ウクライナ空軍は21日、ロシアが午前中に南部アストラハン州から大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したと発表した。
ウクライナ戦争でロシアがこうした強力な長距離ミサイルを発射したのは初めて。
軍事専門家は、事実であれば、核弾頭を搭載可能なICBMが実戦で使用された初の事例になると指摘した。
ゼレンスキー大統領はビデオ声明で「本日、ロシアの新型ミサイルが発射された。速度、高度など、すべての特徴はICBMのものだ。現在、専門家による調査が行われている」と述べた。
ウクライナ空軍によると、ミサイルはウクライナ中東部のドニプロから700キロメートル余り離れたロシアのアストラハン州から発射された。ミサイルに搭載されていた弾頭の種類やミサイルの種類は明らかにしなかった。核兵器を搭載していたという示唆もなかった。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は記者団の質問に対し、ロシア軍にコメントを求めるよう求めた。
ウクライナのメディア、ウクライナ・プラウダが匿名筋の話として伝えたところによると、ロシアがウクライナ中東部の都市ドニプロ(ドニエプル)に向けて発射したICBMは固体燃料式の「RS-26ルベジ」。
軍備管理協会によると、RS-26の射程は5800キロ。戦略国際問題研究所(CSIS)によると、全長は推定12メートル、重さは推定36トン。800キロの核弾頭を搭載できる。
ウクライナ軍は今週、米国製と英国製の長距離ミサイルでロシア領内を攻撃していた。
ウクライナ空軍によると、ロシア軍は極超音速ミサイル「キンジャル」1発と巡航ミサイル「Kh-101」7発も発射。ウクライナ軍は6発のKh-101を撃墜した。
空軍によると、ロシア軍はドニプロの企業と重要インフラを標的にした。ICBMが何を標的にしていたのかは不明。空軍は被害の有無を明らかにしていないが、ドニエプロペトロフスク州のリサク知事はドニプロの企業1社が被害を受け、火災が発生したと述べた。2人が負傷したという。