≪ルージュの手紙≫

 

  

         

 

こんばんは。いつもご訪問頂きましてありがとうございます。

 

今夜は、おしゃれなタイトルの ≪ルージュの手紙≫

 

2017年の新しい作品で同じカトリーヌ・フロという

 

フランスの女優さんとの共演で

 

義母と娘の確執から・・ラストは悲しいけれども洒落たエンデイングに

 

なっています。

 

娘役のカトリーヌ・フロさんも大好きな女優さんです。

 

と言っても、≪大統領の料理人≫で初めてお目にかかった方ですが

 

すぐにファンになりました。

 

さかのぼって色んな作品を見てみたいです。

 

なんかほわーっとしたお顔そのままに包み込むような柔らかさがあるのですが

 

同時に凛とした意志を貫く強さと言うものも伝わってくる

 

歯切れの良い女優さんです。

 

さて、ストーリーを・・・・

 

監督:マルタン・プロヴォ

 

  2017年度作品

 

 キャスト

 

カトリーヌ・フロ            クレール
カトリーヌ・ドヌーヴ          ベアトリス
オリヴィエ・グルメ           ポール
カンタン・ドルメール           シモン

 

産院で助産婦として働くクレールは外科医を目指す大学生の息子と暮らしている。

 

 

 

名はシモン。

 

彼にはリュシーという恋人がいる。

 

昼夜を問わず働くクレールは真面目を絵に描いたような女性で

 

純で優しい。

 

働いている病院はもうすぐ閉鎖されることになっている。

 

経営難でどうしようもなく、就職先を探す余裕もないほど忙しく、

 

今後どうするかも決めかねている。

 

 

そんな彼女もセーヌ川河畔の

 

小さな土地の菜園で野菜を育て収穫するのを唯一の楽しみとしている。

 

孤独と言えば孤独だがそれをあまり気にすることもなく平凡に

 

静かに暮らしていた。

その菜園には隣にポールという男性もやってきて耕していた。

 

どうやらクレールに気があるようでしきりに話しかけ気を引こうとする。

 

 

そんなある日、留守電に父親を捨てた後妻だったベアトリスから

 

メッセージが入る。

 

彼女は35年も前に、理由も告げずに突然

 

父親を捨てて家から出て行った義母だ。

 

それが元で父親は自殺をしていた。

 

今頃になって連絡してきたベアトリスにただただ戸惑うクレールだった。

 

放っておくことも出来ずに

 

連絡してきた理由を知るために会いに行くのだった。

 

 

質素で化粧っけのないクレールに比べアトリスはいまだもって

 

美しく魅力に溢れ、おしゃれで歳をとっているとは言え、

 

人目を引くには充分な魅力を備えていた。

 

  


が、レバノンに住む友人が貸してくれた家では

 

ある面だらしのなさを感じるクレールだった。

 

お酒と煙草は離せず、

 

暮らしのお金はギャンブルに頼るという暮らしぶりは

 

クレールにとってはそれだけですぐに引きかえしたい充分な理由になった。

 

ベアトリスはなりふり構わないクレールに”ダサいコートね”と

 

ずけずけと揶揄した。

 

それよりも、知りたいのはクレールは今になって自分の前に現れたのかだ。

 

すると、彼女は脳腫瘍が見つかって、すでに手遅れであることを

 

打ち明けるのだった。死ぬ前に、

 

かつて愛したクレールの父親であるアントワーヌに

 

どうしても会いたくなったらしい。

 

ベアトリスが出て行ってすぐにアントワーヌが死んだことを

 

今の今まで知らなかったのだった。

 

クレールは父親が自殺したことを彼女に告げた。

 

ベアトリスは、事実を初めて知り、

 

自分が原因だったことにひどく動揺するのだった。

 

そして、せめてもの償いにアントワーヌからのプレゼントだった

 

エメラルドの指輪をクレールの指に無理やり押し付けた。

 

ベアトリスは無一文で、他の宝石といえば質に入れていたため、

 

このエメラルドが価値のある唯一のものだった。

 

しかし、クレールは彼女に同情する気は一切なく、

 

取り乱し、なんだかんだと引き止めるベアトリスを置いて、

 

冷ややかにその場を去る。

 

クレールの職場にベアトリスからのお詫びの花束が届いていたが、

 

通勤用の自転車の駕籠に投げ入れたが、それをセーヌ川に惜しげもなく

 

投げ捨てるのだった。

 

そして、菜園に向かい何事もなかったように土いじりをするのだった。

 

 

それからしばらくして菜園にいたクレールの元に、

 

息子のシモンとその恋人のリュシーが会いに来た。

 

人付き合いを避けているクレールだが、その日は

 

クレールの隣の土地で菜園をしているポールという男も結局いつのまにか

 

クレールに馴染んで一緒にランチをした。

 

リュシーが突然妊娠したことを告げたことに戸惑うクレール。

 

まだ大学生の二人の決断に、クレールは言葉を失い

 

泣き出してしまうのだった。

 

その空気に機転を利かせたポールは、

 

空を見るように皆に促した。

 

優雅に列をなして飛ぶ鳥の姿を見てクレールは落ち着くのだった。

 

その頃、ベアトリスは病気の治療法の説明を受けていたが

 

頭に穴を開け採血するということで、不安で不安で

 

クレールに連絡するしかなかった。

 

関わらないようにしようとしても、

 

完全に突き放すことができないのがクレールの元々の性格で、

 

結局また彼女と会ってしまうのだった。

 

 

ギャンブルで小金を稼ぐベアトリス。クレールは

 

なぜ昔父親を捨てたのか聞くのだった。

 

派手でわがままなベアトリスは地道に生きようとするアントワーヌに

 

馴染めずに退屈だけの彼を捨てて出て行ったのだった。

 

 

自らの死が間近に迫って初めて、人生で何が一番大切だったかに気がついた

 

ベアトリスだったが、その代償は大きく

 

クレールはいくら謝られても素直に彼女を許すことはできないのだった。

 

息子のシモンはといえば

 

医学部で外科医を目指していたが、

 

進級をやめると言い出した。

 

クレールの夢だったが、シモンは助産師になりたいといった。

 

自分と同じ道を目指し始めた息子に惑いを隠せなかった。

 

辛い過去を思い出さないために、

 

部屋に父親の写真すら飾っていなかったクレール。

 

ベアトリスが現れたことで、

 

心に封じ込めていたいろんな思いを手繰り始めた。

 

そんなある日、ポールがクレールを散歩に連れ出す。

 

高い崖の上から見せられた絶景に心が解放され、

 

いつしかクレールとポールはお互いを求めていった。

いつもは飲まないワインを飲んだクレールは、

 

父親のことや、突然現れたベアトリスのことを打ち明けた。

 

そしてベアトリスを引き取るとポールに話すのだった・

 

ベアトリスは手術をしていた。

麻酔から目を覚ますとそこにクレールの姿があった。

 

しかし、腫瘍は大きく、もう手の施しようがない状態が現実だった。

 

 退院の日。

 

キラキラと輝く美しいセーヌ川を眺めながらベアトリスは、

 

私の灰はゴミ袋に入れてセーヌ川に流してと言うが、クレールは

 

軽くあしらいながら

 

もう彼女を避けることはしなかった。

 

虚飾で飾り、法螺ばかり吹いていたベアトリスだったが

 

今まで誰にも本当のことを言わなかったが、

 

幼い頃暮らしたアパートの管理人室に連れて行き、親子三人貧しい暮らしをしてい

 

た過去を告げ、、ロシアの血を引いたハンガリーの王女だと話していた嘘も

 

正直に話すのだった。

家に連れ帰りベアトリスを寝かしつけたその後

 

クレールは、いつも束ねていた髪をほどき、

 

ベアトリスの香水と口紅をつけた。

 

そして、ポールに会いに行き、

 

自ら彼にキスをするのだった。

 

クレールにも女としての意識がベアトリスのおかげでどうやら

 

目覚めたようです。

 

以前、崖の上でキスを迫られていたが、拒んでいたクレールだったが

 

張り詰めていた心が解け二人は菜園の小屋で結ばれた。

 

その後、住む家もなくしたベアトリス。

 

結局クレールの家に身を寄せることになった。

 

家に到着した早々、体調を崩したベアトリス。

その日、夜勤だったクレールは仕事にポールに来てもらい、留守番を頼んだ。

 

 

その夜の夜勤での出産でお産した母親は以前クレールが取り上げた赤子の

 

 

成長した姿。生まれた男の子に彼女はクレールの父親の名アントワーヌと

 

つけると言うではないか・

 

翌朝帰宅すると、ベアトリスとポールが仲良く話しており、

 

クレールはついかっとなって彼を追い出した。

 

その後突然目眩に襲われたベアトリスを

 

ベッドに運び、クレールは彼女の横で寄り添うように眠った。

 

ポールはあの晩一方的に

 

クレールに拒絶されたものの彼女を優しく包み込み、

 

二人は仲直りをするのだった。

 

彼はクレールの混乱した気持ちを理解できる、懐の深い男だった。

 

 

クレールはベアトリスの髪を洗い、全身をマッサージし、そして、

 

ベッドに転がり、アントワーヌのスライド写真を壁に投影し、

 

ふたりで懐かしさに浸る。そんな余裕も出てきたのだった。

 

そこへシモンが戻ってくるが、ベアトリスは

 

アントワーヌの生き写しのようなシモンを見て、

 

言葉にならない思いを感じ、挨拶のキスをしたが、戸惑ったシモン。


どうやらうまいキスだったようだ。

 

ベアトリスは医療費を払うため、時計を質屋に出そうとするが

 

断られてしまう。質屋で取り扱うのはあまりに高級すぎたシナだった。

 

それでもしつこく売ろうとして、警察を呼ばれたが、気を失って倒れてしまった

 

ベアトリス。迎えに行ったクレールは彼女に説教するが、

 

ベアトリスは突然車から降り怒って逃げ出すのだった。

 

もう死がそこまで近づいて来ているのをいるのを全身で感じているベアトリス。

 

お金もなくクレールに頼るしかできない自分に対する行き場のない怒り。

 

彼女は今心から生きたいと・・・願うのだった。

 

クレールはベアトリスの本心を聞き、

 

彼女に託されていたエメラルドの指輪を返し、

 

彼女にキスする。そして、

 

かつて父親がベアトリスのキスが好きだと言っていたこと、

 

キスで人を幸せにできる人だと言っていたことを教え、

 

彼女を励ますのだった。

 

クレールはベアトリスに菜園を見せた。

 

ベアトリスはそこから見る美しいセーヌ川の景色と、

 

川に浮かぶ一隻のボートをじっと見つめていた。

 

その後、仕事から戻ったポールは二人をトラックに乗せ

 

ドライブした。

ベアトリスは運転をしたいと言いハンドルを握った。

 

それはひと時病気から解放され自由を感じたひと時だった。

 

そして、その夜、ベアトリスは置き手紙を残し、クレールの元を去っていった。

 

 

クレールは新しく働く場所を得るために大きな病院の面接に行くが、

 

最新技術を見せ付け、心なきように見える病院の様子をを見て、

 

自分の居場所ではないと病院を後にした。

 

自分の経験を活かし、助産婦を育てる学校を開くことを決意するクレールだった。

 

ポールと一緒に菜園に来たクレール。

 

庭のテーブルにベアトリスからの手紙があることに気がついた。

 

開くと、その中には真っ赤なルージュの唇だけが・・・・

 

エメラルドの指輪が添えられていた。

 

ポールははっとして繋がれていたはずのボートを見た。

 

紐は解かれ、沈みかけているボートをを見つけた。

 

殆ど水に沈んだボートはそれでもゆっくりと静かに

 

流れ菜園から遠のいていくのだった。

 

ーーーーー

 

自由奔放なベアトリスはまるで現実のカトリーヌを思わせ、

 

あのわがままは一本筋の通ったもので、

 

樹木希林さんを思わせ(そういえば同じ年ですね おふたりは)

 

死を前にしてもお金がないのに贅沢で、こだわりは貫き

 

妥協はしない・・それはそれで充分見応えあり。

 

カトリーヌ・フロさんも働く女性の見本みたいでステキ。

 

近づこうとしても振り放されるベアトリスといつしか

 

距離が縮まっていく過程がいいですねえ。

 

最後まで自分を変えることなく貫いたベアトリスも見事ですが

 

彼女と交わったことで女としての魅力を取り戻し生き生きと

 

輝き始めるクレールがステキです。

 

そしてあのルージュだけの沈黙の手紙。

 

お父さんのアントワーヌがベアトリスのキスは人を幸せにする

 

ステキなキスだったと言っていた・・・と・それがとてもうれしかったのか

 

最後の別れの手紙にそのキスを残した・・・幸せになってクレール!!という

 

おしゃれな遺言ですよね。

 

こういういかにもフランスって感じの作品大好きです。

 

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