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気候危機が続く中、甚大な洪水で西・中央アフリカの食料危機が深刻化

国連WFPは、洪水被害を受けたコミュニティを支援し、政府と共により長期的な強靭性を高めるための活動をしています。
, Djaounsede Madjiangar

本記事は、2022年11月6日から18日にエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されるCOP27サミットを前に執筆された記事です

サリー・セインは夜中に目を覚ますと、家中が水浸しで、彼女の荷物が住宅の周りに浮いていました。ガンビアの首都バンジュールの南に位置するタウウートで豪雨が降ったためです。

A woman wades through her flooded home outside The Gambia's capital, Banjul. Photo: WFP/Mamadou Jallow
ガンビアの首都バンジュール郊外で水浸しになった家をかき分けながら歩く女性 Photo: WFP/Mamadou Jallow

「7月に大雨が降り始めたから、毎日このような状態です」とサリーは言います。ある日の朝、小さなバケツでリビングの水を必死に外に出そうとしながら、「全部が濡れ、全て失われました。私も夫も本当に大変です。」

7児の母親であるサリーは、この数十年で最悪の洪水により、財産を失った何千人ものガンビア人の一人です。そしてこの大洪水はそれだけで終わりませんでした。

数週間にわたる豪雨と洪水は、西・中央アフリカの19ヶ国、500万人に影響を及ぼし、数百人が死亡、数万人が避難を余儀なくされ、広範囲に及ぶ農地が破壊されました。この地域の多くの場所では、10月にかけて例年以上の降雨が予測されています。

これに対し、国連WFPは各国政府と協力し、洪水の被害にあったコミュニティを支援しています。穀物輸出国であるウクライナでの戦争により、食料、肥料、燃料の価格が高騰し、基本的な食事に手が届かなくなっています。食料配布と現金支給を通じた国連WFPの緊急支援は、広範囲で経済が低迷する中、弱い立場の家庭を支え続けます。

 

Heavy rains batter the Central African country of Chad. Photo: WFP/Evelyn Fey
中央アフリカのチャドを襲う豪雨。 Photo: WFP/Evelyn Fey

国連WFPは、より長期的な視点に立ち、気候変動によって今後ますます深刻・頻発化することが予測される将来の洪水や他の気象災害から、コミュニティと政府がより良い対策と回復が出来るよう、活動を拡大しています。

国連WFPのクリス・ニコイ西・中央アフリカ地域局長は、「気候変動の危険性を予測し、劣化した生態系を回復させ、脆弱なコミュニティを異常気象から守るためには、強靭性を高め、気候変動への対応を促進することが何よりも急務です」と述べています。

 

深刻化する飢餓

サリーの家では、洪水によってベッドや食料品、衣服が破壊されました。16歳の娘マリアムは、9月下旬に始まった新学年を前に、教科書をすべて失ってしまいました。

「とても悲しいです。紙の教材をもとに戻してほしいです」とマリアムは言います。「前使っていたノート無しでどうすればいいの。」

"We are suffering a lot," says Amboya, who receives WFP food assistance after Chad's floods. Photo: WFP/Amadou Baraze
チャドの洪水の後、国連WFPの食料支援を受け取っているアンボヤは、「とてもつらい状況です」と語ります。Photo: WFP/Amadou Baraze

この洪水は、過去10年間で西・中央アフリカにおける最悪の飢餓の危機をより悲惨なものにしました。様々な要因が重なり、6月から8月にかけての不作期には、4300万人の人びとが緊急・危機的レベルの食料不足に直面しました。

豪雨により町の一部が水没したチャドの首都ウンジャメナの郊外に住む、アンボヤは未亡人で6児の母です。「とてもつらい状況です」と話します。「家は崩壊し、子どもたちは飢えています。洪水ですべてが破壊されたために、食料を手に入れることが大変です。」

さらに北西にあるチャド湖地域の農家マハマト・カリーは、洪水で水没したトウモロコシ畑を指さします。

「とても悲しい。どうしたらいいかわかりません」と彼は言います。「収穫は壊滅的です。本来であれば食べ物を育ててくれるはずの雨が、今や問題になっているのです。」

ウクライナでの戦争以降、食料、燃料、肥料の価格高騰が、飢餓をより深刻なものにし、社会経済的緊張を高めています。債務負担が政府の対応能力を妨げていることが、最近の専門調査により明らかになっています。

 

Mahamat Kary's field of maize was destroyed by floodwaters. Photo: WFP/Evelyn Fey
洪水で破壊されたチャド湖の農家マハマト・カリーのトウモロコシ畑。 Photo: WFP/Evelyn Fey



例えばモーリタニアでは、小麦はここ5年の平均価格より49%値上がりし、シエラレオネでは輸入米の価格が87%上昇しました。ブルキナファソでは、主食のソルガムの値段が85%上がり、長引く紛争がさらなる課題となっています。

「私たちはともに、対応する必要があります。紛争で避難している人びとだけではありません。人びとが食料を食べるためだけに、今実質的に3倍のコストがかかっているのです」と国連WFPのブリキナファソ国事務所代表エルヴィラ・プリシニは言います。

気候変動への対応

国連WFPは、気候災害に対するより長期的な解決策を見出すことにも力を入れています。私たちのプログラムは、当局やコミュニティが災害に備えやすくするための情報を提供する、早期警報システムの構築も含んでいます。

A WFP project digging half moons in Niger, which help retain rainwater and fight desertification. Photo: WFP/Evelyn Fey
ニジェールで、雨水を貯え砂漠化の防止に役立つ、半月型を掘る国連WFPのプロジェクト。Photo: WFP/Evelyn Fey

また差し迫った異常気象の影響を回避・軽減をするための資金的な支援も提供しています。例えば、ニジェールで発生した8月の大洪水では、国連WFPは、ラジオやテキストメッセージを通じて、危険な状態にあった20万人に早期警戒メッセージとその他の重要な情報を届けました。

サヘルの乾燥地帯では、劣化した土地や生態系の回復に役立つ農業技術を通じて、気候変動の連鎖的な影響に対する、地域の強靭性を高めることに注力しています。また川底が干上がった後でも果物や野菜を植えることが出来るよう、雨水貯水システムや他の持続可能な水の貯蔵手段を構築することで、コミュニティを支援しています。

また国連WFPは、アフリカの政府やコミュニティが気候災害により良く対応出来るよう、気候保険プログラムを導入しています。

例えば今年、国連WFPは西アフリカの国々、モーリタニア、マリ、ブルキナファソに、アフリカ連合気候保険金の940万米ドルを支給し、2021年の酷い干ばつからコミュニティが回復できるように支援しました。

WFP distributed climate insurance payouts to farmers in Burkina Faso like Karim Sore, following last year's crippling drought. Photo: WFP/Cheick Oumar Bandaogo
国連WFPは、昨年の酷い干ばつで被害を受けたブルキナファソのカリム・ソアのような農家に、気候保険金を支払いました。Photo: WFP/Cheick Oumar Bandaogo



ブルキナファソのサントル・ノードの農家、カリム・ノアにとって、この資金は失われた栽培期間を補うために役立ちました。

「昨年は干ばつの影響で作物が取れませんでした」とカリムは言います。「しかし気候保険金のおかげで、子どもの学費を支払うことができ、家族にとって基本的な必要な物を満たすことが出来ました。」

国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)は、気候の非常事態に取り組むため、重大な行動を実現することを目指します。詳しく見る。

 

国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)は、気候の非常事態に取り組むため、重大な行動を実現することを目指します。詳細はこちら。 

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