ゆーさんのレビュー一覧
投稿者:ゆー
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2024/01/25 23:54
純文学というものを読み慣れていないので的はずれな意見なのかもしれないですが……
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
芥川賞で話題になってたので読んでみました。
芥川賞作品を読むのは初めてかも。
都心のド真ん中に豪華なタワマンをぶっ建てて、そこに犯罪者を住まわせる……っていう、スケールの大きな話がメイン。
……なんだけど、この作品では終始、その塔を設計する建築家の女の人、それとその女の人のお気に入りのイケメン君……の、内面の独白、みたいな感じで進行していく。
読んでいる時は、まるで彼、彼女達の思っている事がこの世の一大事みたいに感じられて、ハラハラしながら一気に読んでしまった。
けど……読み終えて、ひと呼吸して、思い直してみると、彼らの思っている事って、なんだか余りに感じ易すぎるというか……。
私のようなガサツな人間からすると、なんとも些末で、小さくて、物凄くどうでもいい問題なんじゃないの?
とかって思ってしまった。
話としては、設定としてはスケールが大きいだけに、なんだかその“小ささ”とか“どうでも良さ”が余計に目立ってしまったというか……。
建築家の女の葛藤にしても、終始、結局自分の中だけの話というか……。
別に社会がどうとか、影響がとか、犯罪者がとか、そうゆうのよりも、彼女は結局、自分の中だけでがんじがらめになってしまっているだけなのでは。
レイプって設定もちょっと安易だと思っちゃったかな。
かといって、葛藤しながらも前に進むとか、そういうんでもなく。
ポルノでも、メイクラブでもなく……要はマスターベーションて事なんですかね。
ミレニアル世代の若者をレッテル貼りしたみたいなイケメン君は……結局なんだかよくわからなかったかな。
言い方は悪いんだけどだいぶ前に流行ったセカイ系を連想しました。
本人達は凄くシリアスで、まるでこの世の一大事みたいな気分なんだけど……実際には何にも中身のある事言ってない……みたいなアレ。
もちろん、そんなに酷くはないですが。
とにかく、この人達は色々と考え過ぎじゃないんですかね。
シリアスに張り詰めすぎなんじゃないかと思います。
それとも、そうゆう思考停止が駄目なのかな?
けど、風にそよぐ木の葉にいちいち立ち止まってたら生きてけないしな……。
そうゆう事を、面と向かって、しっかりと考えるキッカケになるのが“文学”ってことなんですかね。
他人との比較とか。曖昧化させる横文字とか。言葉の話とか。考えてしまう部分も結構ありました。
生成AIだとか、言葉狩りだとか。SNS、ジェンダーフリー、多様性、なんちゃら事務所のアレ、パパ活、ママ活(今はそんなのもあるんだね)……とか、まぁどうでもいい、鬱陶しい話もあったけど。
……っていうか、色々と詰め込みすぎてて、ゴチャゴチャしちゃってる感はあるかも。結局、なんなんだ?っていう。
曖昧に終わってるから感想も曖昧になるのかも。
……とにかく、なんだか色々と引っかかる、ザラっとした小説でした。
まあまあ面白かったです。
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