シャフハウゼンの「出窓」——千年の歴史を持つ町の独特な印象。

景色を見るよりも話を聞くのが好きで、旅行中は物語を聞くのが好きです。目的地に関する歴史や、旅行先の面白い話を聞くのが好きです。 年初めに世界三大滝を制覇したばかりだったので、今回の旅程に「ライン滝」があると聞いて少し鼻で笑ってしまいました。しかし、「ヨーロッパ最大の滝」と称されるこの滝は、実際にはかなり見応えがありました❸❼。特に、赤い小型ボートに乗って水しぶきを浴びながら激流に挑む観光客の姿は、とても印象的でした❽。 次に訪れたのは、スイス最北端にある、ドイツとスイスの国境にあるライン川の「関節」部分：シャフハウゼン（Schaffhausen）です。このスイスの静かな町は、スイスとドイツの国境にある港町で、ライン滝を起源とする千年の歴史を持つ町です。 「シャフハウゼン」という地名はドイツ語に由来し、「船を家とする」という意味です。1400キロメートルに及ぶライン川の航路で、「ライン滝」の激流のため通行できない場所があり、船運業者は荷物を降ろして保管する場所を探す必要がありました。そこで、上流4キロメートルのところにこの町が生まれたのです。 数キロ先から見える町のシンボル、ムノット城（Munot）❹は16世紀に建てられた城で、連続する階段のある城壁に登ると、独特の視点から広大な景色を一望することができます。ブドウの蔓に覆われた斜面を見下ろすと、よく保存された中世の町並みの間に川の流れる地域があり、そこには美しい壁画や丁寧に装飾された家々があります❿⓫。これらの外観と、古城内部の特別な光❻❾が、独特の魅力的な景観を作り出しています。 町に入ると車は一切なく、観光客たちは通りに面した家々のカラフルな外壁を眺めながら歩いています。私には理由がわかりませんでしたが、ガイドの説明によると、これが町の文化遺産だそうです。 よく見ると、ここの建物はどれも高くありません。しかし、ほとんどの立派な建物の2階部分には窓付きのバルコニーがあります。高さも幅も色も様々で、同じものは一つもありません。これらの窓台は建物の一部というよりも、後から建物に付け加えられたものと言えるでしょう。窓台のデザインは外壁とは異なり、ほとんどが木製で、素材も異なります。建物に比べて大きすぎる窓台もあり、少し乱雑に見えますが、大半は上品で、すべてが逸品です。 ガイドはフロンヴァーク広場で、これを「出窓」と呼んでいます❶❷。「出」と「窓」の意味を聞いて、「なんて的確な表現なんだ！」と感心しました。 「これらの出窓は17世紀以降、『ライン滝』の輸送で財を成した商人たちが、自分の富を誇示するために建てたものです。あなたが大きく建てれば、私はもっと大きく。あなたが美しく建てれば、私はもっと美しく。あなたが豪華に建てれば、私はもっと豪華に。あなたが突き出して建てれば、私はもっと厚く、もっと突き出して建てる。最後には美しい装飾品を壁の外に掛けるまでになりました。そのため、町は車が通れないほどになってしまったのです。 一部の商人は、自分が扱っている商品を出窓の外側に彫刻しました。台の上にさまざまな果物の形の彫刻があるのを見ると、この家族がかつて果物商を営んでいたことがわかります。また、アジアやアフリカと貿易をしていた商人は、出窓にライオンを彫刻しました……⓬⓭⓮⓯⓰⓱⓲⓳」 まるでヨーロッパの近代史における「見栄の張り合い」『富豪列伝』の講談を聞いているようでした。当時、この自慢合戦や嫉妬が剣での決闘のような場面を引き起こしたのではないかと想像しました。しかし、これらの物事は今や宝物のように後世に伝えられています。 現在の旧市街には「エルカー」と呼ばれる出窓が170個残っており、建物の外壁に描かれた「フレスコ画」⓴もいくつかあります。例えば、「騎士の家」の壁にある大きくて精巧な絵画❺などです。 旅行は、直感的な方法で世界の広大さと生活の多様性を垣間見ることができます。 そして、「地球上のある小さな片隅で何もせずに一生を過ごす人は、広い視野と健全で思いやりのある目で万物を見ることはできない」のです。 ——『愚か者の外国旅行記』マーク・トウェイン