね。
ああ、一顕の苦しみをかおりはやっぱりわかってないんだっていうのも
この時わかってしまったし。
かおりの先輩の怖さはひとしおでしたけれどね。
一顕が出て行ってしまった時に追いかけられなかった時点で
かおりの有責が大きいと思うのです。
(まあ一顕が無理矢理致して良いってことではありませんけれど)
なのに、最後の態度はちょっと酷いなぁって感じでした
(まあ、そうでもしないと思い切れなかったのかもしれませんけれど)
価値観の一致というのは恋人同士ならやっぱりセックスも含めてだと思うのですよね。
ただかおりの考え方を全否定する気はないのです
その価値観が一致する人となら問題ないかと思うのです。
相手がいることですから。
整と和章はきちんと正面から向き合って
すべてを打ち明けあっていたら相思相愛になれたのだけれど
そうなれなかったのが切ない
和章は和章の理由もあるのですけれどね。
だから彼の手からこぼれ落ちてしまったのだろうと。
そんなお互いの相手と合わされない二人が出会って
悩みを吐露したり、意見したりとすりあわせていって最終的に
「この身体がいらないなんて、ぜいたくなやつがいるんだなあ、ってさ」
という整の言葉がしみじみと染みていきます。
一顕がそれに涙が出る思いをしたのは理解と許容された思いだったのだろうと。
二人がそれぞれ一人になって
だけれどもがっつり二人でとならないでも
お互い不器用に「好き」な確かめあう
二人を好ましく思わせてくれます

毒を喰らわば皿まで その林檎は齧るな
2021/10/15 05:16
シラユキ姫といえば・・・林檎?
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ネタバレあり
前作が良かったので、逆に買うのをためらった作品
どうしようかなぁと迷いに迷ったのですが
「迷ったら読む」が信条なので手にとりました。
前作では未来は最後まで書かれているのですが
今回はその途中のお話
(なので続編というにはちょっと違う気もするのですが)
文章自体が前回より読みやすくなっている気もします。
もちろん前作読んでから読んでください。
悪の(元)宰相アンドリムと騎士団長ヨルガは
すでに番になっておりますし、
パルセミス王国騒動は決着してからの続き
前作で数行さらりと書かれていた部分が1冊になってました。
(ジュリエッタのみの解呪の件について)
話の謎解きが
アンドリムのちろちろ見える悪意と企んでるだろうおまえ的な部分と
二人のいちゃいちゃ(執着)な糖度高めな部分の両方が
バランス良く楽しめて良かったです。
というか、アンドリムがもう人目をはばからずいちゃいちゃ見せつけるし
ヨシュガは「ここでかー」みたいな感じだし・・・・
まあお互いがお互いに執着していているので
「仲良きことは美しきかな」ですか・・・。
転生もののいいとこ取りかもーって感じではありますが、
まあそれもアンドリムという男なので許容
前回の脇たち(息子たち&その他)もちらちらでてきたり
と楽しませてもらえたし。
ヒノエ人々はまあかなり大変だったでしょうが
(八岐大蛇の呪いを受けている国なので和風名
なのにカタカナでさらにたくさん出てきたので
若干混乱しました←カタカナ苦手なので)
リサルサロスの王と将軍にはアンドリムの差配は幸いだったのではないかと
思ったりして。
この作品はアンドリムが正義を振りかざしたりしないところがやっぱり魅力です。
彼の行動原理はあくまでも自己の利益や都合によるところなのが
今回も徹底していて好ましい
(パルセミス王国のためにはなっているけど・・・
そこじゃないみたいな)
わかっていたけれど最後の台詞には身震いしてしまいました。
シラユキの名前とタイトルがきちんと輪になって、すっきりです。
1巻でさらりと書かれていた解呪については
ここで決着したのかーってしみじみしてしまいました。
(その後も知っているだけにヨルガの気持ちも切なく思う)
今回みたいに1巻のそれからの章でさらりと書かれていた
アンドリムとヨルガの冒険(←ではないけど)がまた書かれるのかなぁ
今度は迷いなく手に取れるかと。
余談ですが・・・
清廉潔白とヨルガが称されるたびになんだかむずむずした気分になるのは
仕方ないですよね!

夜啼鶯は愛を紡ぐ
2021/06/24 06:36
「まったく君たちは、面倒臭い連中だな」
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ネタバレあり
これは買ってから読むまでかなり放置してしまってました。
(積読本になってました)
「鏡よ鏡」を読んでからひっぱりだして読みました。
「鏡よ鏡」は始終切ない気分で読み進めてのですが
こちらは切ないというより痛い。
痛いといっても激痛というよりも、紙で切ったときのような痛さ
それが何度も何度も・・・最初っから起承転結の起承転までずっと。
傷は浅いけど傷だらけ血みどろみたいな読み心地です。
これ・・・なんとかなるのかって感じでしたが。
凜がかなり壊れている感じ
エリアスしか見えなくて、
歌もエリアスのために(というかエリアスに愛されるために)歌っている
視野の狭さと依存度がどんどん自分自身を追い詰めて落していっている。
そして、どんどん壊れていく様が本当に痛い。
まあ原因はエリアスの不実さでもあるのですが。
エリアスの不実さ(自分ではそうは思ってもいないのでしょうが)はちょっと辛い。
なんで作者さんの年上男はこんな感じなの???
10年にも渡るそんな関係は少し変化を見せた時点で
凜が壊れてしまって砕け散ってしまう。
そこからは痛みよりも切なさがやってくる。
そして、ラストへ
ラストの1行にたどりつくためにこの年月があったのだろうって
思いますが・・・
イーサン同様
「まったく君たちは、面倒臭い連中だな」って思ってしまった。
とはいえ、凜の恋はエリアスで始まってずっとエリアスなのですから
このラストにたどりついて何よりです。
エリアスが掴まったと言えなくもないですが。
まあそれも良しです。
作者さんの「鏡よ鏡」とこちらを続けて読んだのですが
(「鏡よ鏡」の方が後出ですけど)
同じ土壌から咲いた花って感じはします。
花は違うけれど。
どちらの花も私の嗜好にはあっています。
(年の差は嗜好にあうのですが)
余談ですけど
積読本にしておいたのがもったいなかったなぁって思うとともに
このタイミングで読むのが良かったのかもとも思ったりしました。
☆4.5評価の5

夜明けの唄 1 (from RED comics)
2021/10/01 07:01
物語のはじまり
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
絵がとても綺麗で気になったので
電子で試し読みして、迷わず買いです。
やっぱり紙ベースで舐めるように読むのが好みです。
綺麗な絵と世界観、ストーリーにぐいぐい引き込まれる。
掴まれる感が半端ないとても
魅力的な作品だと思います。
黒い海の秘密と
アルトの存在の謎
そして二人の関係
物語ははじまったばかりですが、
目が離せないです。
これがデビューコミックスとのこと
出会えたことに感謝です。
続刊を座して待ちます。

グレープフルーツムーン (Canna Comics)
2021/02/25 05:42
きらきらな物語
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
作品説明の
「夢に輝く19歳が、夢を見失った31歳を、
その“きらめき”で変えていく――。」
がまさにそんな話。
きらきらとして甘い話を堪能
絵もストーリーも丁寧です。
洋一郎さんの顔も好みなんですが、
彼が作るケーキも素敵。
ケーキが本当にきらきらしていて
美味しそう・・・っていうか食べたくなる。
主人公たちの動きや会話だけでなく
ケーキや店内の描かれ方が素敵だからこそ
この話は生きてきらきら輝いているのだと思う
満足度高いです。
書き下ろしの「甘い糸」で・・・
ああ、これこそ運命の出会いだーーって
とても甘い気分になりました。
ケーキのようにきらきらしていて甘い
とても美味しく、多幸感のある話でした。
グレープフルーツのケーキを是非食べたいです。
(グレープフルーツ大好き)
2024/06/10 05:50
可愛さ爆裂
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ネタバレあり
表紙でしかも1巻と同じ構図で大きくなっているなぁと思ったら
フラン14歳になってました。
前巻レビューで「可愛い子供フランが好きなのでゆっくり成長で良い」みたいなこと書いていたのですけれどね。
でも可愛さは健在
そして恋!
(ゼブラン兄さんのちょっと寂しい気持ちが私の気持ち!
ゼブラン兄さまとの目もあるのではと思ってたのですけど)
かなり天然なフランと格好いいトレーズくん
(トレーズくんちょっと色々大変だろうけど)
あっという間に父兄公認だし(父に滅せられなくて良かったね)
フランは相変わらず可愛いですけれど、
絵的にはステファン兄さんのお子が子供可愛さを補充してくれていたりします。
でも14歳になっても恋人・父兄皆の膝の上に乗って愛されているフランは相変わらず可愛い
そして、イベント色々多発しているしでフランの悪役令息としての運命は!?
フランのこれからを早く読みたいです。
続き待ち遠しいです。

ホワイトライアー (LiQulle Comics)
2023/10/06 05:47
白
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
作者追いです。
この作品は真っ白な状態から読んで
作者さんが最初に語った通り再読したら味が変わります。
味というより、見える景色が変わるのですよね。
特に大河が見ている世界がね。
なので慧の描き方が若干弱いかなぁって思わないでもないですが
これはこれで良いのかと読みながら揺れる。
とりあえず、読者も白いまま読み始めて
再読して変わる色合いを感じでほしいと思いますので
語るのはこれくらいで。
☆4.5

明けの花に嘴 (Continuer)
2023/09/06 05:50
鳥
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
鳥ものだったので手にとったのですが、思っていた以上の作品でした。
(失礼な言い方ですみません)
もふもふ系はそうでもないのですが、鳥ものは私の嗜好ど真ん中なのですが
それをおいておいても突き刺さってくる。
転化が不完全な(それ故に疎まれた)目白の朝凪(羽根の腕がでもきゅんとする)
その朝凪を求めた鷹の白栄
白栄の朝凪の思いは白栄の事情と朝凪の自己肯定感の低さからなかなか伝わらないのだが。
二人の過去や白栄の事情そして宮廷の陰謀を含めて、
二人の関係はまだまだな感じですがどうなっていくのかとても興味あります。
朝凪は見目はちょっと女子ぽいけれど、
そこは気にならないくらい美麗な絵にきゅんときました。
羽根の部分も。
余談ですが嘴兄弟という言葉自体にもきゅんと来てしまって萌えところ満載です。
次巻を座して待つ