海に眠るダイヤモンド
昨日、権現山から眺めた軍艦島。
軍艦島といえば、
「海に眠るダイヤモンド」というドラマが放送されてたそうですね。
“そうですね”って言うほどに始まることを知らなかった。
テレビを見る頻度がいよいよ減ってきたからなんでしょう、
地元が舞台だからやってたはずの番宣にも気づかなかった。
妻によると、設定も細かくていいドラマだと言ってました。
私はもともとドラマが苦手だから見逃し配信を探す気にもならないし、
また神木君かよって思いもあって(彼が嫌いというわけじゃなくてね)、
はい、全く見てません。
だから、どんな設定の、どんなシナリオなのかももちろん知らない。
そんなわけで、以降のことは「海に眠るダイヤモンド」とは何の関係もありませんから。
今から8年前、長崎市の調査に随行して上陸したことがあります。
現在、軍艦島クルーズで上陸してもどうだろう、
南側の海側部分、島の5%も歩けるだろうか。
ここは採炭施設の区域、右の方に採炭を送るベルトコンベヤーの支柱が見えてます。
既に一般の方は立ち入り禁止の場所です。
上陸した桟橋から島を反時計回りに回りました。
採炭遺構の先を北に進むと7階建ての小中学校とグラウンドがあって、ここは教室。
校舎の窓からだったと思うけど、崩れ落ちた体育館が見えました。
海に浮かぶ軍艦島は毎日のように見てるけど、島内の記憶はこの時のまま。
あれから8年、今はもっと朽ちているはずだ。
学校の先には病院がありました。島の北端です。
ここは手術室だったんでしょう。
病院からは島の西側(沖側)を南に戻って島民の居住部分。
地獄段と呼ばれた急勾配の階段です。
上陸したのは7月1日、まだ梅雨明け前のじめじめとした日でした。
建物に囲まれた内側は、意外と緑が多いんです。
建物の階層が、そのまま居住する者のヒエラルキー。
親会社の管理職は上層階、それから次第に・・・・・・
日も差さない最下層の暮らしってどうだったんだろう。
実は閉山後に上陸したのはこの時が2度目でした。
端島(軍艦島)が閉山し無人島となったのが1974年、ちょうど50年前。
それから17年後の1991年に「別れてのちの恋歌」という2時間ドラマの撮影があり、
私も炭鉱夫のエキストラで出たんです。
主演は大竹しのぶ、共演は新人の堤真一。
脇岬や端島が舞台となったドラマでした。
まだ世界遺産じゃなかったから可能だったんでしょう、
どの棟のどの階だったか、部屋や廊下を当時のままに再現して。
大竹しのぶが朝ご飯を用意してるシーン。
その横を炭鉱夫になりきって廊下を通りすぎる私(笑)
おはようございますのセリフがあったかな、
待ち時間には島内をぶらぶらと散歩して、
ずいぶんと昔のことです。
少なくても50年前のアグネス・チャン(失礼)。
8年前にはまだ襖に残ってましたよ。
アパートの高いところから海を見る。
海しか見えない。
8年前、このアパートの窓辺で感じたのは海の不気味さ。
東側に回ればその先には長崎半島が横たわっているから、
なにがしかの安堵を感じるかもしれないが、この西側の先は果てしもない海。
陸地から4㎞の洋上、近いじゃないって思うかもしれないけど、ここに座ってみればわかる。
西側に立つ高層階のアパートは東側にある採炭施設の防波堤の役目も担ってたとか。
必ずやってくる台風や大しけ、その高波や強風を想像しただけでぞっとしました。
世界遺産登録直後は島を保存すべきと喧しかった。
登録から12年、保存にかかる莫大な費用と繰り返される台風被害に懲りたのか、
近頃はそのトーンも落ちてきたように感じます。
朽ちるに任せたほうがいい。
だってもともとは海面に頭を出してた小さな岩礁じゃないか。
たまたま石炭が見つかったからセメントをくっ付けて広げた人工島だ。
ざっくりとした例えで申し訳ないが、
大きな柿の木に実が成って届かないから梯子をかけた。
柿の木が枯れて実も採れなくなったから梯子もいらなくなった。
梯子は人で外せるけど、アパートはそうもいかないから朽ちるに任せましょう。
何でもかんでも残してたら遺跡だらけで身動きできなくなって、
保存費用の問題やそれがあるための土地活用の制限など、
次の世代にとっては負担やわずらわしさだけかもしれないじゃない。
どうしても残したいのなら、今流行りのデジタルで保存すれば。
場所は取らないし、かかる費用も1回こっきりだから。
とまぁ、愚にもつかないことを呟いてしまったけど、
繰り返しますが、
「海に眠るダイヤモンド」とは何の関係もありません。
だって全く観てないんだから。
- 関連記事
-
- 今年を振り返って 1月~6月 2024/12/30
- お土産の行方は 2024/12/29
- 海に眠るダイヤモンド 2024/12/28
- 小長井の牡蠣 美味しくいただきました 2024/12/24
- 恵比寿様と人参と 2024/12/19