唯一の恋愛を語ることができる寺院

普救寺は山西省運城市永济市蒲州古城の東3キロメートルの峨眉塬の頂上に位置しています。普救寺は唐の武則天時代に創建され、元の名前は西永清院で、仏教の十方禅院の一つでした。元代の王実甫が《崔莺莺待月西厢記》で語った「紅娘が月下で紅線を引き、張生が巧みに崔莺莺に会った」恋愛物語は普救寺内で起こりました。殿堂や楼閣、廊下や仏塔は峨眉塬に支えられ、段々と高くなり、雄大で荘厳、すらりとして優雅な感じを与えます。張生が泊まった「西軒」、崔莺莺一家が寄居した「梨花深院」、白馬解围の後に張生が移り住んだ「書斎院」がその間に点在しています。寺の後ろは高低が起伏し、活発な庭園が形成されています。園内には危険な偽山があり、莺の言葉が飛び交う双亭があります。荷花池の上には曲がった小道があり、亭と橋が接続され、湖と山が繋がっています。莺莺の「拜月台」は青松や翠柏、千竿の修竹に隠れています。寺院の中に立つ莺莺塔は、その古朴な形状と壮観さで、またその特異な構造と明らかなエコー効果で世界に知られています。訪問者が塔の側で石を打つと、塔からは「咯哇——」「咯哇——」という蛙の鳴き声が響き、訪問者を驚かせます。この塔は北京の天壇のエコー壁、河南省の宝轮寺塔、重慶の潼南区の大仏寺内の「石琴」と並んで、中国に現存する四大エコー建築物とされています。また、ミャンマーのシャン州の摇头塔、ハンガリーのソルノクの音楽塔、モロッコのマラケシュの香塔、フランスのパリの鐘塔、イタリアのピサの斜塔と並んで、世界の六大奇塔とされています。