文殊院・黄金色に染まる場所

地下鉄に乗り、文殊院駅で下車すると、駅を出てすぐに文殊坊の牌坊が見えます。文殊坊はこの歴史文化街区の名称で、その名前の由来はここにある文殊院です。 天王殿の向かいには照壁があり、黄色い壁面の両側には赤い宮壁があります。照壁の前にある数本のイチョウの木は黄金色に染まり、空は少し曇っていますが、ここはとても温かな雰囲気に包まれています。 天王殿に入ると、向かいに三大士殿（観音殿とも呼ばれる）があります。清の康熙年間に建てられたこの殿内には、慈悲・智慧・行願を象徴する観音・文殊・普賢の三大士像が祀られています。殿内の両側には文昌と関聖帝君が祀られており、同治年間に設置されました。仏教と道教が同じ殿内に共存するのは珍しいことです。 左右には鐘楼と鼓楼があり、それぞれ「金鐘」と「法鼓」の額が掛けられており、これもまた独特です。院内には2本のイチョウの木があり、落ちたイチョウの葉が地面一面に広がり、多くの観光客がここで足を止めて美しい瞬間を写真に収めています。 三大士殿の後ろには大雄宝殿があり、門楣の上には「南無釈迦牟尼仏」の額が掛けられています。文殊院は隋の大業年間に建立され、当初は信相と呼ばれていましたが、明末の戦火で焼失し、清の康熙36年（1697年）に再建されました。夜になると空中に火光が見えることがあり、その跡をたどると慈笃和尚の修行の場所に行き着いたため、これは文殊菩薩の化身だと考えられ、文殊院と改名されました。慈笃和尚は文殊院の開山祖師です。 大雄宝殿の後ろには説法堂があり、清の康熙年間に建てられました。殿内には康熙帝の「空林」と「臨米芾『海月』詩」の石碑が各1枚ずつ保管されています。皇帝から賜ったこの額のおかげで、文殊院は宝林堂とも呼ばれています。 寺院の最後には蔵経楼があり、東側にはさらに円通殿や玉仏殿などを含む大殿建築群があり、これらは後に増築されたものです。寺院は文殊院と呼ばれていますが、文殊殿は見当たらず、多くの観光客がこの点に疑問を感じています。 この遺憾を補うため、蔵経楼の後ろに新たに文殊閣が建てられました。文殊閣は3階建てで、1階は空林講堂、2階は空林仏教図書館、3階が文殊殿となっています。文殊閣と文殊院の間には塀があり直接つながっていないため、寺院の東側の小道を回り込んで行く必要があり、見落としやすい場所にあります。 比較的隠れた場所にあるため、ここを訪れる観光客は少なく、静かな環境が保たれています。ここのイチョウの木はさらに大きく、周囲の亭台楼閣と相まって、人々の心を魅了する景色を作り出しています。