Ladyさんのレビュー一覧
投稿者:Lady
有閑倶楽部 10
2002/05/13 11:01
ミステリー好きにもおすすめのシリーズ!
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財閥令嬢、警視総監の息子、大病院の息子、など、金と権力を思いのままに使うことのできる高校生6人組が、その知恵と財力を使って、この世の悪、理不尽を成敗していく、という痛快連作短編集。
内容は、ミステリーあり、ホラーあり、オカルトあり、コンゲームあり、と、バラエティーに富んでいます。彼らが事件を解いていく過程もおもしろいですが、魅力的なレギュラーが増えてきて、ときどきひょっこり顔を出すのがまた、シリーズの楽しみでもあります。
ギャグ漫画ですが、上品なユーモアに満ちた作品です。おすすめ!
西遊記 新版 上
2002/04/24 22:52
永遠の愛読書
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岩波文庫から全10巻の大人向けの完訳版が出ていますが、もともと「西遊記はおもしろい!」と知っていなければ、とても手を出そうとは思わなかったでしょう。
子供のときに、この本を読んで以来、何度も何度も読みかえし、ぼろぼろになるまで読みました。三蔵法師と孫悟空たち三人の弟子が、中国からはるか天竺(インド)まで、二十年近くかかって徒歩で旅をする間に、さまざまな妖怪と戦いながら、進む冒険は、本当に胸おどるものでした。
大人になってから、かつてこの本を買ってくれた両親に感謝したものです。
パイド・パイパー 自由への越境
2002/04/14 11:45
大人に読んでほしい童話
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時は第二次世界大戦下、ドイツがフランスに侵攻しようという頃。スイスに静養にでかけた主人公のイギリス人の老人は、ひょんなことから、見ず知らずのイギリス人の子供達をつれて、帰国することになります。簡単、とはいえないまでも、すんなり帰国できるはずの彼らは、ドイツ軍の侵攻が進むにつれて、交通機関がずたずたになり、予定以上の時間を費やして、困難な旅を続けます。
ただそれだけの物語なのに、老人と子供たちのゆっくりした足取りで、敵からのがれて進む様が、なんとサスペンスに満ちている事か。何度でも読み返したくなる傑作です。
長い長いお医者さんの話
2002/03/11 10:34
子供にも、大人にも!心のなごむ短編集
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子供のころ、大好きで、何度も読みました。のんびりした、心のやさしい人々の出てくる、楽しい童話集です。しかし、さすがはSF作家、という感じで、珍妙な動物(正体は読んでのおたのしみ!)が出てきたりします。著者の大人向けの作品しか読んだ事のないかたこそ、ぜひ、この子供ばかりでなく大人にも楽しめる童話集を楽しんでほしいです。挿し絵もまた、のびやかでかわいらしく、実に印象的です。誰にプレゼントしても喜ばれる一冊です。『ダーシャンカ』ばかりが有名ですが、これも名作です。
園芸家12カ月 改版
2002/03/11 10:25
あたたかなユーモアに満ちた、ちょっぴりシニカルでおかしいエッセイ。
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『ダーシェンカ』で有名な著者による、園芸をネタにした、楽しいエッセイです。「長い長いお医者さんの話」を読んでいるようで、おとなが楽しく読める童話、という感じです。実際にガーデニングで苦労している人なら、「そうそう!」とうなずく点もたくさんあるでしょうが、まったく園芸に手をそめたことのない人でも、読んでいて「そうそう!」とうなずいてしまいます。これは絶対に、電車の中で読んではいけません。ページをめくるたびに、吹き出しそうになるので、笑っている変な人、と思われます。
役小角 外伝 夜叉と行者
2002/02/22 20:45
シリーズでいちばんおもしろい。ちょっとしたミステリを読む感じ
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これは持統天皇が主役の一冊です。それで外伝となっているのでしょう。持統天皇が吉野に何度もかよったという史実から、驚くべきミステリをつむぎだしています。最後に持統天皇の目論みがあかされると、あっと驚くこと請け合いです。が、やはり登場人物を把握しておくために「天上の虹」を読んでおくことをおすすめします。また、この外伝からいきなり読むと、役小角本人と一族に関することがまったくわからないので、やはり1巻から読むのがおすすめです。個人的にはNHKの大河ドラマにしてほしい。
その後のシンデレラ 新「様式模写」小説
2002/02/15 20:59
童話の後日談
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パスティーシュの短編集です。作者の小説もおもしろいですが、わたしはパスティーシュのほうが、鋭さがあるようで好きです。表題作は、タイトルから推測できるとおり、王子様と結婚したあとのシンデレラはどうなるか、ということを勝手に想像した話。これがなかなか真をついていて、なるほどねー、と感心してしまいます。ほかの作品のなかで、いちばんおもしろかったのは、「全面対決」という作品です。サラリーマンたちが2派に別れて、会議で激突するのですが、その有り様が大笑い。誇張されているのですが、まさにそのとおり、と膝を打つ事うけあいです。
イギリスはおいしい 2
2001/12/15 11:50
ガイドブックではとりあげられることのなかったイギリスの魅力
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「イギリスはおいしい」の続編? と思ったのですが、テイストはまったく違います。前のように、おいしいもののレシピが紹介してあるわけでもなく、日英の文化について論じているわけでもありません。リンボウ先生が、イギリスの、そこらへんの自然、そこらへんの民家、そこらへんの妙なもの、を、ぱちりぱちりと写真に撮り、こういうなんでもないものがおもしろいんだよ、と紹介してくれる本です。リンボウ先生が見つけた、「だれにも教えたくない宿」や、その見つけかたが紹介されているので、通なガイドブックとして楽しめます。
殺人者の顔
2001/11/30 10:47
スウェーデン警察小説の傑作
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ふだん、英米のミステリばかり読んでいるので、いかにもスウェーデンらしい描写が出てくると、不思議な感じがします。マット・スカダーのシリーズが好きな人にあいそうです。
訳者あとがきもすばらしくて、あとがきだけでも読む価値がありました。訳者のかたはスウェーデンにも住んでらっしゃるようで、その土地、国のことをよく知っているかたらしい、わかりやすい訳註がつけられています。翻訳もとても読みやすくて、おすすめの一冊です。
堪忍箱
2001/11/25 10:42
テーマは「秘密」
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宮部みゆきさんの時代物は、市井の人々の暮らしをいきいきと描く、魅力的な作品ばかりですが、特に切れ味がいいのは短編だと思います。この短編集では、さまざまな庶民の暮らしを、うまく切り取ってみせてくれていますが、一貫するテーマは、人それぞれが心にしまっている秘密、です。テーマが地味なだけに、いつものような派手な事件がおきるわけではありませんが、それだけに作者の力量が問われる、渋い物語といえます。何度でも読み返したい、そんな1冊です。
古書店めぐりは夫婦で
2001/11/11 10:59
古書蒐集家のできあがり
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ちょっとしたきっかけで古書収集道にはいってしまった夫婦。最初のうちは、古書店にはいるのもおっかなびっくりだったのに、だんだん「相場」などもわかるようになって、気がつくといつのまにかりっぱな古書蒐集家の仲間入りをしているのでした。なるほど、病人はこうやって増えていくのね。自分を見ているようで、なんだかおかしいです。それにしても、夫婦そろっての趣味なので、多少(いや、かなり)お金がかかろうと、家の中が本に埋もれようと、気兼ねすることがないのがうらやましい。家族に隠れて古書を集めているわたしには考えられないほど理想的な環境なのでした。
奇術探偵曾我佳城全集
2002/07/29 13:36
豪華なプレゼント
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ずっしりと重たいこの本は、内容もさることながら、作りが豪華で贅沢です。
ページをめくるのが、まるでプレゼントの包み紙をあけるようで、わくわくします。それだけでも嬉しいです。
さて、中身ですが、ものすごくびっくり、という感じの超本格推理、というわけではありません。
が、奇術を見せられているようで、子どものころにルパンなどを読んでどきどきした感じがよみがえります。
まだ、ミステリー読みとしてすれていなかった、無邪気に怪盗ものを楽しんでいた日々を思い出すのに、最適です。
じてん・英米のキャラクター
2002/07/27 18:19
海外の作品を読むよい足掛かりに
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たとえば日本で「桔梗屋さん」といえば、誰でも「ああ、あの一休さんに出てくる」と、すぐに頭に浮かぶけれど、外国の人にはなかなかわからない、という、テレビや漫画や物語のキャラクターがあるように、外国では常識だけれども日本人にはわかりにくい、というキャラクターについて、徹底的に網羅した辞典です。
こんな辞書が一冊あると、翻訳ばかりでなく、海外作品を読む時に、とても重宝します。
説明がかなり詳しいので、ちょっとした雑学事典としてもすぐれものです。読み物としても楽しいので、プレゼントにも!
イタリア讃歌 手作り熟年の旅
2002/07/26 21:23
あらゆる年代の人の手作り旅行に
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熟年の旅、というサブタイトルがついているので、これは年寄り向けの本かな、と思ったのですが、実際に読んでみると、自分で一から十まで、つまりホテルの予約から、列車の切符を予約したり、買ったりするところまで、すべて自分でやるためのハウツー本であることがわかりました。
そして、定年後に誰でもできるフリーの海外旅行、というのがコンセプトなので、それこそ子供にでもできるような、最低限のコツを教えてくれています。
イタリア、とありますが、イタリア旅行の日記を例にあげているだけなので、行き先がイタリアでなくても、手作り旅行を計画している人には、とてもお役立ちな本です。
日本語使いさばき辞典 時に応じ場合に即し 大活字版
2002/07/26 21:18
とても役にたつ類語辞典
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類語辞典も、最近は数がふえてきて、いろいろ出ていますが、これはそれらのうちでも、かなりユニークなものです。
あつかっている語の数は、それほど多くありませんが、ほかの類語辞典にはのっていない語が、かなりたくさんあります。
たいていの類語辞典は、ありとあらゆる日本語の単語の類語を集めていますが、これは、たとえば「雨」「年」「親類」など、日本語のなかでも語彙の豊富なものについて、重点的に類語をあげています。
読み物としても楽しく、プロ、アマとわずに、持っていて損のない辞書です。