竜は2人が近付いて来るのを、待っているように、じぃっと
入り口のところで、こちらを見ている。
「リュウタァ~」
リュウは、勢いよく、ドンと竜に体当たりをする。
それにこたえるように、竜はリュウに顔をすり寄せる。
兄弟のように育った…というのは、あながち嘘ではないらしい。
ほのぼのとした気分で、裕太はリュウたちを横目で見ながら、近付く。
「で、ジュンペイは…どの辺りにいると思う?」
裕太は竜に向かって、普通に話しかける。
さすがにリュウが、答えはしないくれど…
竜は、裕太の方を向く。
「たぶん…この奥だと思うよ」
さして思い入れのなさそうな口調で、早口でそう言う。
「じゃあ…案内してよ」
裕太は、リュウと竜に向かって話しかける。
リュウは、竜から体を離す。
「行ってもいいけど…
本当に行くの?」
ためすような目つきで、そう言う。
「もちろん!ここまで来たら、行かなくちゃ」
裕太は大きくうなづいた。
ふぅ~
思わず大きく深呼吸をする。
「その竜の池って、どの辺り?」
緊張をまぎらわすように、裕太はリュウに話しかける。
リュウの隣を、リュウがゆっくりと進んでいる。
(よく、なついているなぁ)
この不思議な男の子のことを、チラリと見た。