さいたま市立小学校6年の男子児童が、4年だった2022年度にいじめを受けて不登校になった体験を卒業文集に書いたところ、学校側から修正を求められていたことがわかった。
児童の保護者は「応じるつもりはない」と反発している。
経過
埼玉新聞2024年12月27日『理解できない…いじめられた男児の卒業文集、学校が修正を要求 「笑顔を大切に生きていきます」と締めくくった文章に学校「特定されるかも」…男児の親「修正しない」』によると、大筋で以下の内容が指摘されている。
児童は卒業文集に掲載予定の作文を書き、2024年12月16日に担任に提出した。
作文では、4年時に暴力や暴言などのいじめ受けた体験を記し、周りの人が支えてくれたこと・これからも笑顔を大切に生きていきたいとする内容だった。
当該いじめ案件は「重大事態」と認定され、第三者委員会での調査をおこなっているという。
しかし2024年12月20日になり、校長から代理人弁護士宛に「文書の中の『四年〇組』の言葉が、個人の特定につながる可能性があると思われるので、一度相談させてほしい」とする内容のメールが送信された。
弁護士を通じて状況を把握した保護者は、加害児童や当時の担任の名前を記載していないことなどをあげ「校長の指摘はあたらない。現時点では修正に応じるつもりはない」とする見解を示している。
雑感
校長の主張は、全くの見当違いでありだというべきものであろう。
これでは、いじめの事実そのものをなかったことにしようとしているのではないか、ないしはいじめ被害を訴えること自体を封じようとしているのではないかとも疑われる。
個人名を挙げているのではなく、当時在籍していたクラスの名前を挙げただけで、いじめ加害児童が不特定多数に特定されるというわけでもない。そもそも、学校の規模にもよるが、当時同じクラスだった児童はある程度加害児童を把握しているのではないかとも思われる。
個人情報保護という観点は当然ではあるが、それを逆手にとって、いじめ加害児童が特定されるような内容でもないことにもそのように主張してしまうことで、被害者の口をふさぐことにつながりかねない。