水平CQ_ANTの中央給電6mH・反射器3mHモデル(再検証)(3)ワイヤーが銅線の場合

 前回提示した問題点(2)に対しての検証になります。ここでは、水平DPと同じ素材の銅線(但し、1㎜半径)とします。
 なお、銅線を比較用DPと同じ太さとしていないのは、実際の設計では、4㎜口径は線自体が重すぎてLOOP形状に張るのは、現実的ではないので、最もよく使われる2㎜口径(半径1.0㎜)にしました。ですから、今回のモデルは、検証用だけでなく、実際に実用化できるモデルとして設計をしています。

 ※今回の目的だと、この程度のアンテナワイヤーの太さの違いは無視できます。

1.問題点(2)とは、
 水平CQでの利得Gaの大地条件AとBによる違いを明確とする。
  大地条件A:誘電率5、導電率1mS/m   
  大地条件B:誘電率5、導電率1mS/mに
        アンテナ直下地面の地表に
        5m×12本ラジアル追加   

 ※12mH水平DPの場合は、(常識どおりの)真上(放射角90°)への利得Gaは、大地条件B>Aとなりました。

2.銅ワイヤーに置換した水平CQ40.MAA
(1) アンテナ定義
検証_水平CQ中央給電6mH010.PNG
(2) アンテナ形状・電流分布
検証_水平CQ中央給電6mH011.PNG
(3) 計算
 ワイヤーは銅線1㎜半径の場合
検証_水平CQ中央給電6mH015.PNG
① No.3は自由空間
② No.1はAの大地条件で6m高
③ No.2はBの大地条件で6m高
※描いた手順が違っているので、行のNo.は違いますが、上記①~③はDPと同一順序となるように記載しています。
<注意>ここでの利得Gaは、真上方向ではありません。最大放射角度における値であることを理解してください。

(4) 真上方向(放射角90°)となるパターンで描くと
A. 大地条件:都会地(誘電率5、導電率1mS/m)
 [1] 給電エレメント地上6m高、反射エレメント地上3m高
検証_水平CQ中央給電6mH020.PNG
B. 大地条件:都会地(誘電率5、導電率1mS/m)+5m×12本ラジアル追加
 [1] 給電エレメント地上6m高、反射エレメント地上3m高
検証_水平CQ中央給電6mH+Radial020.PNG
 どちらも、真上(放射角90°)における利得Gaでの評価となります。
 大地条件A:真上Ga=10.78dBi
 大地条件B:真上Ga=6.59dBi
  A-B=4.16dBの差が生じます。

3.結論
この結果から判ることは、
 水平CQアンテナの場合の真上(放射角90°)への利得Gaは、大地条件A>Bとなりました。これは、一般のアンテナ常識とは、真逆の結果となったと言えます。
 しかし、それには、物理学(電磁気学)的にそうなることの説明が成り立つはずです。
それを問題点としたのが、
問題点(3) 上記CQ結果と先のDP結果においての逆転現象が生じることへの論理的説明(仮説)
として、扱います。

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