釣り竿(テーパ-)式【導波】八木・根元給電(2)導波器での各周波数特性

 自宅の建物アース回路を実際に試すまでは、考えてもいなかった結果となり、その報告を優先したので、こちらの記事が遅くなりました。
 MMANAシミュレーション結果とアンテナインピーダンス計の測定数値結果は一致していたため、当然そのような動作となると納得していたのに、実際に無線機で動作させると現実は全くこれらと異なっていたという結果だったのでアンテナインピーダンス計の測定結果が必ずしも正しいとは言えないケースがあることが信じられませんでした。今までのアンテナ常識をアップデートする必要があるかもしれません。
<注>まだ最終結論ではありません。今後この検証は続きます。

 さて、導波器タイプの広帯域にて使用できるモデル設計の各周波数特性です。併せて、今回は導波器→反射器とした場合でも同じマッチング回路を共用できるようにしなければならない制約が付いています。
 そうしないと前後ビームを交替する度にマッチング回路調整が必要になります。それでは実戦で役立ちません。
※γマッチ(ωマッチ)方式では、そのようなタイプの回路となってしまいました。

(1) SWRの周波数特性
Vert_YAGI_basic-040.PNG
 前回設計のSWR1.5以下範囲は同じ0.125λ間隔で140KHz近くまでとれましたが、今回は130KHzと少し狭くなっています。これは、γマッチのほうが帯域が広くとれることを意味します。SWR2.0の範囲でも280KHzから230KHzと狭くなっています。そのため、今回は上限側のバンドエッジでギリギリSWR2.0を超えるかといったところです。下のバンドエッジではSWRは1.6~1.7あたりです。

(2) インピーダンス特性(RとjX別)
Vert_YAGI_basic-045.PNG
 Rの変化は、周波数が低いバンドエッジ側で一番高くて約60Ωです。そこから直線グラフで中心の7.1MHzで50Ωまで下がり、さらに高い周波数へは、同じような直線グラフのまま降下して、最終の高い側のバンドエッジで25Ω付近まで落ちています。
 X側は、+j25Ω(7.0MHz)~j0Ω(7.1MHz)~-j5Ω(7.2MHz)となって、リアクタンス分の変動は前回より少なくなっています。(特に7.1~7.2MHzは変動幅が小)

(3) GaとF/B比の周波数特性
Vert_YAGI_basic-050.PNG 
 Gaは6.4dBi(7.0MHz)~6.8dBi(7.1MHz)~7.0dBi(7.2MHz)で前回よりもわずかですが良くなっています。
 F/B比は9.8dB(7.0MHz)~13.5dB(7.1MHz)~10.3dB(7.2MHz)と低いバンドエッジは、10dBにわずかに届きませんが、体感では10dBはあると思います。一方、高いバンドエッジはギリギリ10dB以上となっています。それと前回設計と大きな違いは、7.150付近でも13.3dBあって、F/B比の高い帯域が広いことです。今回の特長は、このF/B比のとれるバンド幅が広いことにあります。


(4) パターンの周波数特性
Vert_YAGI_basic-060.PNG
 前回設計よりもメリハリのあるパターンが得られています。その結果、わずかですが、SWR帯域が狭くなっています。

(反射器モデルへの対応)
 これの放射器、導波器、この間のエレメント間隔はそのままで、電気的に導波器→反射器に切り替えるとどうなるかが、次回のテーマです。
※反射器とした場合、0.125λ間隔だと、そのF/B比は導波器に比べ良くありません。ビーム方向の前後切替動作のバランスを取るには、反射器側のF/B比が重要となります。
 さらに難しいのは、そのF/B比がとれたとしても放射器のR+jXの値が今回のモデルと大幅に違ってしまうと同じマッチング回路定数を使うことができません。この問題が一番厄介な部分です。

 

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