朝起き貧乏、寝福の神 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで31年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

「 朝起き貧乏、寝福の神」。

昔は(っていつの話?)大晦日に寝ないで、年神様を迎えれば、当然元日は眠くなってしまうので、寝正月が一般的だったと言う。
 
年神様とは、元旦に、家々に新年の幸せをもたらすために、高い山から降りてくる神様であり、昔の人は祖先の霊が田の神や山の神になり、正月には年神となって、子孫の繁栄を見守ってくれるのだと考えていたと言う。そこで、たくさんの幸せを授かるために、年神様をお迎えしてお祝いする様々な風習や行事が生まれたのだろう。
 
寝正月、といっても、決して「寝」ているわけではなく、家でゆっくり過ごすことを言う。

つまり、元旦の早起きは貧乏のもとで、朝寝坊は幸福のもとである、ということだ。
 
寝正月は確かに理にかなっており、そのため、元旦に人の家を訪問するものではないとも言われていたようだ。
 
考えてみると、子供の頃、お正月というと両親と弟、家族4人で親戚を訪問した思い出がある。(あれは元旦でなかった気がして来た...) 父は、40代になってから車の免許を取ったので、その前の家族での移動は電車とタクシーだったのか?その記憶は曖昧なのだが、川崎の父の叔父の家と大森のこれまた父の叔母の家、そして母の実家があった大井町を回った記憶がある。お年玉を頂いた思い出が蘇る。
 
また、記憶にはないのだが、4歳まで母の実家であった大井町に祖父母たちと同居していたので、正月には、親類一同が集まり、年の近いいとこたち7、8人と一緒に撮った写真が実家のアルバムにある。今や、彼らと会うのも、親類の葬儀の場ばかりになってしまった。
 
ところで、1月の和風月名は、「睦月」
 
正月に親類一同が集まる、睦び(親しくする)の月、と言うのが由来だそうだ。今や正月でも弟一家が母のところに訪れてくることはないようなのだが、母は、甥にお年玉をあげなくて済む、と笑っている。それも寂しいなあ、と思う。盆暮れ正月くらい顔出せよ!と思う。まあ、来たら来たで、お年玉は別としても、なんだかんだ高齢の母が動かなければならず気は使うし、疲れるし、来ないならそれはそれで、気が楽なのかもしれない。母は母で、今やご近所さんは、皆未亡人ばかり。皆同じような状況なので、助け合い、つるんで楽しんでいるようだ。それが1番。
 
再び、話は飛ぶが、2週間弱の冬休み。空手の稽古もしっかり休みで、全てから解放された気でいたが、友人であったF爺の帰天やら、老人ホームにおられるシスターや神父方の訪問、友人たちの来伊などがあり、仕事や空手がなかった分、合流できたわけだが、何かとバタバタした年末であった。
 
そして、年が明け、昨年度の所得・資産証明(ISEE=Indicatore della Situazione Economica Equivalente)を申請する時期が来た。これは、次男の大学の授業料を支払うのに、必要で、コロナ禍以降いまだ大打撃を受けている我が家は、これがあるなしでは、経済的にかなり異なるのだ。
 
昨年次男は、長女のアドバイスを受けながら申請を一人でやったが、エージェントを利用したとはいえ、かなり大変で何度も不足資料を集めたり、意味が分からず、家族で銀行に話を聞きに行ったりすることもあった。
 
一昨年、私の確定申告ではかなり手古摺ったので、会計関係の人を紹介してもらい、昨年彼女にサポートしてもらってなんとか申請した。意外に長年イタリアに住んでいても、税務関係やら国からのボーナス云々、知らないことばかりだと改めて感じた。
 
また、早かれ遅かれ、一昨年払い忘れた税金の罰金が、来るのか?と思うと、ハラハラドキドキ、居ても立っても居られないのだが、彼女曰く、イタリアの法律には抜け道が沢山あるようだ。困った時は、そういった抜け道を沢山知っている知識と経験豊かな税務関係の助けが必要となる。
 
イタリア生活では、病院関係、税務関係は知り合いがいる、いないではかなりストレスも違うとつくづく実感。
 
そして、次男のISEE取得に関し、税務署のホームページから自分のデータを見ていたら、疑問に思うことがいくつも出てきて、彼女に質問攻めしたが、さすがにメッセージや電話だけでは、一人で理解するのは厳しい。「家にいらっしゃい」といわれ、出かけてきて、なんとか理解できた。ついでにISEEのお手伝いもお願いした。
 
申請自体はこれからだが、気がかりだったことから解放され、やっと時間や予定に追われることもなく、ゆっくり気ままに一日を過ごすことが出来た。これぞ寝正月!
 
2週間休みがある!と思っていたが、6日のエピファニア(カトリックの「公現祭」)が終わると始業となり、同時に仕事と空手の稽古も始まる。少なくとも、その日の予定を考えず、朝ゆっくり眠れることが至福の時である。
 
来週以降のことは考えないでおこう。
 
朝起き貧乏、寝福の神。
 
まさに、盆暮れ正月出来ることだな。笑
 
 
今日の一句
寝正月 心の栄養 心の恵み
 
 
 
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