ゆきはじめさんのレビュー一覧
投稿者:ゆきはじめ
人生は勉強より「世渡り力」だ! 腕〈スキル〉を生かす人づきあいの極意
2008/07/22 15:59
複雑な気持ち
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
世渡り力の指南書と思いきや、世界的町工場の大将のエピソード集という印象です。
プレス・金型製造業を営む著者の体験談が、同業者に埋もれず大企業と対等に取引するためどうして来たかという観点で、取材に答えるように威勢よく書かれています。
本文中にも「どんな本を読んだって、世渡りの役になんか立ちゃしない」とあるくらいですから、論理的に整理された極意を授かることは期待しない方が良いと思いますが、「痛くない注射針」、「土光さんのメザシ」などの裏話には興味を引かれました。自社開発を思わせるCM、粗食を思わせる逸話の実態が予想に反していたことは驚きで、「世渡り力」に欠かせない「情報力」の心もとなさを考えるにつけ、「世渡り力」そのものの必要性を考えるにつけ複雑な気持ちになります。
これがワシらのプロ野球
2008/08/03 21:29
がんばれプロ野球
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
新刊ということで、今風の「がんばれ○○くん」を期待しましたが、中身は1985年のタブチくんでした。
当時の優勝球団が今年もプロ野球セリーグのペナントレースを独走していますが、マンガに描かれてますます面白味の増す選手が多かった頃と比べて、最近は個性の強い選手が少ないように感じます。それが新しいタブチくんを生まない要因なのかどうか、どちらにしても寂しく思います。
球界にとっても読者にとってもNEWタブチくんの誕生が期待されますね。
怒らない技術 1
2010/08/22 11:15
読む行為そのものに効能があった
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
技術の伝授というよりは効能の力説という印象が強く、怒らないことで得をする理屈が解説されています。怒りを静めるための即効的な対処法は最終章に「特効薬」として紹介されています。
読む気持になったのは自覚があったからでしょうが、取り立てて画期的なことが書いてあるようでもなく、特に後半部分の予防するための習慣については焦点がやや広がっているように感じました。
とは言え、帰りの通勤電車でこの本を開いている時には、隣に座っている男性がずっと携帯を触っていても、傘が足の上に倒れてきても気になりませんでしたし、降りる通路がなかなか空かなくても全く平常心で居られました。
こういう本を読む行為そのものに効能があったのかも知れません。
下流志向 学ばない子どもたち働かない若者たち
2010/08/09 09:31
スーパーモラトリアム人間の勘違い
13人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
社会構造的問題、特に高度な格差の影響が子どもたち若者たちの世代に、文字どおり意思としての「下流志向」という形で現れている、という現状認識と問題提起がされています。
30年ほど前の高度成長時代に現われた「モラトリアム」人間は、社会に対して責任ある言動を取る自信が無いため少し猶予が欲しい、という従属関係を求める存在だったと思いますが、この「下流志向」人間は、自分にとって責任を果たしてくれそうにない社会は無視する、という独立関係を決め込む存在のようです。
若い人たちに、「下流」でも「貧困」までは陥らないだろう、「貧困」といっても「飢餓」にはならないだろうという幻想や、勉強しなくても上手くやれば何とか成るだろうと思っている節を感じるのも、一億総中流世代の保護者を持つという社会構造の裏付けがあるからでしょう。
それもこれも高度格差社会に仕組まれた風潮なのかも知れませんが、変化するのは社会の常ですから、「下流志向」のスーパーモラトリアム人間にも新たな構造変化の波が押し寄せることに、早く気が付いて欲しいものです。
となると、保護者や教育機関の側には「気付き」に導く方策が求められるでしょうか。
若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
2006/12/13 22:58
給料か、人間関係か、やり甲斐か
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
前書きから、著者が30代前半であることをいきなり意識させられ、読み終わるまでそれは続きました。分野的にも表紙からしても、中高年の目で見た最近の若者観が述べられているものと予想していましたが、実は青年によるものだと知って、今度は若者の言い分だったのかと考え直しました。ところが、どちらも思い違いだったようです。
本文では、若者側からの問題提起というよりは企業側の自己分析という雰囲気ながら、年功序列と成果主義が会社組織で実際にどう利用されているかを20代の若者向けに解説しています。そこには、高度成長時代の安定という幻影に惑わされず、若者には進むべき道を切り開いて行って欲しいというメッセージが込められていました。
書名は中高年の気に留まるものですが、内容は将来を考える若者向けだと思います。
千円札は拾うな。
2006/11/12 18:25
千円札は本当に拾っちゃいけない?
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
大型ショッピングセンターのカフェで家内の話に相槌をうちながら30分程、CDを録音しながら1時間30分程、合わせて2時間程のながら読書で読みきりました。2時間で読めてしまうものを1260円支払って購入するのは勿体ないと思う人も多いでしょうが、もっと短い時間で用が済むならば、もっと高額を支払ってもよいという考え方があることをこの本では言っています。
もちろん、価値の対象としても時間、空間、文化、物質といろいろあって初めからどれが重要ということではありませんし、時と場合にもよるのですが、要は、その物の対外的経済価値(ハード)よりも自分自身に与える内面的付加価値(ソフト)を大切にした方がいいですよということですね。これは、とりたてた根拠のない常識や相場にとらわれずに、本質を冷静に見極めて的確に判断し思い切って実行しようということでもあります。
読み終えると、特に気に留まる「人生の中で最も大きく成長できる二十代のときに自分の価値を高めることにお金を使う。」、「変化の時代には変化できる企業、安定の時代には安定的な企業を目指す。」、「資金を生かして人材力、ブランド力を高める。」などから、表題の「千円札は拾うな。」の意味は「目先の小さなことよりも、少し先のより大きなことを意識して行動するべきだ。」につながることがわかります。
果たしてこの本が価値のあるものかどうか、試してみるのも面白いと思います。
イチローの流儀
2009/06/02 21:32
流儀を尊重させる凄さ
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
オリックス時代からイチロー番をしている記者が間近で見てきた姿を綴っています。フリーのジャーナリストではなく通信社に所属している人だからか、比較的に客観的で、小説っぽくも語録っぽくもなくて日記風の柔らかな記録という文体に好感をもちます。また、文庫化にあたって、挿入されているデータは最新のものに見直されており、イチローの流儀を尊重しているようにも思えます。
プロとして良い結果を生み出すためにそこまでやるかという「周到」な準備、鍛え上げた能力を本番で発揮するための「無心」を導く工夫など、細心の考えを大胆に実行しているイチローの流儀は日常の報道からも少なからず予想できることでしたが、話の主人公として間接的に関わっている本の編集にまで及ぼす影響力の大きさに改めて凄さを感じました。
環境問題はなぜウソがまかり通るのか 2
2008/08/04 17:24
そんなこんなを考えさせられる
7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
まえがきに依れば同名前著の続編ということだそうですが、内容は前著の解説、補足、あとがきに相当するものだと思います。
税金をつぎ込むような対策(投資)は結果的に地球環境改善(節約)になっていないとか、環境という大義が個人的利益誘導のために都合良く利用されているとか、日常的な経営戦略における故意の本末転倒が同じように環境対策の場にも持ち込まれているとすれば本来の目的達成には程遠いですね。場合によっては、環境という言葉が自然(地球)環境保護から生活(人工・快適)環境保持に入れ替わっていることもありそうです。
CO2排出権の売り買いが当たり前のように扱われること自体、環境対策が経済活動の一部に過ぎないことの裏付けだとも言えますが、そんなこんなを考えさせられる一冊です。
ドアラのひみつ かくさしゃかいにまけないよ
2008/03/03 22:10
ドアラもメジャーへ
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「コメント付きのマンガ風写真集」とでも言うのでしょうか。
副題の「かくさしゃかいにまけないよ」も、それほど深い意味は無いようで、球団に新しいキャラクターが生まれた時にマスコットとしての存在が危ぶまれたという経緯はあるようですが、書かれているコメントにメッセージ性は感じません。ドラファンを飛び越えた、ドアラファンのコレクショングッズという気がしますが、こういう本が出ることそのものが面白いですね。
ドアラも独り立ちしてメジャーへ行くのでしょうか。
生きて死ぬ私
2007/06/23 22:47
或る脳科学者の研究前文
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
TVのバラエティー番組でお馴染みになった人物による、シリアスな書名に興味を惹かれて読んでみました。今をときめく脳科学者が、私のような一般人の間で有名になる前に書いたものを、画面を通した著者の姿を先入観にしながら、彼の頭の中を覗いてみたいと思ったのかも知れません。
読んでみると研究論文の前文を私小説的に、且つ科学者らしく淡々と綴っているように感じました。始まりは回想を主体として具体的に、進むにつれて段々と抽象的、観念的な記述が増えてゆきます。昼間に読むには深すぎて、また、まとまった時間も取れず、読み始めの勢いで3分の1を一気に読んだ後は、毎晩、眠りにつく前に少しずつ気の向くまま、読み終えるまでに2週間かかりました。その間、この世の客観を再認識させられて怖くなる瞬間もありましたが、本を閉じた後は概ね寝つきが良く、すっきりと睡眠をとることができたのは不思議です。
脳科学者はそれを解明しようとしている訳ですね。
良心をもたない人たち 25人に1人という恐怖
2006/09/17 21:46
この書名からどんな人たちが連想されるでしょう?
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
この書名からどんな人たちが連想されるでしょう?
サイコパス。
ヒットラーは「小さな嘘はバレるが、大きな嘘はバレない。」と言ったそうですが、あまりにも常識外れの言動には、それを聞いた人や見た人がまさかと思い、まともに信じなかったり、冗談だと勝手に思ってしまったり、
それによってサイコパスに都合のいい状況が続いてゆきます。
「サイコパス」は誰にも悟られずに嘘をつき、ライバルを陥れ、わがままを公共性にすり替え、自分に都合のよい状況を作り上げてゆく。
利害関係にある者にとっては悪の権化となる、と言うと大袈裟に聞こえるでしょうが、多い国では25人に1人がサイコパスだそうです。
一見、愛想のいい人が実はサイコパスだったとしたら・・・。
さて、サイコパスとは何者でしょう?25人中24人の人に読んで欲しい本ですが、例示の部分が少し読みにくく感じたため評価を星4つにさせていただきました。
周りにサイコパスが居ないことを祈ります。
質問力 話し上手はここがちがう
2009/04/04 18:54
センスを補うテクニック
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
主に一対一の対話における質問のテクニックが、いろいろな対談から集められた言葉をお手本として解説されています。
相手にきちんとした質問ができるということは、話の要点がわかって更に掘り下げよう広げようとしていたり、わからない部分がはっきりしているといったことでもありますね。
中にはセンスと呼ばれる感覚で絶妙な質問を投げかける人も居るようで、それは才能としか言いようがないにしても、やはり知識という情報量が豊富にあってこその成せる業だと思います。
センスを補うためには下調べやその場の雰囲気作りと、普段から知識の蓄えや要点を把握する力を養うことが大切ですね。
マンガ日本の歴史がわかる本 〈古代〜南北朝時代〉篇
2009/03/22 22:40
大雑把な粗筋を知る
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
学校で習った歴史は断片的な文字情報が殆んどで、状況を具体的に想像することもできず、覚える意欲が湧かないまま苦手意識と拒否反応で固まってしまいましたが、マンガで読むと視覚情報が記憶を鮮明かつ印象的にしてくれるようです。
この本には、大陸の文化が入ってきた紀元前3世紀頃の弥生時代初期から20世紀終盤の現代までが、時の権力の移り変わりを柱として全3冊、合計750頁にまとめられていますので、大雑把ながらも日本の歴史のあらすじを知ることができます。
苦痛な暗記物の1科目になってしまう前に気楽に読んでいれば、歴史嫌いにもならず、古き文化や史跡を訪ねた時にもっと感動できただろうと思います。
上地雄輔物語
2008/08/20 13:56
気ままな絵日記
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ギネス認定世界一ブログ「神児遊助」を読んでいる家族に尋ねると、これまでのブログを拾いまとめた内容のようだと言いますが、それを読んだことのない私には気ままな絵(写真)日記のように映ります。思い付くまま気ままに綴られた日記に筋書きはありませんが「この僕も頑張っていますから、皆さんも。」というメッセージがあふれていることには一貫性を感じます。
おじいさんは南の島出身だったのかとか、本を書くきっかけは多分これだろうなとこちらが感心することも他愛なく気ままですが、ブログを読んだことのない人もこれで少し世界一を味わうことができそうですね。
使う!「論語」 “小さな自分”から今すぐ抜け出す
2007/12/31 11:59
ちょっと「論語」
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
高校の教科書で読んだはずの論語を、何となく読み直してみたいと思っていましたが、漢文だけに読みがわからず、とっつき難いので、まず読み方がわかる本がないかと捜していたところ、日本語読みに振り仮名付きで、著者のエピソードが絡んだこの本を見つけました。
論語としては量的に少し物足らない気はしますが、試しにちょっと読んでみようかという人には丁度よいくらいかも知れません。
まえがきに「翻訳したつもりも解説したつもりもなく、読むままに自分が感じたことを書いてきました。」とあるように、世に知れた外食チェーンの総帥が、愛読書である論語から何を教えられたかを主観的解釈のまま綴っています。
流石に日常への適用の仕方は経営者的で、ちょっとそこまでの考え方にはついていけないと感じる部分もありますが、飽きずに読み切ることができると思います。