White Mountaineering の相澤陽介がレーシングカーとレーシングスーツをデザイン
レクサス、トヨタ、フェラーリを総柄テキスタイル感覚でアップデート。デザイナー本人にミニインタビューも敢行
![相澤陽介がレーシングカーとレーシングスーツをデザイン White Mountaineering yousuke aizawa ferrari toyota lexus](https://image-cdn.hypb.st/https%3A%2F%2Fjp.hypebeast.com%2Ffiles%2F2024%2F06%2F19%2Fwhitemountaineering-k-tunesracing-cardesign-yosukeaizawa-00.jpg?cbr=1&q=90)
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GT3カーレースであるFanatec GT World Challenge Asia Powered by AWS Japan Cupに参戦するレーシングチーム『K-tunes Racing』の車両&レーシングスーツのデザインを、〈White Mountaineering(ホワイトマウンテニアリング)〉を手がける相澤陽介が引き受け、この度、そのレーシングマシンが完成した。
相澤がデザインしたレーシングマシンは3台。2023年から『K-tunes Racing』がレース車両としている「LEXUS(レクサス)」RC F GT3と、「TOYOTA(トヨタ)」GR supra GT4、そして2024年から新たに追加された「Ferrari(フェラーリ)」296 GT3の3台だ。この3台は、Fanatec GT World Challenge Asia Powered by AWS Japan Cupの全4戦を走る。
RC F GT3とGR supra GT4は、モノトーンのデザインがベース。〈White Mountaineering〉のアイコンである三角形とK-tunesのKを組み合わせ、メトロポリタンシティダズルカモフラージュという名の迷彩柄に仕上げている。いっぽう296 GT3は、フェラーリらしく赤色がベース。そしてこちらも〈White Mountaineering〉のアイコンである三角形がデザインコードの中心だ。3台とも“海外に誇る新しく日本らしい都市”がデザインコンセプト。
しかし、なぜに相澤は、この『K-tunes Racing』のためにレーシングマシンのデザインをしたのだろう? 『Hypebeast』は、相澤陽介本人にメールインタビューを行った。
Hypebeast:今回、レーシングマシンをデザインしてみようと思ったきっかけは?
私は以前からクルマが好きで、レーシングカー及びレースの世界というものに興味がありました。それは単にスポーツという考えではなく、多くの人が思うロマンやチャレンジなど日常では味わえない感情があると思っているのと、やはりファッションデザイナーの目線からするとレーシングチーム、スーツ、ヘルメットなどプロダクトとして魅力的であり、様々なデザイナーがインスピレーションとして取り入れてきた過去もあり、総合的にこの世界には興味がありました。そう考えているなかで、K-tunes Racingが、既存のデザインではなく新しいアイデンティティをレーシングカーに取り入れたいという依頼があり、実現できました。
クルマのデザインは初でしたでしょうか?
レーシングカーのデザインは今回で3回目になります。1回目は架空のレクサスチーム、2回目はBMWチームです。
幾何学模様が特徴的ですが、どのように考案されたのでしょうか?
まず初めにホワイトマウンテニアリングで得意とする総柄テキスタイルを用いディレクションしたいと考えました。そのなかで代表的な幾何学模様の図案があり、K-tunes RacingのKの文字で構成しました。Kの文字は分解していくと三角形の集まりとなるので、ホワイトマウンテニアリングで長く使用してきた三角形のアイコンと合致することがわかります。それを様々な角度で組み合わせ戦艦などに使われるダズル迷彩のような柄を作成しました。K-tunes Racingからの依頼に「都市をモチーフに」ということもあったので、ダズル迷彩がビルのようなイメージにもなりダブルミーニングの意味も込めています。
洋服をデザインするとのアプローチの違いを教えてください
私はファッションデザイナーとして長年活動しておりますが、自分が尊敬するデザイナーにレイモンド・ローウィーがいます。彼の自叙伝に「口紅から機関車まで」というのがあり、彼を一言で表すフレーズです。デザインというベーシックの技術や経験を使い様々な可能性を広げていくという考え方は私の指針にもなっています。当然、衣服と重工業としての車では、過程や工程、結果が異なりますが、より良い物、面白いものを作り出すという姿勢は共通しています。
もちろん、レースにおける安全面やファンクションはエンジニアにゆだねられる物が大きくあり、今回もそれを踏まえてデザインを行い、プロダクションとしてはK-tunes Racingのエンジニアと一緒に行っています。これは過去に私がディレクションした「NOT A HOTEL」での仕事のスタイルと同様です。建築家と開発業者と連携して一つのものを生み出すスタイルです。そういった面でファッションは小さな規模で自分の考えを詰め込めるのに対して、今回のようなプロジェクトは、デザイナーのエゴだけでは成立しないという面で大きな違いがあると言えます。
相澤さんは自動車レースはされるのでしょうか?
いつかチャレンジしたいと思っています。
ありがとうございました!
相澤陽介
1977年10月25日生まれ。多摩美術大学デザイン科染織デザイン専攻を卒業後、2006年に〈White Mountaineering〉をスタート。これまでに〈Moncler W〉、〈BURTON THIRTEEN〉、〈LARDINI BY YOSUKEAIZAWA〉など様々なブランドのデザインを手掛ける。現在では、イタリアブランドの〈COLMAR〉にてデザイナーを務めるほか、サッカーJリーグ北海道コンサドーレ札幌の取締役兼ディレクターにも就任。その他、多摩美術⼤学、東北芸術⼯科⼤学の客員教授も務める。