「ねぇ~それでこの先は、どうなっているの?」
ジュンペイの背中に向かって聞くけれど、探るのに夢中で、
裕太の声など、聞こえてはいないようだ。
「もしかして…空洞?」
それでも裕太は聞いてみる。
「滝つぼとか、あったせいかなぁ」
ジュンペイは頭をひねりつつ、それでも探っている。
「なぁ~ごちゃごちゃしゃべる暇があるなら、お前も探してくれるか?」
ブスリとして、ジュンペイが裕太を振り返る。
「えっ?なにを?」
そんなこと、聞いていないぞぉ~と思い、裕太は聞き返す。
「何って…入り口だよ」
少しは、察しろよ。
ジュンペイの背中が、そう言っているようだ。
「入り口?」
それって、どんな形なんだろう?
カンカンと、水の当たる音がする。
「たぶん…ここから、近いぞ」
何でジュンペイが、そんなに自信満々に言うのか、裕太にはわからない。
けれどもそれなら…と、裕太も身を乗り出した。
そのとたん、岩に足を取られた。
「うわっ」
つまずいて、グラッとバランスを崩す。
倒れかかるその瞬間、裕太はぐっと岩に手をついて、どこかに
つかまろうとする。
「あっ」
溺れる者は、わらをもつかむ…
という、必死な形相で、裕太は手足をバタバタとさせる。
その時…足元の岩が、わずかにずれているのが、目に入った。
「あっ、あれ!」
思いっきり、身体をどこかにぶつけ、ゴロゴロと転がりそうになった瞬間、
ジュンペイが裕太に向かって、手を伸ばした。