2020東京五輪大会 選手村の概要
選手村(空撮) 提供 TOKYO2020
中央区晴海の東京ドーム3個分に及ぶ広大な都有地、約13万4000ヘクタールの敷地に、14~17階建ての21棟のマンション型の選手村と商業施設が建設される。工事費は約954億円。選手村の居住ゾーンは3街区に分けて、約1万7000人の五輪関係者が宿泊可能な施設となる。各住戸は、東京湾の風景が望めるつくり。周辺環境、海からのスカイラインを考慮し、様々な高さの建物を配置するとしている。
大会終了後は分譲マンションとして販売する計画で、超高層住宅棟2棟を建設し、住宅棟21棟、商業棟1棟に整備して、5650戸のニュータウンに衣替えする。2016年7月、三井レジデンスなど11社で構成する民間事業者グループが開発事業を受注し、2017年1月には着工する。基本的に国や都の財政負担なしに整備する方針だ。日本の気候に応じた伝統的な建築技術と最先端の環境設備と融合した環境負荷の少ない街づくりを体現する1つのモデルとなることを目指す。
選手村の建設は、全額民間資金を活用するとして、建設経費は東京都の五輪開催経費に算入してない。しかし、東京都は選手村用地の盛り土や防潮堤の建設を始め、上下水道や周辺道路の整備に410億円を投入する計画である。大会後は臨海ニュータウンになるので、社会資本整備投資経費とするのは理解できるが、選手村の整備に400億円超の税金が投入される。さらに都有地約13万4000ヘクタールを、周辺価格の約10分の1という「破格の優遇措置」で事業者グループに売却したという疑念が生まれて批判が集まった。
提供 TOKYO2020
選手村は、三井レジデンスなど11社で構成する民間事業者グループが開発した居住エリアの他に、晴海埠頭や晴海客船ターミナル、さらに臨港消防署や民間の倉庫用地も使用して付属施設を整備し、その面積は合計44ヘクタールに達する。
選手村のゾーンは、「居住ゾーン」、「運営ゾーン」、「ビレッジプラザ」の3つのゾーンに分かれている。
「居住ゾーン」には、居住棟はメインダイニングなどがあり、選手が居住するエリア。
「運営ゾーン」には、選手村の運営機能集約したエリア。
「ビレッジプラザ」は、選手の生活を支える施設で、店舗、カフェ、郵便局や宅配便、銀行、メディアセンターなどが設置されるエリア。
居住棟
居住棟は、14~18階建ての21棟、約3800戸で、ベット数はオリンピックで約1万8000、パラリンピックで8000。広さはシングルルームで9平方メートル以上、ツインルームで12平方メートル以上、設置される寝具のベットフレームは段ボール製、100%のリサイクルが可能。
すべてのベッドルームには窓があるので二方向換気が可能になる。
外廊下は、車いす2台がすれ違うことができる幅員がある。
居住棟 提供 TOKYO2020
ツインルーム シンプルな内装 提供 TOKYO2020
車いす2台がすれ違うことができる外廊下 提供 TOKYO2020
メインダイニングホール
メインダイニングホールは、2階建ての仮設施設で、オリンピック時には1階に約900席、2階に約2100席、パラリンピック時には1階に約700席、2階に約1700席。24時間サービスで、1日最大4万5000食を提供する。
料理はビュッフェ方式だが、調理スタッフが1人づつ盛り付けてサービスする。サラダなどもあらかじめ小分けにしたものを選手がピックアップ。
全体に席数を削減して、1席ごとに飛沫防止板で区切ったり、フィジカルディスタンスのためのフットプリントを設置する。
メニューは世界各国の選手団のさまざまな食習慣や文化・宗教に対応した幅広い選択肢の食事を用意、約700種類のメニューを提供する。
それぞれの料理は素材そのものを活かしたプレーンな調理法を基本として、選手が自ら味付けできる多種類の調味料を用意する。
サービスされる料理は、日本料理、ワールド、アジア、ハラール、ベジタリアン、グルテンフリー、ピザ/パスタなど。
メインダイニングルーム
飛沫防止板で区切られた座席 提供 TOKYO2020
メニューのサンプル 提供 TOKYO2020
複合施設
選手村の中心部に位置し、各居住棟からのアクセスが容易。
3階建ての恒久施設で、1回には総合診療所やドーピングコントロールステーション、2階にはカジュアルダイニングやレクリエーションエリア、3階にはフットネスセンターが設置される。
ドーピングコントロールステーションでは、クリーンな競技運営を行うために効率的で精度の高いアンチ・ドーピングプログラムを実施する。アスリートのプライバシーにも配慮して、9部屋のプロセスルームを設置して、尿検体や血液検体を採取する。
24時間対応。
カジュアルダイニングは、オリンピック時には280席、パラリンピック時には250席が設けられ、1日最大3000食が提供される。
複合施設は、大会後、商業施設に改装される。
複合施設 提供 TOKYO2020
仮設医療施設 発熱外来
発熱の症状が出た選手等のための診療・検査施設で、感染症の疑いのある患者に対する診療やPCR検査を実施する。
検体の分析は施設内に設置するブランチラボで行うので、スピーディな検査体制が確保される。検査結果が判明するまでの間の待機場所として隔離スペースを設置する。
一方、濃厚接触者の検査エリアも設け、濃厚接触者の検査を実施する。
陽性者が発生した場合は、感染症対策センターや保健衛生拠点と連携して対応する。
発熱外来エリア 住居棟から離れた場所にプレハブで設置 提供 TOKYO2020
発熱外来診察室 提供 TOKYO2020
選手村ビレッジプラザ
選手村ビレッジプラザは、選手の生活を支える施設として、店舗、カフェ、郵便局、宅配便サービス、銀行などが設置される。
ビレッジプラザは、全国の自治体から無償で提供してもらった木材約4万本を使用して建設した。木のぬくもりを大切にしたデザインで、延床面積5300平方メートル(5棟)の仮設建築物である。大会後は解体されて各自治体に返却して、公共施設などでレガシーとして再利用される。
ビレッジプラザには、NTTドコモが協賛して、「docomo 5G LOUNGE」をオープンし、ソフトドリンクや軽食をサービスするとともに次世代通信、5Gを選手やコーチなどに体験してもらうサービスを展開する。また、Galaxyは、「Galaxyアスリートラウンジ」を設置して5GスマホなどをPRする。Canonはフォトスタジオ、アシックスがドライクリーニング・サービス、ヤマトはクーリエカウンター、日本郵政は郵便局、三井住友銀行が両替や入出金窓口を設置する。
2021年6月21日
Copyright (C) 2021 IMSSR
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廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute(IMSSR)
President
E-mail
thiroya@r03.itscom.net
imssr@a09.itscom.net
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選手村(空撮) 提供 TOKYO2020
中央区晴海の東京ドーム3個分に及ぶ広大な都有地、約13万4000ヘクタールの敷地に、14~17階建ての21棟のマンション型の選手村と商業施設が建設される。工事費は約954億円。選手村の居住ゾーンは3街区に分けて、約1万7000人の五輪関係者が宿泊可能な施設となる。各住戸は、東京湾の風景が望めるつくり。周辺環境、海からのスカイラインを考慮し、様々な高さの建物を配置するとしている。
大会終了後は分譲マンションとして販売する計画で、超高層住宅棟2棟を建設し、住宅棟21棟、商業棟1棟に整備して、5650戸のニュータウンに衣替えする。2016年7月、三井レジデンスなど11社で構成する民間事業者グループが開発事業を受注し、2017年1月には着工する。基本的に国や都の財政負担なしに整備する方針だ。日本の気候に応じた伝統的な建築技術と最先端の環境設備と融合した環境負荷の少ない街づくりを体現する1つのモデルとなることを目指す。
選手村の建設は、全額民間資金を活用するとして、建設経費は東京都の五輪開催経費に算入してない。しかし、東京都は選手村用地の盛り土や防潮堤の建設を始め、上下水道や周辺道路の整備に410億円を投入する計画である。大会後は臨海ニュータウンになるので、社会資本整備投資経費とするのは理解できるが、選手村の整備に400億円超の税金が投入される。さらに都有地約13万4000ヘクタールを、周辺価格の約10分の1という「破格の優遇措置」で事業者グループに売却したという疑念が生まれて批判が集まった。
提供 TOKYO2020
選手村は、三井レジデンスなど11社で構成する民間事業者グループが開発した居住エリアの他に、晴海埠頭や晴海客船ターミナル、さらに臨港消防署や民間の倉庫用地も使用して付属施設を整備し、その面積は合計44ヘクタールに達する。
選手村のゾーンは、「居住ゾーン」、「運営ゾーン」、「ビレッジプラザ」の3つのゾーンに分かれている。
「居住ゾーン」には、居住棟はメインダイニングなどがあり、選手が居住するエリア。
「運営ゾーン」には、選手村の運営機能集約したエリア。
「ビレッジプラザ」は、選手の生活を支える施設で、店舗、カフェ、郵便局や宅配便、銀行、メディアセンターなどが設置されるエリア。
居住棟
居住棟は、14~18階建ての21棟、約3800戸で、ベット数はオリンピックで約1万8000、パラリンピックで8000。広さはシングルルームで9平方メートル以上、ツインルームで12平方メートル以上、設置される寝具のベットフレームは段ボール製、100%のリサイクルが可能。
すべてのベッドルームには窓があるので二方向換気が可能になる。
外廊下は、車いす2台がすれ違うことができる幅員がある。
居住棟 提供 TOKYO2020
ツインルーム シンプルな内装 提供 TOKYO2020
車いす2台がすれ違うことができる外廊下 提供 TOKYO2020
メインダイニングホール
メインダイニングホールは、2階建ての仮設施設で、オリンピック時には1階に約900席、2階に約2100席、パラリンピック時には1階に約700席、2階に約1700席。24時間サービスで、1日最大4万5000食を提供する。
料理はビュッフェ方式だが、調理スタッフが1人づつ盛り付けてサービスする。サラダなどもあらかじめ小分けにしたものを選手がピックアップ。
全体に席数を削減して、1席ごとに飛沫防止板で区切ったり、フィジカルディスタンスのためのフットプリントを設置する。
メニューは世界各国の選手団のさまざまな食習慣や文化・宗教に対応した幅広い選択肢の食事を用意、約700種類のメニューを提供する。
それぞれの料理は素材そのものを活かしたプレーンな調理法を基本として、選手が自ら味付けできる多種類の調味料を用意する。
サービスされる料理は、日本料理、ワールド、アジア、ハラール、ベジタリアン、グルテンフリー、ピザ/パスタなど。
メインダイニングルーム
飛沫防止板で区切られた座席 提供 TOKYO2020
メニューのサンプル 提供 TOKYO2020
複合施設
選手村の中心部に位置し、各居住棟からのアクセスが容易。
3階建ての恒久施設で、1回には総合診療所やドーピングコントロールステーション、2階にはカジュアルダイニングやレクリエーションエリア、3階にはフットネスセンターが設置される。
ドーピングコントロールステーションでは、クリーンな競技運営を行うために効率的で精度の高いアンチ・ドーピングプログラムを実施する。アスリートのプライバシーにも配慮して、9部屋のプロセスルームを設置して、尿検体や血液検体を採取する。
24時間対応。
カジュアルダイニングは、オリンピック時には280席、パラリンピック時には250席が設けられ、1日最大3000食が提供される。
複合施設は、大会後、商業施設に改装される。
複合施設 提供 TOKYO2020
仮設医療施設 発熱外来
発熱の症状が出た選手等のための診療・検査施設で、感染症の疑いのある患者に対する診療やPCR検査を実施する。
検体の分析は施設内に設置するブランチラボで行うので、スピーディな検査体制が確保される。検査結果が判明するまでの間の待機場所として隔離スペースを設置する。
一方、濃厚接触者の検査エリアも設け、濃厚接触者の検査を実施する。
陽性者が発生した場合は、感染症対策センターや保健衛生拠点と連携して対応する。
発熱外来エリア 住居棟から離れた場所にプレハブで設置 提供 TOKYO2020
発熱外来診察室 提供 TOKYO2020
選手村ビレッジプラザ
選手村ビレッジプラザは、選手の生活を支える施設として、店舗、カフェ、郵便局、宅配便サービス、銀行などが設置される。
ビレッジプラザは、全国の自治体から無償で提供してもらった木材約4万本を使用して建設した。木のぬくもりを大切にしたデザインで、延床面積5300平方メートル(5棟)の仮設建築物である。大会後は解体されて各自治体に返却して、公共施設などでレガシーとして再利用される。
ビレッジプラザには、NTTドコモが協賛して、「docomo 5G LOUNGE」をオープンし、ソフトドリンクや軽食をサービスするとともに次世代通信、5Gを選手やコーチなどに体験してもらうサービスを展開する。また、Galaxyは、「Galaxyアスリートラウンジ」を設置して5GスマホなどをPRする。Canonはフォトスタジオ、アシックスがドライクリーニング・サービス、ヤマトはクーリエカウンター、日本郵政は郵便局、三井住友銀行が両替や入出金窓口を設置する。
2021年6月21日
Copyright (C) 2021 IMSSR
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廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
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International Media Service System Research Institute(IMSSR)
President
thiroya@r03.itscom.net
imssr@a09.itscom.net
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