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プロフィール

ルミコ

Author:ルミコ
28年ぶりで東京から地元に戻り、実の両親との二世帯住宅で暮らす子なし主婦。
3歳年下の夫+ワンコ2匹の家族編成で、自宅敷地内の一角で細々とネイルサロンを営んでいます。

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仕事を中断させられるイライラ。

2024.05.25 09:31|未分類
徘徊事件から1週間経った、在宅の金曜日。
私は朝からピリピリである。
昼休みにはGPSを何度か確認して自宅にあることで安堵した。

午後から仕事がびっしり詰まっていて、お客さんとお客さんの間が30分しか空いていない。何かあったら嫌だなと思いながら、仕事をしていると、ちょうど施術が折り返したぐらいの途中も途中で、ドアの外からガラガラと母の家の扉が何度か開いたり閉まったりする音が聞こえ、そのうちに
「ルミちゃん!ルミちゃん!」
と、呼ぶ声が聞こえた。はあ。一番困るやつ。

私はお客さんに「ちょっと申し訳ありません」とお断りして筆を置き、ドアの外に出ていくと、玄関の前で冬のコートを着てスニーカーを履いた母がウロウロしていて、
「私、なんかわかんなくなっちゃったの」
と、言った。
「今日はどこも行かなくていい日だから、家に入ってて!」
と、言うものの、
「幼稚園まで送って行ってくれないかしら?」と言い出した。
「はあ? 私今仕事中なんだけど。どこも行かなくていいって言ってるでしょ! とにかく家に入って!」
もうイライラしていた。
サロンはテレビがついているけれど、おそらく会話は丸聞こえである。母はブツブツと言いながら、上着を脱いだり着たりして、家に入って行ったので、とりあえず仕事に戻った。

「すみません! どこまで塗りましたっけ?」
もうほんとにダメダメである。お客さんが「ここでーす!」と教えてくれたので、仕事を先に進める。
「お母さんですか?」と聞かれ、「はい、そうなんです。金曜日はデイサービスがない日なんで、ウロウロしてしまって、勝手に外に出そうになるんですよ」と正直に話す。
「うちはまだ母親大丈夫かなあ」と言う40代のお客様。親がボケてないってほんとに羨ましい。ボケ始めて3年、ボケてない親子の楽しげな旅行とか、ランチの投稿とか見ると心が沈むもんね。一体どう言う差があって、こんなことになっちゃうって言うんだろう? 長年薬剤師として、みんなの健康を気遣ってきた母が、人より早く脳が壊れた。今でも信じられないし、信じたくない。長い夢であってほしい。

なんとか1人目のお客様を終えて、次の方の準備のためにバタバタしていると、まだ母が扉のあたりで立っていた。
「私、幼稚園に行って来ないといけないから、一人で歩いて行くわ」
と、また怖いことを言うので、「幼稚園って何? なんの用があるの? うちに幼稚園児なんていないし!」と、ど正論をぶつける。
「あの、あの、ほら、あそこよ、○○苑。あそこの電気敷布のコンセントが入りっぱなしになってるかもしれないから、見て来ないと…」
意味不明の会話に付き合っているほど、時間に余裕はなかったので、ついつい怒鳴り気味になる。
「そんなことはしなくていい! ○○苑に電気敷布はないから!」
「あるわよ!」
不毛なやりとりが続く。
「じゃあ、電話して言っておこうかしら?」
「やめて! 何もしなくていいから。とにかく家に入ってて。私、ここで仕事してるの。声かけられると仕事中断しないといけないのよ。わからなくなったらとにかく家から動かないで。外出禁止って書いてあるよね。出かけなきゃいけない時は、必ず迎えの人が来るから、一人で勝手なことしないで!」

言ってることが正しいかどうかはもうわからん。
イライラする。邪魔しないで欲しい。
ああ、先生、早く薬を増量して〜〜!(木曜日に処方箋を出してるので、金曜日朝はこれまで通りで土曜日の分から変更になるのであります)

なんとかギリギリ金曜の午後を乗り切って、どっと疲れた。
夫が帰ってきてそこの話をすると
「でも、ちゃんと聞いてから出かけようとするなら進歩じゃない? ちゃんと勝手に行ったらダメってわかったんじゃないの?」と、言った。
確かにそうだ。母の良いところを見つけられる夫はすごいけど、それって日中離れてる時間があるからだろうな。私だって話を聞くだけならそのぐらいのことを思う余裕もあるかもしれない。
とにかく、薬の増量に期待して、週末で気持ちを切り替えたいところ。

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テーマ:病気と付き合いながらの生活
ジャンル:心と身体

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