こんばんわ。
お越しくださってありがとうございます。






『あの大きな桜の木の所でね。』

母の弾んだ声を思い出す。

私の職場の前に大きな桜の木があるのだ。


はるか昔、

私が就職して２年目位の時、

父と母と私の三人で夜桜を見に行った。

私の仕事が終わった後に、

職場の前にある大きな桜の木の前で

待ち合わせをした。

私は仕事を終えて父の車を待っている

やがて、父が車を運転して、

助手席にいる母が笑顔で迎えに来てくれた。

そこから他県にある有名な枝垂れ桜を観に行った。

３時間位は、

乗っていただろうか、、、

私は仕事の愚痴を父と母に話したり、

二人は近所の方々の話をしたり、

車中で他愛ない話をしていた。

目的地に着いた。


枝垂れ桜が私達を待っていた。


見事にそびえ立ち

花を付けていた。

立派な綺麗な枝垂れ桜だった。

父と母 、私はしばらく見とれていた。

夜空に淡いピンク色の花が映えて

それは、それは、

本当に綺麗だった、、、


二度と返らない大切な思い出、

この季節になると思い出す。

父と母はいない、

二人はいなくなった。

だが

待ち合わせ場所にある職場の前の大きな桜の木は、

今年も花を咲かせている。

見に行った枝垂れ桜も

毎年綺麗な花を咲かせているだろう。

父と母は命を散らせていった、

でも桜は毎年咲くのだ。


職場の前の大きな桜の木を見ると

二度と返らない大切な思い出をかみしめる、、、












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