『裸足の伯爵夫人』
こんばんは。いつもご訪問ありがとうございます。
決まった時間帯に映画のオンエアというものがなくなって久しい。
dvdの普及や映画専門チャンネルなどが出来た影響でしょう。
私たち世代がテレビで毎週決まった時間に見た初めての映画放映の時間。
それは1966年のこと・
テレ朝の日曜映画劇場が・・というより土曜映画劇場として番組を組まれたのが最初ですが、
初めて毎週映画というものをテレビで見れるようになったのです。
その第一回目の作品に選ばれている記念すべき作品・・が『裸足の伯爵夫人』なのです。
昭和41年の秋..9月の第一週の土曜日だったと記憶しています。
当時、まだテレビは白黒で、この作品の撮影者・ジャック.カーデイフの
キレイなカラーが観れずに残念がったことを覚えています。
解説者はかの淀川長治さん。
その雑誌が手元にあります。
映画劇場を番組にして、ゴールデンタイムに
織り込むことは当時、テレ朝 さんは、
ものすごい勇気がいったそうです。
一回目の放映でこけると完全に映画劇場というものが
意味をなさなくなると。
しかし、この作品の高い視聴率で自信を得、番組は二十年間続くことになります。
1986年最後の放送は確か・・アマデウス だったと思います。
また、各テレビ局が競って
映画劇場をゴールデンタイムにもってきたという
経緯があるのです。
まあそういった裏話もたくさんありますが、
そういうことで、今日はそのテレ朝記念の第一作目・≪裸足の伯爵夫人≫を紹介します。
(渚にて)のエヴァ・ガードナーは強さも弱さも見せて魅力的でした。
先に投稿した (モガンボ)に登場した時には母性的な温かなキャラクターで
これも魅力的でした。
そんなエヴァの作品をもう一本。
今日、ご紹介する作品≪裸足の伯爵夫人≫は、
映画スターの隆盛といいますか、
ハリウッドのよき時代が終わろうとしている過渡期の作品。
ジェームス.ディーンに代表されるニュー.シネマがぼちぼち
作られるようになってきた・・新しい感覚の映画が台頭しはじめました。
よき時代のテンポの遅い映画は
ぼちぼちソッポをむかれ始めたころの境目の作品です。
1954年度作品
脚本.監督 ジョセフ.L.マンキウイッツ
撮影 ジャック.カーデイフ
出演. ハンフリー.ボガード
エヴア、ガードナー
ストーリー
北イタリアのラパロの墓地、
冷たい雨の降る中で映画女優マリア.ダコタ(エヴア.ガードナー)の
埋葬が行われていた。
人垣を離れて佇むハリー.ドーズ(ハンフリー.ボガード)の
胸に様々な思いが蘇ってきた。。。
ハリーはハリウッドの映画監督であった。
ーーー三年前のこと。
好奇心から、映画製作に乗り出したテキサスの大地主、
カーク・エドワードに雇われた。
ハリーは仕事に行き詰まり、不調から脱却しようと
彼の野望に加わったのだ。
カークと一緒にヨーロッパにスター探しにやってきた。
マドリードの小さな酒場。
お客は皆、熱狂的な視線と拍手を送る、だが、カメラは客の顔しか映さない。
うまい演出。想像を掻き立てられるんだもの。
そして、やってきたカークとハリーは、
支配人に踊り子の踊りを見せてくれと頼むが、
一晩に一度しか踊らないと断られる。
ハリーは、やむを得ず、監督というプライドを捨て、
楽屋にマリアを訪ね、映画出演を交渉した.
酸いも甘いも弁えたハリーのこと、
そこはうまくマリアを説き伏せた。
客席に現れたマリア。が、彼女はすぐに消えた・・・
翌日、
その美貌と情熱を備えたマリアの踊りを見る機会を得たハリー。
マリアは、身ひとつでただちにヨーロッパに飛ぶことになった。
撮影は始められた。
映画は大成功だった。
マリアは一躍大スターとなり、監督をしたハリーも
巨匠の座に返り咲いた。
ある日、マリアの父が母を殺すという事件がおきた。
マリアは法廷に立って、母の不倫ゆえの犯行だと、父を弁護し、
世界中の同情を集めた。(群集心理ですね)
いまや押しも押されぬ国際級の女優となっていった。
第二作目も成功し、ハリーとマリアの間は深い友情で結ばれた。
ハリーは友人という域を越えなかった。
情熱家のマリアにはそれが不満だった。
彼の気持ちが掴めないまま、彼女は
たまたま知り合った、
ヴインチェンッオ伯爵(ロッサノ.ブラッツイ)の
南仏のヴイラに滞在した。
そしてついに結婚。伯爵夫人の座に収まったのである。
たまたま近くの村にロケで来ていたハリーは
マリアに会い、意外な話を聞かされた。
伯爵は、戦争による性的不能者で、彼女にその診断書を見せて、
彼女に許しを請うたというのである。
野生のマリアには耐えられない事であった。
彼女は情熱の炎をもてあまし、
ついに不義の子を身篭ってしまった。
ハリーは不安のあまり、
ロケを終えるとすぐにマリアの後を追って、
パリへと飛んだ。
しかし...
伯爵の邸へ着いたとき、二発の銃声が轟き、
ハリーは立ちすくんだ。
マリアとその情人が伯爵の手にある銃で撃ち殺されたのだった。。
マリアの埋葬される墓地....
伯爵は警察に引かれて行った。
マリアの死と共に、ハリーの映画生命も終わった。
いつまでも呆然と立ちつくすハリー・・・。
マリアが父の弁護をした時に群集は同情した。
が、この事件を知った 群集 は、マリアと共にハリーをも見捨てた。
この群集 という存在ーーー気になる要素のひとつなんですね。
エリア・カザンのー群衆の中のひとつの顔ーと
フランク.キャプラのー群集ーという作品を
いつか比較してみたいと思っています。
(モガンボ)の時のガードナーは情熱的な見かけの美しさに反して
母性愛に満ちた思慮深い女性を演じた。
しかし、彼女の持って生まれた華やかさ、情熱、で言うならば
伯爵夫人は彼女の魅力が100パーセント発揮されているのではないでしょうか。
情熱の女、エヴアの魅力に尽きますね。
私生活でも、最初は人気絶頂のミッキールーニーと結婚し、
売名行為だと言われながらも、うまく立ち回り
スターへの階段を上り始め、
かのハワード.ヒューズの熱心な求婚を退け、
フランク.シナトラに熱烈に恋し、結婚。
(フランクは後にミア.ファーローと結婚)。
エヴァとフランクは6年間の結婚生活を送っている。
その間、名実共にハリウッドの人気女優として、
又、着実に演技力もつけていった。
全身から発散する情熱とモダンさ、貫禄。
こういう女優は今いませんねえ。
ハリウッドのあの時代だから、生まれたし、
存在しえた女優であろう。
ボギーが一歩引いてしまった...。
ロッサノ.ブラッツイが
アカデミーの男優助演賞を獲得したかなあと
記憶するのですが、違ったらごめんなさい.
裸足で炎のような踊りを踊っていた女性が伯爵夫人になる
ということからつけられた題名。粋ですねえ。
おしまい
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