【制作コラム】物語の禁じ手を上手く利用するパティーン
目次
けいしき あわし
コレできると応用してるなぁと思う。
Y.CB
マネできるケースも少ないしな。
物語には禁じ手ってあると思います。
例えると、ファンタジーの物語のオチが夢オチでしたーとか。
他にも推理小説で探偵役が手がかりを偶然見つけちゃうとか、考察系でせっかく作者が用意した伏線や布石をスルーして投げやりで終わるお話とか。
でもそういう物語って意外と世の中にありますよね?
物語の禁じ手って、禁じ手と言われている割には使われがちな手法でもあったりします。
自分は物語の禁じ手は、禁じ手なりの使い方というのがあると思うんですよね。
ほら、カイジに出てくる遠藤さんも「違法も法だよ」みたいに言ってましたし。
個人的に、一つだけ禁じ手を使っているにも関わらず「上手いな~」と思う描写がある作品があるので、今回はそのお話をちょろっと。
まず前提に、上に挙げた禁じ手とは別に自分は「バトルもので戦いのさなかに戦闘者が失った体力や傷を回復することは禁じ手」だと思っています。
だって、強敵ふたりが息を切らしながら戦い、互いに疲弊しきってあと一撃でダウンしてしまう……!
そんなハラハラ展開の最中に急にどちらかの体力が回復して疲弊した相手をボッコボコにするっって?そんなのって興ざめも良いところだと思うんです。
こういうときって大抵は戦いの最中、真の力に覚醒したり、ココまで隠していた秘策を使ったり。そんな感じで形勢逆転するのがスジってものだと思うんです。
でも、戦いのさなかに戦闘者が失った体力や傷を回復したにもかかわらず最高の展開を魅せてくれた作品があるワケです。
それがドラゴンボールZのブウ編ラスト。
ブウは吸収していたもの全てを吐き出し純粋悪になったもののその力は依然健在で、唯一戦える悟空とベジータもボロボロの状態。
そこで最後の手段として地球人全員の元気をもらった元気玉を作り上げ、ブウに投げつけるも悟空の体力は限界。結果、徐々に元気玉が押し戻されてしまう。
しかし、ナメック星のドラゴンボールの願いがまだ1つだけ残っていたことを思い出たベジータ。最後の願いとして悟空の体力をもとに戻してほしいとポルンガにお願いしてその願いが叶う!
そうすて体力を戻した悟空が「サンキュー!!ドラゴンボール!!!」と叫び、超サイヤ人になってトドメをさすという流れ。
ブウ編最終局面ということもあり非常にアツい展開なのでごまかされがち。
ですが、今言った自分の禁じ手「戦闘者が失った体力や傷を回復」をしてるんですよね。
でも、今このシーンを漫画やアニメで見返しても「やっぱ名シーンだなぁ~」と思います。
なら、なにが名シーンたり得ているのか。ぶっちゃけ元気玉という技の設定と、このシーンに持っていくための展開がよ~く上手く出来すぎてるからこそだと思うんですよね。
元気玉ってハッキリ言ってズルいんですわ。
界王様から伝授した最後の切り札。両手を上げることで自然や生きるものからほんの少し元気であるエネルギーを貰うことで、パワーボールのようなものを作り出して相手に投げつける技。
あまりに強力すぎるというお墨付き。それゆえ悟空はこの技をどうしようもなくなったときの最終手段以外ではまず使わない。
特別感満載で、この強力すぎる最終手段を持つということそれ自体が、悟空の「勝つことではなく負けないように戦う」という信念に噛み合いすぎているワケです。
なので戦闘中に体力を回復した事実よりも、最後の最後のとっておきとして元気玉を用いたというインパクトが勝りすぎている。
これが先程言ったシーンを名シーンとしている要因の一つだと思うのです。
そしてもう一つ、このシーンに持っていくための展開が上手かったところ。
そもそも元気玉を用いるという判断をしたのは悟空ではなくベジータ。
今まで悟空が地球の存亡をかけて戦ってきたが、たまには地球のやつらにも責任を持たせなくてはという理由で、地球全員からの元気をもらうという流れになったわけです。
また3つ願いを叶えられるナメック星のドラゴンボールの存在も忘れてはいけません。
1つ目に地球の復活。2つ目にブウに殺された悪人以外の復活を願い、3つ目がまだ残っている。
展開を知らない当時の読者にとっては、3つ目の願いは何に使うのか想像が膨らんだかと思います。
というか狙ってこういう展開をしていると感じていて、フリーザ編でもナメック星のドラゴンボールは2つ願いを叶えたところで大長老様の寿命が尽き、最後の願いが放棄された状態で話が進んでいたので。
この2つが噛み合い、どうなるのか読めない展開とギリギリの展開が続いた結果、最後に出てきたドラゴンボールの最後の願いと悟空の「サンキュー!!ドラゴンボール!!!」という叫び。
相応しいじゃないですか、ブウ編のラストとして。
そんな感じで、ぶっちゃけ見せ方と使い方さえしっかりと準備して展開することができるならば、物語の禁じ手ってあっていいと思うのです。
もちろん用法・用量を守って正しく使っていくこともお忘れなく。
禁じ手で逆に物語を上手く魅せられたら……う~ん、たまんねェ!
けいしき あわし
なお自分は禁じ手を扱う自信はZERO
Y.CB
とどのつまりはどんなシーンも出すべき時に説得力をもって出すべきだってことだ。
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