来る12月20日は、ミシェル・モルガンの没後8周年となります。
(1920年2月29日生誕 - 2016年12月20日死没)
それを記念して、彼女の作品を紹介しています。
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なお、Amazonプライムビデオで無料で視聴可能です。
『霧の波止場』(1938)
監督 マルセル・カルネ
脚本 ジャック・プレヴェール
撮影 オイゲン・シュフタン
共演 ジャン・ギャバン
美術 アレクサンドル・トローネ
【あらすじ】
港町ルアーヴル。
部隊からの脱走兵ジャンは自暴自棄になっていたところをある酒場でミシェルという売れない画家と知り合う。
またジャンは同じく酒場にいた、若く美しい女性ネリーに強く惹かれる。
その二人の姿を目の当たりにしたミシェルはある決断をする。
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弱冠18歳のミシェル・モルガンが、巨匠マルセル・カルネの演出のもと、大スターであるジャン・ギャバンと共演した作品です。
この作品と、次の『曳き舟』により、ミシェル・モルガンはフランス映画界のトップ女優となります。
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ミシェル・モルガンのトレンチコートは、いま観てもクールでエレガントな印象を残します。
エナメルの質感と、スレンダーな痩躯、そして、彼女の澄んだ青色、謎めいた遠い眼差し。
その意味で、カトリーヌ・ドヌーヴに先立つクール・ビューティと言えます。
あるいは、グレタ・ガルボの系譜にあるとも言えましょう。
そして、それは、単に表層的にファッショナブルなのではなく、そこに冷めた感情が漂っているのです。
(その理由は、遠縁の育ての親に虐待されていたからであると後にわかります)
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そして、肌。
驚くべきクローズアップで映されるミシェル・モルガンの肌は、大理石のような、冷ややかで、滑らかな輝きを放っています。
それはまさに、1930年代において、グレタ・ガルボが体現してきた美しさです。
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最後に、瞳。
この映画でジャン・ギャバンが「きれいな瞳だ("T'as de beaux yeux, tu sais")」というセリフを口にすることから、ミシェル・モルガンのトレード・マークは瞳となります。
それにしても、1930年代の女優へのアップは、本当のクローズアップです。
首も見えないほど、キャメラは女優へ寄っているのです。
言うまでもありませんが、それほどまでにアップに耐える女優がいたということです。
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同時に、国民的映画スターの登場でもありました。
その後ミシェル・モルガンは、フランス国内において「最も人気のあるフランス人女優」に10回も選ばれているのです。
そして、1946年には第1回カンヌ映画祭で最優秀主演女優を獲得します。
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なお、美術は、かのアレクサンドル・トローネ。
ルアーブルの町をオープンセットで作り上げています。
スタジオに、線路から石畳の石まで全部敷いてしまっているのです。
スタジオでないと、この華麗な照明は実現できないからです。
※撮影監督は、『メトロポリス』で知られるオイゲン・シュフタンです。
1940年前後の映画界は、ハリウッドのみならず、フランスでも技巧の極みに達しており、
そんな映像表現の恰好の素材が、ミシェル・モルガンやジャン・ギャバンのような名優たちだったのです。
■ミシェル・モルガン (Michèle Morgan)ミシェル・モルガン (Michèle Morgan)
1920年2月29日 - 2016年12月20日
- 15歳で女優になる決心をし、映画のエキストラをしながら、演劇学校で演技を学び、マルク・アルグレの映画『間抜け男』(1937)でメジャー・デビューをする。
- ジャン・ギャバンと共に2つの映画『霧の波止場』(1938)と『曳き舟』(1941)に主演し、スターの座に上った。
- 第2次世界大戦中には渡米し、アメリカ人俳優ウィリアム・マーシャルと結婚、一男を産むが、離婚する。
- 仏では珍しい舞台に立たない映画女優。
- 『田園交響楽』(1946)では第1回カンヌ国際映画祭 女優賞を受賞した。
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