【宏村】中国安徽省のノスタルジックな世界遺産村
安徽省南部、黄山の麓に位置する宏村は、風景画の中に迷い込んだかのような味わい深さの残る美しい古村です。その独特な景観と歴史的価値から「中国画里の村」と称されており、2000年にはユネスコの世界文化遺産にも登録されました。ここでは、800年以上の歴史を持つ徽派建築と巧妙な水利システムが素敵にマッチし、訪れる観光客を魅了します。
宏村の最大の特徴は、何といっても村全体が牛の形を模して設計されていること。雷崗山が牛の頭、参天する古木が角、村中を流れる水路が腸、中心部にある月沼(げっしょう)が胃、そして南湖(なんこ)が牛の腹に当たるそうです。このような配置は、防火や生活用水の蓄えを目的とした科学的でもあり芸術的でもある設計でして、中国古代から伝わる風水がしっかりと反映されています。
村を歩くと、まず目に入るのは白壁と灰瓦が織りなす徽派の建築群。これらの建物は明清時代から保存されており、その数は137棟にも及ぶと言います。中でも「承志堂」は圧巻で、「民間故宮」と称されるほど豪華な装飾が施されています。木彫りや石彫り、煉瓦彫刻など細部まで美しく仕上げられたこの建物は、一見の価値ありです。
また、宏村の中心部には「月沼」という半月形の池があり、宏村観光のハイライトともなっています。この池は明代永楽年間に造られ、周囲を囲む古民家とその水面に映る姿が幻想的な風景を作り出しています。朝日や夕日が見える時間帯は特に美しく、多くの画家や写真家が集まって最高の風景を収めようとしていますり一方、南湖では柳が風に揺れ、水面には蓮の花が咲き誇り、静かな時間を過ごせるのも魅力。カフェも多くあるので、歩き疲れたら街並みを見ながらゆったりコーヒータイムにしませんか。
また、宏村では無数に伸びる細い路地も見逃せません。石畳の小道が縦横無尽に伸び、その両側には地元特産のお茶や陶器、小吃(軽食)などを扱う店が並びます。安徽料理として有名な「毛豆腐」や黄山毛峰茶など、この地ならではの味覚も楽しめます。
毛豆腐は揚げ豆腐のようにサクサクした表面と、フワッとした内側の食感が堪りません。
夜になると宏村はさらに別世界へと変貌します。月沼や南湖周辺では灯籠が灯り、水面に映る光景は一層幻想的です。静寂とともに古代中国へタイムスリップしたかのような感覚を味わえるはず。
アクセスも割と便利で、高鉄の黄山北駅からバスで約1時間半ほどで到着します。中国一の霊峰とも呼ばれる黄山観光と組み合わせて訪れる旅行者も多く、その美しさから一度訪れると忘れられない場所となることでしょう。
宏村は自然と人間が共存する理想郷とも言える場所です。その歴史的背景、美しい景観、そして温かい人々との触れ合いを通じて、中国文化への理解を深める素晴らしいチャンスになるはずりこの特別な村で過ごすひとときは、きっと心に残る旅となりますよ。
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