時代劇が海外で今、評価されるワケ。『SHOGUN 将軍』がエミー賞18部門受賞の快挙!
ディズニープラスの「スター」で独占配信中のドラマ『SHOGUN 将軍』がエミー賞で18部門を受賞し、エンタメ業界を席巻している。日本語が中心の作品にもかかわらずヒットした理由は? また、日本でも多くのファンを魅了した要因は?
今回のエミー賞について『DayDay.』(日本テレビ系)に出演するなどテレビでも活躍しているよしひろまさみちさんに寄稿してもらいました(以下、よしひろさんの寄稿)。
アメリカのテレビ界で最高峰の賞といわれるプライムタイム・エミー賞(以下、エミー賞)で最多ノミネート、そしてドラマシリーズ部門の作品賞などの主要賞をはじめ、合計18部門を受賞して話題となった『SHOGUN 将軍』(ディズニープラスの「スター」で独占配信中)。
これがどれほどの快挙だったかは、あらゆるメディアの既報のとおりだ。「約7割が日本語セリフという非英語のドラマ」「ハリウッド映画での知名度はあるとはいえドラマ業界ではそこまでではない真田広之が主演・プロデュース」「戦国時代の日本を舞台にしながら“サムライ・ゲイシャ・ニンジャ”のステレオタイプではないキャラクター」……。
もろもろの逆風を乗り越え、それこそ真田の受賞コメントにもあったとおり「日本の時代劇が海をわたり国境を超えた」瞬間だった。では、なにがそこまで評価されたのか、私なりに少し解説したい。
まず、最初に挙げたいのは知名度の強さなどの作品の持つ力だ。ジェームズ・クラベルによるベストセラー『将軍』は、1980年にアメリカの放送局ABCによってドラマ化され、そのときもエミー賞を獲得している。
要は“既存IP”の活用。これはハリウッドに限らず、近年、各国の映像業界では当たり前となりつつある。オリジナルの脚本をもとにした作品の制作はハイリスクとされ、なかなかゴーサインが出ない。そのせいで、昔ヒットした作品のリメイクやスピンオフの企画が通りやすくなっているのだ。
往年の名作ドラマ、ベストセラーの原作がある本作は、認知度の点では完璧にクリアしている。制作したアメリカのケーブルテレビ局FXは、近年イケイケどんどんの局としても知られている。最近では、SFホラーの名画『エイリアン』のドラマ化にも着手している。
とはいえ、難しいのは言語の壁。これまで特にアメリカでは、非英語の映像作品につきものの「字幕」や「吹き替え」に対するアレルギーが強いとされてきた。
だが、それもコロナ・パンデミックによって一気に普及した映像配信サービスでの全世界同時配信作品が増えたこと、その前後にアカデミー賞(2020年)を獲得した映画『パラサイト 半地下の家族』やエミー賞(2022年)を獲得した『イカゲーム』の成功によって、言語の壁、字幕のハードルは一気にズルっと下がった。そういった視聴環境ができていたことも、『SHOGUN~』の成功につながったといえるだろう。
ともあれ、高評価の理由は作品が幅広い世代にリーチしたからにほかならない。エミー賞は業界人によって選ばれる賞だが、視聴者の圧倒的支持と話題性がなければノミネートは叶わなかっただろう。
さまざまな逆風を乗り越えて、時代劇がアメリカのテレビ界を席巻!
エミー賞18部門受賞の話題作『SHOGUN 将軍』はなぜヒット?
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