東京五輪開催予定日まであと僅か4か月と急迫しているのだが、コロナウィルスの収束の見通しが全く立たないため、予定通り五輪が開催されると言い切れる人は皆無であろう。そんな中で、IOCのT・バッハ会長は12日、WHOの「パンデミック」表明を受け、東京オリンピックの開催中止や延期について「我々はWHOの助言に従う」と述べた。また米国のトランプ大統領は、「無観客など想像できない。1年間延期したほうがよいかもしれない」と述べている。
一方で開催国である我が国の五輪組織委員会理事の高橋治之氏が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で今夏の五輪開催が難しくなれば、最も現実的な選択肢は開催を1、2年延期することだと、本音とも思われる見解を示した。ところが老害或いはコロナ無視派とも言われている森喜朗会長が、高橋発言に不快感を露わにし、あくまで予定通りの強行開催を主張している。さらには建前なのか本音なのかは定かでないものの、安倍首相も小池都知事も予定通りの五輪開催発言を繰り返しているようだ。
もちろん予定通りに東京五輪が開催できれば、誰でも嬉しいのは同じであるが、それはあくまでもコロナウィルスが終息し、感染の心配が皆無になっているという条件付きだということは、小学生にでもわかる理屈であろう。だが現状では、神様以外にコロナの終息を確実に予測できる者は、誰一人として存在しないはずである。
さてコロナウィルスの発生源であり、世界最大の感染者数を記録している中国では、かなり沈静化しているようだが、逆に欧米では急速に感染者が増加しはじめている状況である。また季節が逆転する南半球の国々では、今後さらに感染者が増加すると考えるのがノーマルであろう。
日本自体もまだまだ感染者が増加中であるが、もし奇跡的に五輪開催直前に日本でのコロナ終息宣言が実現したとしても、欧米やアフリカ・南米・オーストラリアなどで終息しているとは考えにくい。また無観客にしたところで、1万人以上の選手や関係者などが、選手村という狭い空間に閉じこもることは間違いないのだ。
これではあのクルーズ船と全く同じで、せっかく終息したと思ったコロナウィルスが復活してしまうかもしれないのだ。それに大相撲を観ても分かるように、無観客試合はやるほうも観るほうも全く気分が盛り上がらないだろう。
そんなことを考えれば、高橋治之氏が示した見解通り、今年の東京五輪は1、2年延期するのが一番現実的だと判断できるはずである。もちろん経済的な損失は計り知れないが、無観客開催や中止に比べればずっとましではないだろうか。五輪を目指して切磋琢磨してきた選手たちには大変気の毒だが、場合によっては4年間延期という伝家の宝刀も抜かざるを得ないかもしれない。なによりもイベントよりも人命と世界平和を一番優先しなくてはならないからね・・・。
作:蔵研人
★下記の2つのバナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ! またこのブログ記事が役立った又は面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます